第3話 彼との出会い
来た!冒険者の町『アドベル』!!
私は今日より勇者(偽)となったリリーナ!そんな私の名は既にこの王都にとても近い街にも知られていた。
「おお、アレが、伝説の勇者か」
「どうだ?パーティー誘うか?」
「だめだ!釣り合わないよ!」
マジでどうしよう……。転送魔法が使えない今、私なんかただの爆破耐性が強い魔法使いなんですけど……。実力的には普通に弱小パーティーレベルなんですけど?!
私はやりようのない罪悪感で押しつぶされそうになった。
とりあえず、適当に旅仲間を作ろうとした私はみんなお馴染みの冒険者ギルドに向かった。
「あの~、すみません……!冒険者登録したいんですけど……」
ギルドの受付嬢にそう告げると、彼女は少し、疑問を持ったかのような顔をした後、こう言った。
「勇者様の冒険者登録は王家からの登録でもう完了しています。勿論、勇者様はVIP待遇ですよ!」
「あ、そうですか……。ありがとうございますぅ……」
やめて?その補填。
「よう!勇者様よう!」
「はい、何でしょう……」
もう、勇者と呼ばれると、自分のことだとすぐ理解するようになってしまった。はぁ、何とかならないものか……。
そして、勇者のことを呼んだのは、なんとも活きの良い兄ちゃんだった。
「よかったら、俺らのパーティーに入らないか?歓迎するぜ!」
「おお!あいつはこの町、一番のパーティーのリーダーじゃないか!」
「やっぱり、勇者様と組めんのはあれくらいのパーティーなんだな!」
なんか、周りがめっちゃ盛り上がっている。しかし、私は
「いえ、結構です」
町一番のパーティーの誘いをきっぱりと断った。
何故か?
それは………………。
「あんな、強いパーティーに入っちゃうと、実力差で気まずい雰囲気になって嫌だよぉ……」
しかしながら、この町一番のパーティーの誘いを勇者様が断った件については、「あのレベルのパーティーの誘いを断るとは、どこまで上を見ているんだ?!」という感じで誤解されているようだ。
なんかもう嫌。
せっかく、旅仲間を作るため、ここまで来たのに、この調子だと作れる気がしない……。
そして、翌日。ある少年がこの町にやって来た。ここらでは見ない少年らしい。しかし、細身であまり強そうでもないので、町の人々からは対して注目もされなかった。
私と彼が出会ったのはそんな日の朝。彼がこの町に来たばかりの時に出会った。
露頭に迷っている彼を見つけたとき、王様から有り余るお金をもらい、余裕があった私は彼のことを助けたくなっていた。
「どうしたの?」
「!!」
無駄に彼は大げさにびっくりした。
「いや……。少し、迷ってまして……」
「そうなんだ」
彼は私の目を見てはくれなかった。
「で、どこ行きたいの?」
「てか、行く当てがないのですが……」
「なるほど……」
「それで……。その……」
彼の言葉は詰まった。そして、数秒した後、答えた。
「少しばかり、貴方と同行してもいいでしょうか?!」
彼はそう告げた。恐らく、私についてきたら、何かすることが見つかるはずとでも思っているのだろう。
その問いに私は……。
「勿論」
グッチョブサインで意気揚々に答えた。
何とも彼には少し、興味を持っていた私は自分からでも、そう懇願しようかとは思っていた。言ってみれば、願ったり叶ったり。
こうして、私と彼の同時行動がしばらく続くこととなった。
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