第2話 爆破耐性のせいでややこしいことに……。

 私は王室に招かれた。ただの魔法使いである私が『勇者』として!


「だから!あれは、私が転送魔法を使って、異世界から来たわけではないんです!」

「はっはっは、嘘はなりませんよ勇者様。先日、魔法学会から転送魔法は実現不可能なことが発表されたばかりではありませんか」


 そうなのか……。

田舎のほうは新聞が届くのが遅れるため、そのような最近の情報にはやはり王都に住む人間よりかは劣ろう。

 それじゃあ……。魔法学会は先日、間違った結論を出してしまったわけか。私はこの国の魔法学会を軽蔑した。


「どうしよう……」


 私は考えた。そして、一つの案が脳内にて出された。

 そうだ、自分の弱さを使おう!


「あの……。勇者ってのは多分、すごく強いんと思うんですよ」

「まぁ、そうですね……。そういえば、勇者様はとてつもない爆破耐性がついていると古代書で書いてある。それでは、リリーナ様。少し爆破耐性のテストをしてみましょうか」


 あ、やばい。


 私は前話で記したように、日々の実験失敗により、最強の爆破耐性がついてしまっている。つまり、このテスト……。


「それでは、魔術師、最上級爆発魔法をリリーナ様に与えろ!」

「承知しました」


 ドーン!!


 王城の少し離れた平原にて行われたこのテスト、この厳しいテストに私は……。


「おお……。本当に耐えた……」

「流石、勇者様だ……」

「リリーナ様は何者でもない、勇者様だ!」


 軽々とクリアしてしまった。


*****


「勇者リリーナ殿。この勇者の剣を持って、魔王を打ち倒し、その使命を果たしてくれっ!」

「………………」


 私はもう、言い逃れができなくなって、王様がそのような感じで語っているときも私は明後日の方向を向いていた。


 そして、私は王都を追い出された。

 背中に勇者の剣と杖を背負って。


「さて、ここからどうしようか……」


 とりあえず、こうなってしまってからには、私は勇者じゃないと言っても、もうこんなもの背負ってるから、どうせ信じてもらえない。


 とりあえず、帰ろうかな、自宅に。

 私は魔法陣メモをポケットの中から探した。暴発魔法陣しか描いてないやつだが、ただ一つ、転送魔法のメモが描いてあるから国宝ものだな。

 しかし、私がメモを持った瞬間、そのメモを焦げていて、ポロポロと崩れ落ちてしまった。


「へ……」


 メモが……。転送魔法の魔法陣のメモが……。

 あ、そっか……。さっきのテストの時、爆風でメモ帳が燃え尽きてしまったのか。

 国宝級のメモが消え去ってしまった。勿論、適当に描いたものだから、覚えているわけない。


「いや、私の家に自力に戻れば、多分残っているはず……!」


 一回、魔力を注いだ魔法陣は人口でないと消すことはできないのだ。あんなところに来る人はいないだろうから、まぁ、大丈夫か。

 ちなみに今までのやつは爆発で地形と共に消え失せている。


 とりあえず、私は次の冒険者が集まる街『アドベル』に行くことに決めた。

 旅仲間を集めるためだ。

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