第1話 魔法使いの魔法研究の末
私の名前はリリーナ。十五歳、女。
私はただただ普通の魔法使いだ。魔法の研究をしたりして過ごしている。
魔法の研究を趣味程度にしているだけで、魔力量も戦闘力もそこまで大きくない。
そんな私の最近、気に入っている研究方法は適当に魔法陣を描いて、どんな魔法が発動されるのかを試すことだ。
家から少し離れた平地に適当に魔法陣を描いて、たいてい起きることは大爆発。研究失敗のよくある例だ。そのため、これを何年もやっていると、結構強力な爆破耐性が私の身体に備わってしまった。
『魔法研究メモ 爆発を食らいまくると、爆破耐性が体に身に着く』
このメモも根気強く、この研究をやり続けた賜物だ。これが不名誉というやつなのだろうか。
毎日、こんなことやっていたら、平地も隕石が落ちたかのようにボコボコだ。
今日も描けそうなところに魔法陣を適当に描いて、描きながら、自分のメモ帳に魔法陣を描いていく。
「よし、できた!」
魔法陣が完成したら、私の魔力を魔法陣に注ぎ、魔法を発動させる。すると、いつもは爆発が起こる。今回もどうせ爆発ができると思い、身構えていた。しかし、起きなかった。拍子抜けした。
何も起きないと思ったら、いきなり、視界が変わった。
私はいきなり高所から落ちた。
「いってぇ……」
私は尻から落ちてしまった。あたりを見渡すと、ここは森で、遠くには何やら城が見えた。
あれは、もしや……。王城?!
私の家から、王都まではすごく、すごく離れている。距離を言うのもくたびれるほど離れている。つまり、この一瞬でこんな遠くまで行けたということは……。
「この魔法陣……。まさか、転送魔法?!」
転送魔法とはその名の通り、物(者)を別の場所に転送する魔法である。この魔法は長年、あるとされているが、その存在が証明されていなかった魔法である。だから、これは大発見なのである。
「これを、魔法学会に発表すれば、一生贅沢して暮らせるじゃん?!」
私は万歳三唱で喜んだ。
そうしていると、王国の騎士たちが何故か私に近づいてきた。
アレ?私、何かした?まさか、ここ、入っちゃダメなとこ?え?斬首?私、殺されるの?
喜びが一気に絶望へと変貌した。
涙目になり、自分の首を触れる。
グッパイ……。マイネック………………。
私は死を覚悟した。
しかし、彼らは何故か私にひざまずいた。
「はい?はい?」
私はその光景に当然のごとく困惑した。
「勇者様、お待ちいたしました。どうぞ、王城までお越しください」
「え?なに言ってるんですか?」
「すみません勇者様、混乱させてしまって」
「いや、私は勇者なんかじゃないんですが?!」
私はどうやら転送魔法を使った時の様が異世界からの移動に見間違えられ、『未界より来る勇者、魔王打ち倒すもの也』の勇者に間違えられたみたいだ。私は勿論、転送魔法を使っただけ、と伝えたが、転送魔法なんか使えるわけがないと言われ、すっかり勇者扱いされてしまい、王城に連れていかれてしまった………………。
───誰か!誰か助けてくださーい!!
その時の私の顔は鼻水と涙が多量に出て、ぐちゃぐちゃだった。なんと滑稽なことであろう。
*****
その付近にて、ある男が迷い込んでいた。
「な……。なんだここ?」
彼はとある世界からこの世界に転送されてきた異世界人
「お、あそこ城が見える……。一旦、行ってみるか」
そして、この人類から勇者と呼ばれるべき人物である。
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