「トリあえず」だって?カタカナがカギだよな。難しい…。

川線・山線

第1話 「カタカナが曲者」

「とりあえず」という言葉の扱いは難しい。本来の意味は、しばしば「取るものも取り合えず」、という言葉で使われることからもわかるように、「すぐに、大急ぎで」というものである。しかし、言葉は「生き物」である。いつの間にか新たな意味を持ってしまった。「間に合わせの」という意味である。大急ぎで作った、となれば、どうしても「完成度」が低くなるのは避けられない。そういったことから派生してきた、あるいは誤用されるようになってつけられた意味なのだろう、と推測される。


実生活では、例えば上司から仕事を命じられ、「取り急ぎ」の意味で「とりあえず作成してみました」と伝えても、上司には「間に合わせで粗製乱造の状態で」作成しました、ととられかねない。もともとの意味で「とりあえず」を使おうとすれば、「取るものも取り合えず」と伝えなければ正しく意図が伝わらない言葉となってしまっている。


今回のお題「トリあえず」を見て、私は頭を抱えた。これが平仮名だけの「とりあえず」なら、ある程度話の膨らませ様はある。上に述べた「取り合えず」という形にもとれるし、「取り合い」をすることができない、という意味での「とりあえず」という方向でも組み立てることはできた。


しかし、「トリあえず」とわざわざ「トリ」の部分をカタカナにしてお題が発表されたのである。出題者の意図はこの「一部分のカタカナ表記」にあるのだろう、と私は考えた。そうすると、途端に難しくなる。先ほど考えたことはすべて出題者の意図とは少しずれた「ビミョー」な文章になってしまう。「トリ/あえず」ということで考えてみた。


「トリ」の前に適当な文字を付け足して、人名や地名で考えてみた。


「『…ニトリ…』お値段以上かーい!」


と自分で自分に突っ込んでしまった。「サントリー」も「カントリー」もよろしくない。足りない自分の頭ではうまくハマるものが見つからなかった。また「あえず」は色々と同音異義語があるのでいろいろ考えられるが、今度は自分自身の経験不足が効いてくる。「会う」「合う」であれば何とかなるが、「和える」を使うと、自分の料理に対する経験不足と知識不足が足を引っ張る。「トリ/あえず」を、料理の途中で「現時点では『鶏肉』を『和えない』」という形でとらえてみると、どうしてもそのような手の込んだ料理を作ったことのない私には難しかった(私は料理については基本的な「煮る」「焼く」「炒める」くらいしかできない)。


ということで、お題を見てから、1時間ほどで「トリ あえず」を書き上げ投稿した。「とりあえず」の二つの意味の通り、「急いで」「間に合わせの」の両方の意味そのものである。


多分、他の人の作品を読んで、「なるほどー!こういう視点もあったのか!」とたくさん頭を殴られること請け合いである。と、自分の作品を書いた後の思いを書いた次第である。

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「トリあえず」だって?カタカナがカギだよな。難しい…。 川線・山線 @Toh-yan

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