第7話 渚大治郎との密会、影に潜む真実

密偵たちからの情報を携え、ピットは兄である国王、渚大治郎との密会の場を設けることに成功した。場所は、城の深く隠された書庫。世界の眠る深夜、二人は互いの安全を確認しながら、そっと書庫の扉を閉めた。


「渚鹿丸、来てくれたか。」大治郎の声には、弟への安堵と、国王としての重圧が混在していた。彼はピットに近づき、肩を抱く。その瞬間、彼らの間には、兄弟以上の深い絆が流れた。


ピットは、隣国の使者の動きと、古い祠での秘密の会合について報告した。大治郎はじっくりと耳を傾け、時折、深いため息をつく。この情報は、王国にとって計り知れない影響をもたらすものだった。


「隣国との関係は、常に微妙なバランスの上にある。この会合が何を意味しているのか、私たちは慎重に探らなければならない。」大治郎は重い口調で話した。彼の目には、王国の未来を案じる光が宿っていた。


そして、大治郎はピットに更なる秘密を明かした。隣国との間で、平和を保つための秘密裏の交渉が進められているというのだ。これまでの使者の訪問は、その一環として行われていたものだった。しかし、古い祠での会合は、その計画には含まれておらず、隣国内部の別勢力の動きかもしれないという推測を、大治郎はピットに伝えた。


「この事態を、どう収束させるか。ピット、君の力が再び、王国を救うことになるかもしれない。」兄からのこの言葉は、ピットに新たな使命を与えた。


二人は計画を練り、ピットは再び夜の闇に身を投じることになる。今度の彼の任務は、ただ討伐人として悪を倒すことではなく、王国の平和を守るための情報を集め、隣国との関係を探ることに重点が置かれていた。


密会が終わり、ピットは書庫を後にした。外はまだ夜が深い。城を出る彼の背中には、国王の弟としての重責と、討伐人としての決意が共存していた。この夜、渚王国の運命を左右する新たな物語が、静かに動き始めていた。

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