第8話 秘密の糸、結ばれる運命
夜の静寂が王国を包む中、ピットは兄である国王、渚大治郎との密会の後、重たい思いを背負いながら、町へと戻っていた。彼の心は、新たに託された任務と、それが自身にもたらす影響を巡って複雑に絡み合っていた。だが、同時に、王国とその民を守るためには、どんな困難にも立ち向かわなければならないという強い決意もあった。
隣国の使者との会合に隠された秘密を探るため、ピットはこくすけとやよいに協力を求めることにした。彼らは夜が明ける前に、再び古い祠での秘密会合の現場へと向かった。今回の彼らの目的は、隣国の使者たちが何を企んでいるのか、その真意を突き止めることにあった。
古い祠に近づくと、彼らは慎重に周囲の様子を窺いながら、隠れる場所を探した。やがて、暗闇の中から人影が見え始め、隣国の使者と思しき者たちが再び祠に集まってきた。ピットたちは息を潜め、その会話を盗み聞きした。
使者たちの話から、彼らが王国内部に友好的な勢力と接触を試みていることが明らかになった。さらに、彼らの目的は、平和的な関係を維持しながらも、ある特定の資源に関する秘密協定を結ぶことにあることが判明した。これは、国王である大治郎が懸念していた隣国内部の別勢力の動きではなく、隣国全体の戦略の一環だった。
会合が終わり、使者たちが去った後、ピットたちは現場を後にし、速やかに大治郎に報告することを決めた。この情報は、渚王国が隣国との関係をどう進めるべきかに大きな影響を与えるものだったからだ。
城への道中、ピットは深く考え込んだ。この任務を通じて、彼は自らの討伐人としての活動だけでなく、国王の弟としての役割も、王国の運命に大きく関わっていることを改めて認識した。彼に託された使命は、単に闇を払うことだけではなく、王国の未来を照らす光となることでもあった。
夜明けと共に城に戻るピット。彼は大治郎に全てを報告し、二人で頭を悩ませながらも、王国の平和と繁栄のために、次なる一手を模索する。この出来事が、渚王国と隣国との間の新たな章の始まりであり、ピット自身の運命をも変えることになるとは、まだ誰も知らなかった。
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