第3話
「さあ、しっかりと掛け布団として動けなくなった結奈ちゃんですが、本当に掛け布団に成れていますか?」
そう言うと進行役の男性は結奈ちゃんの生命線であるホースを塞いだ。
少しすると、かなりくぐもった女性の声が響き、圧縮袋が少しだけ音を立てて揺れた。
「結奈ちゃんは、まだ掛け布団に成りきれていないようですね」
進行役の男性がそう言うと、布団圧縮袋に結奈ちゃんと同じ大きさのクッションが入れられて、その上に布団圧縮袋でほとんど身動きのできない結奈ちゃんが置かれた。
さらに結奈ちゃんの存在を消してしまうようにして、別のクッションで覆い隠してしまう。
結奈ちゃんの体を覆い隠したクッションからは唯一結奈ちゃんの存在を示すホースが飛び出している。
そのホースを布団圧縮袋に穴を開けて外へ出すと、圧縮が始まる。
パンパンになっていた圧縮袋は結奈ちゃんを包み込み形で収縮していった。
ここでカメラが切り替わり白いラバーシートが映し出される。
この白いラバーシートは窪みで三分割にされており、真ん中を空けた状態で左右には結奈ちゃんと同じくらいの大きさの綿の詰まったクッションが配置されていた。
真ん中の空けられたスペースには先ほどクッションとともに圧縮された結奈ちゃんが配置される。
見た目にはクッションのようにしか見えないものが3つ並んでいる。
その上から敷かれていた物と同じ白いラバーシートが掛けられると、スタッフが結奈ちゃんの呼吸用のホースが通るように穴を開けてホースを取り出した。
別のスタッフが、特殊な器具を使ってラバーシートの四方を溶かしながら融着し結奈ちゃんを2枚のラバーシートの中へと封じ込めてしまった。
そして、三分割になるように、クッションと結奈ちゃんの間も特殊な器具で溶かして融着してしまう。
こうして出来た掛け布団から延びるホースをカットすると、今度は掛け布団のカバーへと押し込めていく。
最後に掛け布団の横のファスナーを閉めれば、小田結奈ちゃん入り掛け布団一点限りの商品の完成である。
「どうですか?皆さん、あの可愛いアシスタントの結奈ちゃんの入った掛け布団、使ってみたくないですか?」
進行役の男性がそう言う目の前には敷布団と枕が用意されていた。
「私が一回試してみますね」
そう言うと布団に横たわる進行役の男性。
その上にスタッフが結奈ちゃんの入って掛け布団を掛ける。
「うーん、そうですね、かなり温かいですね、人の温もりを感じます」少し置いて続ける。
「一つ欠点は少し結奈ちゃんの部分が重いと言う事ですね、それ以外には文句ありません、結奈ちゃんをイメージするとなんだかいい香りがしてきそうです」
そう言いながらニヤける進行役の男性。
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