第1話新たな学校生活に推理をその1
私は……
別に恥ずかしがり屋だったり、人見知りという訳ではない。
ただ目立つ事はしたくない……ただそれだけの理由である。
注目は持ってのほか。
人に見られていると息が思うようにできず、さらには胃から逆流さえ出てくる感覚がある。
そんな私は今、今日から通う事になった
壇上の下には私の事を見上げながら見てくる私と同じ新入生に代表で来ていた在校生数名。
それにここの生徒会の人達人物に教師人……そしてこの学校の理事長にも見つめられた私は今……本格的にヤバい状況になっていた。
幸い壇上以外は真っ暗になっている為、幾分かはマシになっていた。
「ではみなさんこの勇敢な新入生に拍手を!」
壇上にいた私の他にいた黒スーツにローションで髪を固めた七三の髪型司会者が持っていたマイクに大きな声量で話しかけるとマイクと繋がっている壁付きスピーカーから聞こえてくる。
体調不良になっているのか分からんが耳まで敏感になってしまい、吐き気が悪化する。
この司会者……後で呪ってやろうかしら。
今平然と笑ってはいるが、多分顔は青ざめているだろう。
同時に生徒達や教師のいろいろな拍手が不協和音のごとく、混ざり合っていた。
それがトドメになったのだろうか。
私のダムが決壊しそうになり咄嗟にハンカチを取り出すと、口元を抑え走るのに不向きなハイヒールやスカートに注意しながら退場する。
外に出ると、近くにあったベンチに座り、遠くを見る為空を見上げる。
空を見ていると、嗚呼……なんでこんな事に……こんな事になるんだったら……推理なんてしなければよかったっと思ってしまう。
こうなってしまったのは……私が初めてこの大学に来た日に遡る。
それは私がこの大学の正門からだったか。
正門には人が3人ぐらい通り抜けられる通路があり、壁には猫大量発生、猫の騒音申し訳ございませんと書かれていた。
この場所……猫多いんですか。
この日、渡しはやっとの思いで受かった大学の新入生の入学式&新入生歓迎会に来ていた。
手には手提げ鞄と大きなキャリーバックがあった。
緊張しているのか、私の心臓はバクバクと激しく脈を打ち続けていた。
息を整えると置いてあったキャリーバックの取っ手を掴むと引きずりながら正門を通り抜けると目的地である講堂に向かって歩き出す。
歩き出す……歩き……。
「迷った……」
あの後から校内を歩いて数分……入学許可証と一緒に入っていた入学式が行われる講堂の場所が書いてある紙を見ながらきたのだが……全然つかない。
おかしい……地図を見ながら来たのに。
周りに誰か居ないか見渡してみたものの、私と同じ新入生や在校生……というか人1人見つからなかった。
辺りは木と草しかなく、少し遠くの方に校舎らしきものが見えた。
後他に何も無く……ん?
私は視線を少しだけ戻し、校舎を見つめる。
校舎?……もしかして……あれなんじゃ……そう思うと私の体の中から血の気が引くのを感じ、付けていた時計の針を見る。
私は絶句した。
時計の針は惨たらしく入学式の始まる15分前だった。
あの校舎が講堂だった場合……今から歩いても10分前後。
それに今日は大事な式、そのため黒スーツにハイヒールを着ている為、走るのが困難。
ここは大人しく遅刻して行こうかな。
そう心に決め、木を眺めながら元きた道を戻ろうとした。
「?……」
進もうとした足を上げ視線を移動する方向へと戻そうとした直後、私の視界にあるものが映りこんだ。
場所は私から少し離れた所にある木の根元にソレはあった。
その時、私の中で何かが蠢くものを感じた。
遅刻してしまいそうって言うのに、その感覚は収まってはくれない。
そしてその感覚は私の体を勝手に動かし、ソレに近づかせていく。
これだから
小さい頃から気になったら最後、倒れようがなんだろうがそれを解き明かすまでは辞められない。
私自身この病気は気に入ってはいるが、厄介なものだなっと思ってしまっている。
そうこうしているうちに、木の根元まで来た。
木の葉っぱは桜になっており、満開だった。
春のこの時期、新社会人や新入生にとっては祝福だろう。
私は掌に吹雪いてきた花びらを1枚載せる
桜の葉は少し赤が入ったピンク色をしていた。
「あの〜そこのお姉さん〜」
「?……」
突然後方から男の声が聞こえてくる。
私はその声が聞こえたと同時にゆっくりと後ろに振り返ると黒のTシャツと黒の袴風ズボンを履いたクールな黒髪ウルフの男と隣にもう1人が手を振っているの方は髪染めてから少し経つのか、ちょっと薄い金髪に地毛が目立っており、ロングの男がいた。
クールそうな男の人はいいとして……あーいうチャラそうな人.
こちらが気づいたのを確認したのか金髪の男が早足で寄ってくる。
黒髪の子はその子の後に続いてきた。
「ごめんね〜突然声掛けちゃって……もしかして新入生だよね?」
「あ、はい……今日からお世話になります1年の花哀と申します」
そのまま45度の角度でお辞儀をする。
それに続いてか、金髪の男も「これは御丁寧に」と言いながらおじぎ返してくる。
「俺は2年の
西條と名乗る金髪の男が、黒髪の男に親指で指すと、脳天を勢い良くチョップされる。
余程痛かったのか、黒髪の男は手を摩りながら横目でいってぇ!っと叫びながら転がっている友達をみつめる。
「……イケメンじゃねぇよ……同じく2年の
「よろしくお願い致します」
「おい那流神!いてぇじゃねぇか!」
「所で……花哀はどうしてここに?」
今まさに胸ぐらを掴み激しく揺らしている西條の言葉を無視すると、「無視すんな!」っとつっこまれていた。
だが当の本人は気にせず話を続行させる。
「えっと……実は講堂に行こうとしたら、中々たどり着けなくて」
「「は?」」
私が返した返答を聞いた二人が声を漏らすと、私の顔を見つめ、そのままお互いの顔を見つめあい……硬直してしまった。
多分他の人がこの光景を見たらBLだと思われそうだな……と言ってしまおうかと思ったが、
このセリフで私がそっち系と思われたくなく、そっと胸の内に引っ込ませた、。
「えっとね……花哀……こっちに講堂はないぞ」
硬直していた二人がしばらくして再び動き出す。
そして開口一番は西條だった。
彼の言葉を聞いた私の脳はフリーズし、呆然としていた。
何か言わなくては……そう思った私は力を振り絞って声を出す。
「……え?」
自称推理好き少女と蒼い紫陽花のミチシルベ 狂歌 @kyouka00
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