第56話
第28部
「立ち合い」と「封印」 取り越し苦労 【フェイント】と【トラップ】 責任と集団 群と「一匹狼」
「状況判断」と「作戦変更」 世間の揶揄 「正面衝突」 【フライング・ヘッド・バット】 愚民の洗脳
「脱水症状」
(俺)(コイツが相撲系の技で来るのならば…俺は宛ら…ラグビーの突進力を応用した…んな技か…???或いはそれ等激突系の【タックル】でとも想ったが…如何せんこの場所のそのスペースが…これじゃ~狭すぎる…助走のその間を長めに取って…加速を着けなければ…俺の体重とその重心を利用した…打撃系の【技】は…ヤツの体格へ跳ね返されてしまう…連合の連中は昨日のあの戦いで…俺の「身体能力」を見抜いてて…しかもこの「植田」のその…「身体能力」へと合わせて…敢えてこの場所を選んで来遣がった…それが証拠に丁度この場所…この即席の特設リングは…「相撲」の「土俵」…ほぼそのモノの広さ…大きさで在る…まあ最も連中も只の馬鹿じゃねえんだから…そりゃもう仕方がねえが…そう言った意味でも其処では先ず…俺も嵌められたんだって…んな話だ…つまりはこの○○連合の全体と…そしてその総力…それ等全ての連中が組んで…コイツの…???連中の【副番】で在るこの【副番】「植田」の…最も得意な「相撲」の…その「相撲」の「土俵」へと…引き上げられたんだって…んな話な訳だっ…「自分の土俵で戦え」って…そう言うからなっ…勿論俺もその…「自分の土俵で戦う」が…空間や場所を活かしてそれをこなす…俺の戦術が…此処ではもう殆んど…使えねえんだし…通用もしない…要は何もねえんだ…有効スペースを活かし…助走での加速を着けて…打撃力と破壊力を増大させる戦法も…既に試しては居るが…???効いたのか効いてねえのかどうも…???今一あの…度デカイ図体の脂で…その脂肪の塊で…???あの化け物のその様子からは…其所がもう全く…ピンと来ねえっ…この場所であの体重差と…その筋力でももう圧倒的に勝る…あの怪物を仕留めるには…俺に残されたその道と戦法は…もう【カウンター】しかねえ…【カウンター】のみだ…んじゃ~1発…試して見るか…???俺のその…【カウンター】ってヤツを…???)。
暫しの「硬直状態」が続いていた、凡そ2分程だろうか…???
その間も「植田」はずっと、俺のその様子を伺って居て。
自分からは全く、攻めては来ない。
俺の「反射神経」が優れているのを、既に察知しても居て。
自ら【技】を仕掛ける事を、どうやら止めている様だ。
しかしコイツが使った【技】は皆、現状では「相撲」の。
その【技】ばかりだ。
その中でも、【ブチ噛まし】を含んだ。
つまりは「立ち合い」で使う幾つかの【技】を。
コイツは既に、封印をして居るのには違いはない。
最も「相撲」の「立ち合い」ってのは、その際に対戦をする。
その両者が。
「仕切り」と言う御互いの、その「間合」い。
その一歩手前から、(仕切り線)でその呼吸を合わせ。
睨み合いをする、その眼の表情や。
その【発動】の一瞬で、開始をされる。
それ等のセオリー、つまりは取り決めとその動きから。
立ち上がったその直後に行われる、【技】の掛け合い。
それが「立ち合い」ってヤツだ。
要はその際に仕掛ける、その御互いに繰り出す【技】の。
その競い合いと、その【タイミング】を指して。
「立ち合い」と、そう呼ばれている訳だ。
つまりこの場所では、その「立ち合い」ってのが。
俺が先制をして、此方から仕掛けない限り。
端からねえんだって、そんな話な訳だ。
「立ち合い」を封印された、「相撲」の【技】ってのは先ず。
残りは「後の線を取る」の、それが全てで。
相手の動きへと合わせて、その力を利用し。
その先を読んで、自らが繰り出す。
自分の【技】を仕掛ける。
そう言った種類の【技】をコイツは、俺に対して仕掛ける。
その【タイミング】を今。
「虎視眈々」と、狙って居るって言う訳だ。
ならば逆に、俺の側へヤツを。
誘い込めば良い。
ヤツから先に、俺に仕掛けさせるのに。
必要なモノってのは…???
ヤツを怒らせて、「怒り心頭」に迄も導く。
熱く限りのないその闘志を、沸かせるモノ。
そうした「発狂」の渦、塊へと。
完璧な迄の、その誘導をするモノ。
つまりはそれ、「挑発」ってヤツだ。
俺が仕掛けたその「挑発」へ、乗って来るのか来ねえのか…???
まあ其処迄は流石の俺にも、到底判らんのだが。
兎に角先ずは試して見る、少なくともその価値は在る筈だ。
何でも遣る前から、その先を読み過ぎて。
その心配の余りに、結局潰れてしまう事を。
世の中では「取り越し苦労」と、そう呼んでいる。
この「取り越し苦労」ってのが、人間が一番しては行けない。
苦労なんだそうだが。
何事も遣って見なけりゃ解らない、そんなチャレンジ精神ってのは寧ろ。
其処から始まるんだって、んな話な訳だ。
俺は早速、【カウンター】を放つ。
その【タイミング】を作り込む為に。
この図体の度デカイ、○○連合の【番格】。
先ずこの【副番】の「植田」の、その「挑発」へと取りかかった。
(俺)「おいっ…お前さっきから…受け身ばっかじゃねえかよっ…もしかして俺が怖ええんじゃねえだろうなっ…???オッサン面であんまり…表情もねえから…良く判らねえけども…???どうせお前見てえなヤツは○玉も穴の穴も…小さ過ぎるんだろう…???穴と太股の肉に潰されて…んで図体のデカイ割には…鼠見てえな根性してっから…自分からは怖くて…攻めて来れねえんだっ…???おいっ…それでどうせ図星だろう…???俺も自分から攻めるのばかりはもう…いい加減飽きて来たわ…折角の【タイマン勝負】なんだからよぉ~っ…一回位俺にも受け技…遣らせて見ろよっ…お前よりヨッポド…上手いかも知れねえぞ…それにお前顔も手も…焦げた見てえに…真っ黒じゃねえかよ…そう言うの【焼豚】ってんだっ…この【焼豚】野郎…」。
(○○連合一同)「……………」。
俺の爆発的な大音量、「挑発」のその声と。
その言葉を聞いて。
一斉にこの「1年A組」、教室の中は静まり返った。
流石にこの「挑発」へは、仮にもまあ。
○○連合の【副番】…???
【副番】を張る、この「植田」も。
その取り巻きで在る、つまりは小中学校の友達。
まあ幼馴染み達も、相当~頭には。
来た様だ。
もう聞いてるその途中から、顔や耳を赤くして。
頭に血が登り、眼光をギラギラと。
光らせて居る。
俺はもう言う時は、それも徹底的に言う。
傷付いたとか言葉の暴力だとか、酷でえヤツに成ると。
言葉のテロだとか…???
まあでももう、ソイツ等も同様で。
結局自分達の、その言いたい事を言う訳だが。
どの道世界は戦争で、言葉こそそれ程に。
悪りぃ事は言わなくとも。
その水面下では、もっと酷でえ事をして居る。
そんな連中達が、この世界を牛耳ってんだっ。
だから何でもその引き合いに出して、もうケチョンケチョンに迄言って遣る。
「お前の母ちゃんデベソ」の、その世界だ。
俺は更に、自分の中指を立てて。
その手の甲を、「植田」へと見せた。
【Fuck You】「フアッキュー」で在る。
「植田」は一端、その場へ屈めて居た。
自分の上体を起こし。
首を鳴らし、左右交合に肩を回すと。
両腕で自分の身体を、挟み込む様に。
その太い腕を、再び交差させた。
更に再び、自分の顔を叩いて。
その後深く、自分の首とその腰を。
落としながらも。
もう念入りな迄に、「四股」(しこ)を踏んでいる。
俺は再び、其処へ追い討ちの。
「挑発」を仕掛けた。
【バフッ…バフッ…バフッ…ペシッ…】
(俺)「お前何時迄も1人で…何遣ってるってんだ…???お前ヤッパリ馬鹿か…???準備運動ならもうさっき…充分にしたろうに…???もう勝負が始まって…身体も暖まってるってのに…???んな事今してたら…只無駄に…疲れるだけだっ…俺はもうあんまし休んだんで…御蔭で体力は…もうスッカリと回復したが…何かもういい加減に…飽きて来たわ…とっと決着を着けてえからもう…早くしてくれっ…そんな糞切りが悪りぃ事してっと…糞も出なく成って…又腹が出るぞ…もう出てるけど…」。
(○○連合一同)「……………」。
「植田」は落とした腰を、更に落とし。
もう殆んど、その場へしゃがんで居る。
更に棒の様に、その吹き出して居た鼻息を。
極限迄にも荒げた。
顔面はもうまさに、真っ赤と成って居て。
まるで「マントヒヒ」の様だ。
完全に「怒り」を表とし、その眼からは。
異様な迄の光が、放たれても居る。
爆風とも想える程に、体内から振り絞る様な。
鼻息を1本、力強く吹き出すと。
再び1発、自分の顔を叩いて。
その後低い体勢の、その構えの儘に。
腰を屈め頭を下げて、叫び声を上げながらも。
もう猛突進のその勢いで、俺に向かって突き進んで来た。
【バフッ…バフッ…バフッ~ッ…バシッ…】
(植田)「おうらあ~っ…‼️」。
【ドドドドドドド…】
俺は寧ろ、この【タイミング】を狙って居た。
右利きの構えから。
左前右後ろの、その【スタンス】を取りながら。
ヤツとのその距離と、接近をするその【スピード】を読んで。
一端自分の左軸足を、半歩前に。
【スタンス】を更に、些か広く取ってから。
「植田」のその顔面を、「噦り上げる」様に。
爪先で床を這う様な、その【右前蹴り】を放った。
【バシュ…ブウ~ン…】
(○○連合全員)「ウォォォ~ッ」。
爪先で床を這わせる程の、低い蹴りを放ったのは。
「植田」にその顔を、上げさせる為だ。
左の軸足を先に、前に送ったのも。
一つにはその為にで在る。
送り出した俺の軸足の、その踏み込みの音を聞いて。
ヤツはそれに気付き、顔を上げた。
俺は足の甲に因って加える筈の、その打撃技を。
直ぐに爪先の、その裏側へと変更をし。
指を反らし足の裏側を、「植田」の顔面へと向けた。
つまりは【踵】ではなく、爪先から踏み込むその際に。
最も初めに地面を踏む、「中足骨」(ちゅうそくこつ)の。
その部分をで在る。
しかしそれに気付いた「植田」が、その寸前に。
【ブレーキ】を掛けたその為に。
俺の【右前蹴り】は、その場で空を切った。
「植田」は一端、その場で上体を起こし。
更に顔を上げた。
上体を引き起こし、「驚いた危なかった…」と言う表情と。
怒りの表情を、共に交えても居る。
再びの睨み合いが始まった、又しても些か。
コイツも長引きそうだ。
俺は「植田」を休ませずに、直ぐに再びの。
その「挑発」を入れた。
(俺)「どうしたいっ…???もう終わりかいっ…???まあ~図体の割にはヤッパリ…パワーは在るが…持久力は無さそうだと…そう想った通りに…長くは続かねえわなっ…○○連合だと…???聞いて笑わせるわっ…しかもお前…【副番】なんだよなっ…俺達ちゃ渋谷の地元の余所者で…此処へは俺を含めても…たったの3人しか居ねってのに…???お前等は一体…何人居るってんだっ…???それにその…たったの3人からの…その内の1人へ…???未だに手子摺ってる…んな【副番】じゃ~…○○連合ってのも…【副番】がそんなモンじゃ…もう大した事はねえなっ…おいっ…」。
(○○連合一同)「……………」。
コレも又再び、「植田」のその怒りの。
「壺」へと入った様だ。
しかも先程拠りも更に、その効果は抜群だ。
俺はこの際に使った「挑発」を、2種類に別けて使って居る。
「挑発」は此処迄で、全部で3回。
先ず初めの「挑発」はこの男、「植田」その個人なこの場での。
【タイマン勝負】に憑いて、それを詰(なじ)ったモノだ。
そして2回目。
この【タイマン勝負】へと関する、「植田」の欠落点を敢えて指摘。
勧告をし。
お前の遣っている事は、無駄な事ばかりだと。
そう言い放った。
更に。
お前の、無駄なその努力の所為で。
俺は退屈さえしているのだと、全てはお前の所為だとそう。
それをヤツに押し付けた。
そして3回目。
最後にこの男の、所属する組織と。
その連合の、仮にも副長で在る筈の。
ヤツが背負わなければ成らない、その責任部分へと。
それも容赦のない、その突っ込みを入れたので在る。
更に俺は其所へ、この連合と。
俺達の総勢数。
大差の開いたそれを、この「挑発」で。
態と引き合いに出し。
この組織のその格を、貶したので在る。
んでこの人気者、「植田」の滔々。
その「堪忍袋の緒が切れた」、と言う訳だ。
もう大成功だろう…???
完璧な「挑発」だ、間違いはねえっ。
この手の戦略を含んだ、その言い争いで。
俺の上を行けるってヤツが居るんってなら、もう連れて来い。
ケチョンケチョンに、2度と俺には遇いたくねえって言う位に。
叩きのめして遣るっ。(笑)
著者・龍神 武明
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