第57話

まあもう、冗談はさて置き。

自らがその責任を背負い、その身を賭けて。

組織の【副番】を張る、そんな自分と。

その組織の在り方迄をも、貶(けな)されて。

「怒り心頭」の「植田」。

ヤツの顔面はもう、まるでもうそれが。

夕日の様に真っ赤っ赤だ。

「怒髪天を衝く」の、その言葉通りに。

怒りへと震えながらも、髪の毛を逆立てて居る。

棒の様な鼻息を吹き出し続け、その様子はまるで。

石炭を燃やし過ぎ、今にも赤黒く溶け出しそうな。

機関車の様だ。


【ブシューッ…ブッシューッ…ブシューーーーーッ…】


(○○連合一同)「……………」。


さっき迄はもうそれも、「意気揚々」とし。

浮かれ狂ったかの様な…???

お祭り騒ぎだった筈の、あの観衆も。

流石に俺が、俺達とこの連合との。

その数を比較して、それを引き合いに出し。

自分等の【副番】で在り、人気者の【副リーダー】でも在る。

「植田」の事を、それももう容赦なく。

詰ったってんで。

いきなり息消沈し、息すらをも出来ず。

呼吸を止めたかの様に、皆黙って居る。

本当に俺はもう、言う時はもう。

遠慮なく言うんで、それも容赦なく。

まあ普段から俺は、そうなんだが。


同じ様にこうした、インターネット等の。

その投稿文章へも。

又同様に、歯に衣着せぬその物言いが。

俺と言う人間そのモノを、表しても居て。

それをして「活字テロ」だと、そう宣う輩も。

まあ居るには居たが。

それでもそんなヤツに限って、実際のテロへは。

何等何も言及はしない、そんなモノだ。

薄っぺらいだろう…???

まあそんな俺の、その御蔭で。

少しは↑コイツ等も。

現状の自分達のその行いが、些かでも解った…???

つまりはその自覚を、初めて此処でした様だ。

処でそれ拠りも、「植田」の方なんだが。

ヤツの場合ヤッパリ、もうどうにもこうにも。

些か足りない様で…???

頭が。(笑)

俺に指摘をされた、その内容拠りも寧ろ。

自分達の仲間が貶された…???

その事ばかりへ腹を立て。

当然俺の、その目の前でも。

怒り狂って居る様子だった。


【ムフッ…ムフッ…ムフッ…プッシューーーッ…】


鼻息ってのもコレッ面白れえモンで、特にコイツ。

「植田」のその場合は。

初めの内は【牛】、それが段々。

【牛】が【野牛】ん成って。

その【野牛】が次には、【闘牛】に成ったかと想えば。

今や【マウンテン・ゴリラ】…???

この先恐らく【サイ】か【ゾウ】…???

最終的には【マンモス】にでも、成りそうな勢いな訳だ。

んでその鼻息の音へと合わせて、その顔ももうドンドン。

それ等動物の鼻息へと合わせた、顔に変化をして行く。

まあ~でも、退屈しなくて良いわなっ。

いや本当に。


【ムフッ…ムフッ…ムフッ…プッシューーーッ…】


実際…???

そんな音がしてたかどうだかは…???

ハッキリとは記憶にねえが。

何かその時の印象を、今思い起こすと。

全くそんな感じだった。

まあんな訳で。

ちった~この俺も、この際盛って見た。(笑)

そんな【マウンテン・ゴリラ】の様な顔をした、いや顔じゃなくて。

鼻息をした、【副番】の「植田」は。

怒涛のその鼻息を、噴き出したその後で。

再び屈み込み、顔を上げたその瞬間に。

猛進を開始した。

勿論、俺に向かってで在る。


(植田)「うおぉぉぉぉぉ~っ…」。


【ドドドドドドドド…】


(○○連合一同)「ウオオォォォォーッ…」。


「植田」はもう、猛烈なその勢いで。

此方へ向かって、突っ込んで来る。

俺は間合いを見ながらも、ヤツのその【タックル】を待った。

(俺)(取り敢えずはまあ…1発受けて見様…)と。

そう考えたからで在る。

勿論、真面にそれを貰う気はもう。

更々とない。

完璧な【ガード】を固め、「ブチ噛まし」の衝突を受け止め。

その衝撃を「後の線」、つまりは真後ろへ。

自分の後方へ限りなく、それ等の力を逃しながらも。

自分は全く、その【ダメージ】を受ずに。

その状態とその姿勢で、衝撃を受け止めながらも。

後退を続ける。

そんな体勢の儘で押され、その儘床を壁迄。

押し流されるつもりだ。


俺は顎を引き、自分の両腕を。

【X】の字へと、クロスさせた。

拳を握り絞めると、その拳で自分の首と。

両顎の脇を固め。

頭を屈め固め顎を引き、歯を力強く食い縛った。

更に「植田」の迫り来る、その【スピード】を読んで。

其所へ合わせ。

ヤツが自分の間合いへ入る、その少し手前で。

その場へとしゃがみ込んだ。

丁度【野球】の「キャッチャー」の、その姿勢でで在る。

そんな俺の体勢へと合わせて、「植田」も身体を屈め頭を下げたが。

前のめりと成って、脚を滑らせ。

遂にその、自分の【バランス】を崩した。


その儘の状態で両者、俺達は激突。

つまりは此処で俺達は、「正面衝突」をする。


【ドドドッ・ズルッ…ブワーッ…ドゴーンッ…ズサーーーーーーッ…バコッ・ガンッ…】


(○○連合一同)「ウオオォォォォーッ…」。


衝突の直前俺は、自分の右足を後方へとたたみ。

その踵を自らの背後、教室の壁に向かって。

爪先立ちに置いた。

丁度【陸上競技】の【短距離走】、その【スタート】姿勢や。

【American Foot Ball】(アメリカン・フット・ボール)の、【Down set hut】。

ゲーム開始の、その直前に取る。

つまりは【Down set 】等の、それ等のポーズ。

その姿勢へ近い形でだ。

余りにも低い、その姿勢の俺へ。

走り寄る「植田」が、身体を屈め過ぎ。

脚を滑らせたその所為で、その儘ヤツは前のめりと成り。

ヤツの【ショルダー・タックル】は、【フライング・ヘッド・バット】へと。

その変更を余儀なくされた。


俺は真正面からそれを受け止め、「後の線」を取りながらも。

衝撃を自分の後方、自分の真後ろへと流しながら。

「植田」を抱え込み。

教室の床を、廊下側の壁迄に。

勢い良く滑った。

俺の後ろ足と成った右足は、やがて教室の壁へとぶつかり。

更に後ろへ押し込まれた俺は、「植田」と2人。

ヤツは頭を、そして俺は背中を。

結局教室の壁へ、激しく激突をさせた。

賞味僅かたったの、5秒へも満たない。

超~密度へと圧縮をされた、その時間の中で。

一連の現象、その全てが終わると俺は。

自分へ覆い被さって居る、「植田」を跳ね退け。

直ぐに反対側、教室のバルコニー側へと。

自分の身体を逃がした。

圧迫され更にのし掛かられた、その状態から。

脱出したかったので在る。

「植田」は激しく、しかもそれも壁ではなく。

どうやら柱へと頭をブツけ、脳震盪を起こした様だ…???

右掌で、右頭部を押さえながらも。

その場でフラフラの儘、それももう懸命に。

ユラユラと立ち上がって居る。


(○○連合一同)「ザワザワ…ザワザワ…」。


まあ頭を強く打って、脳震盪を起こした「植田」は。

もう勿論の事だが。

90キロ以上も在る筈の、その「肉の塊」が。

しかも走りなから。

そしてそれも決して、それを狙ったと言う訳ではなくとも。

【フライング・ヘッド・バット】の、その姿勢で。

真正面。

その頭から俺に、「正面衝突」を「敢行」した訳だ。

俺も腕をクロスし、両拳で首と顎を守り。

完璧な迄のその【ガード】を、固めたつもりでは居たが。

結局その隙間を摺り抜けた、ヤツの頭へ。

その頭突きを、右の頭の。

その上部へと貰い。

俺も「植田」も、もうフラフラで在る。

まあそれにしても、俺と衝突をしたその後で。

壁ではなく柱へと、その頭をブツけた…???

「植田」が負った筈の、その【ダメージ】は。

それももう破格な迄に、恐らく相当な。

モノで在ろう…???


(笑)


(○○連合一同)「植~田っ…植~田っ…植~田っ…うぇ~………………ザワザワ…ザワザワ…」。


再び久々、それも怒涛の「植田」【Call】が。

響き渡って居たのだが。

しかしもうその声を聞いて居て、それも割れんばかりに。

俺は頭が痛い。(笑)

「植田」の様子をチラ見すると、ヤツも俺と全く。

その同じ様子で。

直ぐに片手を上げて、止めろ止めろと。

そんな合図を送ったその為に。

折角久々の盛り上がりを見せた、「植田」【Call】は直ちに。

消沈をしてしまった。(笑)

俺は未だ、自分の頭痛も。

直らないその内に。

ヤツへ更なる、その「挑発」を仕掛けに出た。


(俺)「ほらもう終わりかよっ…???未だたったの…1回目だぞおいっ…」。


「植田」は片手で頭を押さえながらも、俺を睨み。

両手で自分の、その頬を叩いた。


【バシッ…バシッ…】


眼を覚ますその心算(つもり)で、在ったのだろうが…???

愚かな。(笑)

今そんな事をすれば、もう余計に。

痛みは増すばかりの筈だろう…???

案の定「植田」は再び、片手で自分の頭を押さえながらも。

ヘタリ込むかの様に、ペタリとその場へしゃがみ込んだ。


(俺)「ああ~あっ…そりゃ痛てえわなっ…さあどうすんだ…???まさかもう参りましたじゃねえだろうなっ…???」。


脳震盪は脳の一部が損傷、或いは脳細胞そのモノが。

コレも又一部割れたり、崩れたしたその際に。

引き起こされる。

そんな痛みの症状で在るのだと、そう言われている。

確かに頭へ受けた、その衝撃の後。

目眩迄をも伴った、症状のその際に。

早く眼を覚ましたければ。

顔や頭そのモノを、叩きたく成る程の。

その気持ちは、俺にも理解が出来る。

しかしそんな様子へも、俺は子供の頃から。

深い疑念を抱いても居た。


著者・龍神 武明

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