第53話

第27部

一進一退 譲れない攻防 大将首と極東亜細亜のルール 無粋 仁義と掟を知らない者達 闘牛の反撃 必殺技【スキップ・ステップ】 【カウンター】 挑発○○連合の支え柱副番のプライドを粉砕


(A組生徒全員)「植~田っ…植~田っ…植~田っ…植~田っ…植~田っ…」。


まあそれにしても幾ら、物事を知らない…???

まあ端からその出生に因る、その価値観も。

そりゃ【身分制度】の話じゃなくてだ。

つまりはそれも当然各々の…???

その国別で…???

当然それも全く、違うのだとはしても。

こりゃもう「無粋」極まりのない、みっともねえ連中のする事だと。

たったの1人でその場へ居る、俺はそんな自分自身へ。

そう言い聞かせても居た。

しかもそもそも、幾ら此処が自分達の地元で…???その地元以外から入って来た、この俺を…???

それでも発端はテメエ等の側が悪いこの喧嘩で、更に寄って集って単身。

たった1人でそれを迎え撃つ、この俺を取り囲み。

紀元前よりこの方、この【極東亜細亜】で続いて来た。

血筋やその血縁に因り、大陸やその半島の側で作られた筈の。

「一騎討ち」のそのルールも、全く何も知らねえ訳だ。

端からこりゃもう最早、御話しへも成らねえわっ。


俺は子供の頃からもう、文章が好きで。

漢字やそれが作り込む熟語と、諺なんかの。

その意味を考える事が好きな。

勿論当然、その所為も在った訳だが。

まあ勿論コレももう、もう滅多にはねえんだろうが。

戦場でそれも何等かの切っ掛けに因り、大将同士がその顔を合わせる。

それをしてそもそもが、偶然の産物…???

その偶然の産物でも在るハプニング。

その突発的な事故や事件に因って、発生をする。

じゃなきゃ先ず在り得ない、その「大将同士の一騎討ち」へは。


極めてその崇高な迄の、その深い意味が在り。

戦場でその戦争の、指揮を執る大将が。

もしも何等かの事故や事件で、そのハプニングへと。

巻き込まれ、命を落としたその場合。

その際その大将へと着いた側の、その全軍は。

もう敗北をしたも、同然で在る事から。

要はこの「大将同士の一騎討ち」へは、その場へ居るその両軍。

総勢両全軍の、その運命を賭けた。

そんな戦いなので在るとそう言った、深い意味迄もが。

実は在る訳だ。


だからこそこの「一騎討ち」と言うモノは、それももう極めて崇高なモノな訳だ。

そしてどちらかの、その大将が撃ち取られれば。

最早その際。

その場で起きている戦は、全てがそこで終了。

負けた側の残りの全軍は、その敗北を認め。

自ら「投降」をし。

その後それ以上の犠牲者達を、全く出す必要も無いと言うのが。

この「大将同士の一騎討ち」の、その「ルール」でも在る訳だ。

「大将同士の一騎討ち」へはそこ迄の、深いその事情が全て。

込められてもいる。

其所へ横からアドバイス…???

茶々を入れるってのはもう「無粋」も「無粋」、「無粋」極まりのない。

最早「愚行」でも在る訳だ。


しかしまあ取り敢えず、そんな立場へと居た。

その俺が、その「先制攻撃」として。

2発の手応えの在る【ロー・キック】を、「植田」へ決めた事は。

一歩前進。

充分な迄の、この場でのその戦果では在る。

今もその大きなダメージを負った筈の、「植田」は俺の目の前へと居る。

状態を低く構え、両膝へ自分の両掌を着けて。

前屈みの儘で、俺を睨んでも居る。

直ぐ様3発目の【ロー・キック】を、俺が放とうとしたその瞬間。

「植田」は全身のバネを使い、一機に自分の背後へと飛び。

今度は俺のその【ロー・キック】を、上手く交わし避けた。


【ブーン…】


(A組生徒全員)「ウオォォォー…」。


(○○連合の馬鹿)「ウッシャーッ…」。


空を蹴った俺の【回し蹴り】のその所為で、勢い余って俺が。

その場で1回転をしたその直後。

俺が睨んだ「植田」のその眼に、鋭い眼光が走った。


(植田)「フンッ…‼️」


【バシッ…ダンッ…ドドドドドドドッ…スバーーーン…】


(A組生徒全員)「ウオオォォォォーッ…植~田っ…植~田っ…植~田っ…植~田っ…植~田っ…」。


(○○連合の馬鹿)「ウリャーッ…行けるぞ植田~っ…殺っちまえ~っ…」。


3発目の俺の【ロー・キック】を交わした後、「植田」は直ぐに。

両掌で自分の顔を叩き、それもまさに闘牛の様に。

一旦荒げたその鼻息を吹いて、俺に向かって突進。

右肩を使っての【ショルダー・タックル】を、俺の胸骨へと向かって。

怒涛の勢いでブチ噛まして来た。

俺はその儘自分の背後へ、弾き飛ばされてしまった。

まあそれでも、頑丈な身体なんだなっ。

親父とお袋、ありがとう。

その時の俺は、何の痛みさえをも。

全く感じなかった。

「植田」が自分の顔を、力強く掌で叩いたのは。

【サイキング・アップ】。

一機に自らの、その意識を覚醒させ。

全身の神経を刺激、気合いを入れるその為にだ。


只突然に入った、ヤツのその【ショルダー・タックル】と共に。

俺の喉元へ向かって来た、ヤツの額が。

俺の顎の先端を捉え。

その際に擦れ込んで噛み合った、自分のその歯で。

俺は下唇を噛んでしまった、つまり唇を切った訳だ。

ほろ苦い鉄分を含んだ、俺の血液が。

口から顎を伝って、流れ落ち。

教室の床へポタポタと、その血痕を増やしてもいる。

俺は直ぐにその場から立ち上がり、「植田」のその眼を。

一層力強く睨んだ。

「コレ位はもう馴れてる…普通に遊んで居ても…もう毎度の事だ…俺には屁でもねえ…効いてねえぜっ…」と、自分のその意志と。

未だ消されぬ儘に、更に燃え上がったその闘志を。

ヤツに伝えるその為にだ。


(A組生徒全員)「植~田っ…植~田っ…植~田っ…植~田っ…植~田っ…」。


「植田」の放った1発目、ヤツの「先制攻撃」と成った。

その【ショルダー・タックル】で。

俺はそれももう一機に、教室内。

廊下側へと在る壁迄へ、弾き飛ばされてしまった。

そんな俺を見て。

1年A組、このクラス全員の生徒達の。

その大合唱。

「植田」への【Love Call】は、もう鳴り止まない。

先程因りも一層、その勢いは増した様だ。

良く観れば教室のその廊下側へと付けられた、引き戸のその前後へと別れた。

引き戸を抜き取り、その扉が全開に。

開けられてもいて。

別のクラスからの観衆達も、つまりはこの1学年。

○○連合の者達が、皆全て。

この場所での「一騎討ち」。

○○連合の副番で在る「植田」と、俺とのその【タイマン勝負】の様子を。

そしてその行方を、観戦に来ている様だ。


まあそれももう寧ろ、当然だろう。

コイツが負ければもうその後は、そのいよいよ上の。

連合のその番長番格が、俺と遣り合うしかねえんだからだ。

それだけはヤツ等も、もうどうしても避けたい。

もしもそれで、この○○連合の。

その番格番長が負ければ。

この○○連合はその明日から、【渋谷龍神連合】と。

その名前迄をも変えられる、そんな運命と成る訳だ。

そりゃどう考えても、ヤツ等へは屈辱だろう…???


渋谷区は例えそれが、繁華街だとは言え。

○○区に比べれば、その半分へも満たない。

3分の1程度の、そんな小さな区だ。

そんな小さな区の不良に、負けたと在っちゃ~っ…???

自分達のその面子、つまりは顔が立たない。

要は丸潰れだって話だ。

しかも連中へは、俺の地元の渋谷区へ対しての。

そのコンプレックス迄もが在る。

それに何たって、他の地元へ。

看板へ記された名前の、その全てを吸収をされて。

自分達のその看板を、取り上げられ。

更に書き換えられる訳なんだから。

まあ其処迄は流石に、俺はしねえけども。

だってそもそも、「一匹狼」で在るこの俺は。

端からその組織ってモノに…???

全く興味がねんだから。


教室の黒板上へと掛けられた、アナログ時計を見れば。

時刻は未だ、午前7:45.。

中学校時代、早朝の朝練が大好きだった俺は。

それももうスッカリと。

学校へと早く来る、その癖と習慣が。

既にこの時シッカリと、身に着いても居た。

ホーム・ルームが始まるには、未だ時間が在る。

恐らくは今日も、授業は未だ無い筈だろう…???

俺達は未だ教科書も、渡して貰っては居ないのだから。

それにしてもこの、「植田」【Call】は。

何とか成らねえってのかっ…???

コレじゃもうまるで、プロレスの会場そのモノだ。


(A組生徒全員)「植~田っ…植~田っ…植~田っ…植~田っ…植~田っ…」。


暫しの硬直状態で、俺と「植田」の。

その睨み合いが続いて居る。

俺はもう全く怯まずに、それももう一機に。

走りながらも前へと出た。

初めから距離はもう、充分に取って在る。

ヤツに掴まれればそれももう一機に、引き摺り倒され。

【マウント】を取られる筈だ。

少なくとも30㎏へも近い程の、その体重差と。

怪力を持つヤツのそのパワーからも、そだけはもう絶対に避けたい。

上に乗られて押さえ込まれれば、下手をすると俺は。

身動きが取れなく成り。

その状態で体力を失えばもう、後は良い様にされるだけだ。


駆け足で半身(はんしん)のその右側を前に、自分の身体を半身(はんみ)へ入れ替えると。

前へ踏み込んだ右足で、片足での【スキップ・ステップ】。

要は【スキップ】をするその要領で、片足のみを2回進める。

「植田」の正面へと飛び出して、俺は自らのその。

自分の間合いへ迄へと入った。

中学時代その体育館で遊んで居た頃、【バスケット・ボール】で。

俺の良く使って居た、コレは俺のその得意技だ。


身体の片側を突き出す事に因って、自分の身体の幅を細め。

【ディフェンス】のその隙間を、通り抜け易く成った。

その姿勢での【スキップ】。

つまりは片足に因る、その【スキップ・ステップ】は。

面白い程有効に、【ディフェンス】達のその合間を。

擦り抜けて行く。

更に防御をしている、【ディフェンス】のその側へ。

自分の背中を向ければ。

俺がドリブルをしているそのボールは、俺の身体のその影と成り。

俺の身体そのモノが、相手の視界の邪魔をして。

選りそれを、奪い辛く成ると言う訳だ。


まあ実際には俺は、【バスケット・ボール】部へは。

所属して居なかったんで。

【トラベリング】等の、実はその。

詳しい「ルール」も全く、良くは知らない。

この【スキップ】を応用した、【ダブル・ステップ】に因るアクションのその動きが。

本ちゃんのその【バスケット・ボール】の試合、その公式「ルール」会場で…???

使えるのかどうかも、実は全く知らんのだ。


そう俺は単に、身体能力。

自分のその持久力を引き上げる、その為だけに。

この【バスケット・ボール】の朝練へ、自主参加をして居ただけなのだ。

まあそんな俺を、しかも約2年半余りにも。

受け入れてくれて居た、【バスケット・ボール】仲間達の。

その御影で。

俺の体力は、それも持久力が極めて。

本当に目覚ましい迄の、その向上を魅せてくれていた。

本当はこの高校へ、【ボクシング】部が在ったのならば。

俺はその【ボクシング】部へ、入りたかった訳だ。

そうその為にこそ先ずは、最も培わなければ成らない。

その持久力が。

只無性に欲しかっただけなのだ。


(A組生徒全員)「植~田っ…植~田っ…植~田っ…植~田っ…植~田っ…」。


著者・龍神 武明


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