第43話

第23部

大激戦その④ 直感 軍師としての作略 交渉の行方 そして切り札 過去世からの記憶 大将軍の視た景色


1980年4月


再び俺の15歳、俺の高校1年生。

その春の話だ。

何度も言うが「勝敗は…五分を以て上とする…」。

こりゃもう俺も大好きな、この国【日本】の戦国時代の武将。

「甲斐」の国の大将軍、【武田信玄】のその言葉だ。

こりゃ【ユーラシア大陸】のその東端へと浮かんだ、この小さな島国。

【日本】って言う特殊なこの国でこそ可能で在った、実は夢の様な話だ。

【中国】や【朝鮮半島】、そして【中東】や【ロシア】迄をも含めた。

あの大陸じゃ~、勝てば相手の国の物。

その全てを奪い上げる。

要は「根絶やし」にするって、世界史実ってのは所詮。

そんな話な訳だが。

そんな【中国】や【朝鮮半島】の、しかも紀元前から続く。

そのエゲツない迄の、そんな風習とは又全く違っていて。

この国【日本】の大将へは実に、人に因ってはその。

人情が在る、なんとも情け深い。


俺が言いたいのはつまり、この交渉って肝心なその場では。

例えそれをどちらがが一方的に…???

自分達の有利のみの、その結果で終わらせてしまっても。

後々決して良くはねえんだって、その話だ。

但し世界でそれは、全く通用はしない。

トコトン甘い連中だと想われて、下手をすれば。

逆に良い様にされるだけだ。

世界を相手にする場合は、情には決して絆(ほだ)されず。

可能な限り迄もう、相手をトコトン詰めろ。


しかし当時のこの国日本ではまだ、在る程度この情け。

義理や人情が通用もして居た。

もうしかし更なる無理難題を押し付けて来る、この外来渡来人達の。

2世世襲連中達が、横暴を振るい始めたその地点で。

既にその義理や人情の「神話」も、最早通用はしない。

崩れ始めて居たに違いはない。

まあそれでもまだ、当時は些かは。

通用をして居たそれ等を手札に。

その為にも俺は一端、一端自分のその優位を態と。

フラットへと戻す為にも。

この交渉の場と言う、極めて緊張感の高いその場へ。

その話し合いの中へと、敢えて笑いを誘った。

何故なのか…???

俺には自分自身その自らの、その戦略が在ったからだ。


この○○連合…???

そのコイツ等が俺に、恐らくは。

近々交渉を持ち掛けて来る筈だと。

そう俺が察した、その時に。

当然俺の方も此方から、その場で逆に連中達へ。

此方側から、持ち掛ける為のその交渉事を。

考えても居たからだ。

この前日、昨日の入学式のその後で。

あの夜俺が考えて居た事ってのが、その内容な訳だが。

要は「give and take.」。

一方的に何かを頼まれ、押し付けられるだけじゃなくて。

当然向こうが必要とした、交渉と言うその場を。

持ち掛けて来る以上。

此方からもその対価としての、逆交渉を。 

いっその事この際に、して仕舞おうって。

んなつもりだったって訳だ。


それこそが寧ろ、「フェアー・トレード」ってヤツで。

ってか…???

交渉ってのはそもそもが、そう言う場の。

そんな場所の筈なんだが…???

一方的な交渉なんてモノは本来、先ず在り得ない訳で。

増してや今まさに、それが対立をして居る。

その相手とならば、もう尚更の事だ。

此処で向こうの意向だけを、此方が鵜呑みに。

飲み込んで終えば。

通常その相手はもうドンドン、調子に乗って来るだけで。

世の中ってのは所詮、そんなモンだ。

こりゃ良く覚えて措いた方が良い。


それが世界で在り、現実の世界で。

その世の中てってのはそうそう、甘くはねえんだって。

そんな話だ。

それが世界の、常識ってモンな訳だ。

そしてこの場へは既に、俺の優位ってのが。

先ずはもう起きて居て。

当然奴等へは、不利なその状況が在るんだって事が。

現状のコイツ等に執っての、もうどうにも成らない現実。

そしてその状態な訳だ。

そもそもコイツ等は、自分達のミスから。

まあ例えそれが、当事者では無いとはしても…???

組織でってその考えからすれば、当然もう。

その責任を問われる、そう言う立場な訳だ。


こうした事が解らねえで、その判断も付けられねえと。

人はもう毎回、それも相手に良い様に。

遣り込められるだけだ。

特に【中国】や【朝鮮半島】は、ユーラシア大陸の中でも、

奴等はもう、其所が断トツ。

押しが強い訳で。

油断をすれば時にそれが、此方の「無理難題」でも。

恰かもそれが、まるで当然でも在るかの様に。

それも半ば強引な迄に、平然とそれを押し付けて来る場合も在る。

それが【中央集権主義】で在り、【律令制制度】で在ったと。

言う事なのだ。


特に【李氏】、つまりは【李一族】。

【李氏・李一族】は戦争のプロで在るのだから。 

【李氏】達は例えそれを、平常時でも。

戦時下では無い普段からも、それ等を常に。

行って来ても居る。

常時戦争と、その戦時下の中へ。

自らの身を置き。

戦略とその策略を、考えながらも。

それを実行し遂行をし続ける。

要は作物を収穫する為の、その畑仕事と同じで。

今作ったモノはその後で、その収穫をし。

その収穫を糧に、豊かな生活を甘受しながらも。

次の収穫を作り始める。

勿論それが、戦争戦略へ関してもだ。


それがこの極東亜細亜の、その常識で在り。

又当たり前の、その話だからだ。

俺はそれを誰に習った訳でもなく。

この前日、入学式のトイレで行った。

あの喧嘩の際の、その戦術へも。

俺が使ったのは【囲地】、つまりは【中国】。

嘗ての【中華】の、中でも最高等戦術と言われる。

「孫子の兵法」だ。

※孫武曰く。

「【囲地】とは入り口が険路で…中は断崖絶壁へと囲まれ…出口が先細りしている…追い込んだ敵を討つのに絶好の地形で在る…その場所の呼び名」。

今回の交渉の場で行った、その駆け引きも。

何故か皆元から、俺はそれを知って居た。

特に誰かに、それを習った訳でもないのにだ。

つまりは産まれながらにって、そんな話な訳だ。


要は元より交渉とは、コレが国家間で在れば。

外交と言うその話だが。

政治家としてのその戦略と、実戦の場でそれを行う。

軍事力迄をも持ち合わせた。

将軍としてのその資質と器を、端から持って居たと言う訳だ。

不思議なモンだ、恐らく俺は自分の過去世で。

将軍や軍師として。

それも実際の戦場で、戦って居た筈だろう。

俺は又その武人としての、最強の運勢を持って居て。

過去世で学んで居た、或いは経験を積んだ。

その記憶を。

この時の俺は、それも自分自身の。

それも未だ15歳と言う、その自らの力のみで。

自らの命へと、呼び戻して居たのだ。


そこへ更に、連中の犯して居るミスを。

全てこの場へ、隈無く引き摺り出して。

この場のその交渉へ1人、100人近くは居るで在ろうと想われる。

その全ての不良達を相手に。

俺は単身、1人その場で。

戦いつづけたのだ。

しかし自分達の地元で、組織の看板を掲げて居る以上。

余所者の俺には負けられない。

例えそれが、自分の所為では無いとはしても。

一端抱えてしまった、組織としてのそのミスを。

どうにもこうにもそれが、それが腑に落ちない。

しかし抗おうが何をし様が、結果的にはそれが。

自分達のミスだったと言う。

そんな状況を自らの組織が、まあ自分達の仲間が。

作り出してしまった訳だ。

こんな事へ巻き込まれるから、俺は組織ってのが。

もう凄振る嫌いと成った。


先ず組織ってモノへはもう当然、その存在に因っての。

その良し悪しが在る訳だ。

こりゃその組織内の、その良い面と悪い面での。

悪い方のその結果もで在る訳だ。

俺はそれが嫌いだった。

自分で起こした失敗で無くとも、自分が攻められる場合も在る。

でもそもそもが、それを其処迄看板背負って…???

遣る必要もねえ訳で。

つまりはそれも、その裏を返せば。

俺と言う、その存在へ対しての脅威を。

感じたからに、帆か成らないと言う訳だ。

実際に俺はこの時、1人で戦って居た訳で。

13対1と言う喧嘩でも、全く負ける事は無かった。


極めて躍動的な、そんな時代で在る。

戦国時代に。

場合に因っては【国王】の持つ、その最大の権限すらをも飛び越えて。

自らの力を振るう事を許される兵士、つまりは【大将軍】で在るのならば。

全ての責任は単身、その一切を1人で背負い。

それ故自分自身が悪くは無い事は、決して攻められる理由も無いのだ。

だからこそ俺は、組織が嫌いで。

人とは決してツルまない。

自らのその人生の全てを、この【大将軍】の様に。

俺1人で、成し遂げたいからだ。


って事で現状・俺の有利。

んな状況の中で。

俺は先ずその自分の優位を、即座に打ち消しへと出た。 

その為の戦略として先ず俺は、この場へ笑いを誘った。

何でこんな危機押し迫る、大喧嘩のその最中で…???

今後の行方迄をも決めるその場所、その交渉の場で…???

俺は一体何を考えたのか…???

それが「緊張と緩和」だ。

コレは敢えて、俺が連中達を撹乱したのだと。

そう言っても良い。

つまりはそれこそが、俺のこの場での。

その作戦戦術で在り。

先ずはその1つの、その戦略で在ったからだ。


そして最終的に、この交渉の場のその勝敗を上と。

つまりは五分へと持ち込むその為には。

俺は先ずこの連中達へ、花を持たせて措かなければ成らない。

此所は連中達のその地元で、その事を俺は最大限に。

憂慮して遣らなければ成らないのだ。

しかし俺はそれで居て尚も、当然決して。

負けてる訳には行かない。

負ける訳には行かねえだろう…???

俺は決して、悪くはねえんだから。

俺が絶対に負けない、そんな戦略で。

そして又そんな状況を、今のこの場で。

作り込んでしまう事。

この時この場でこんな状況へと立たされ居た俺が、俺が選択をしたその答えは。

こうだ。


(俺)「ヨシッ解った…此処はお前等の地元なんで…お前等はしかも俺たった1人へ…決して負ける訳には行かない…ってんで実は全く関係のねえ…プロレスラーだか相撲取りだか…黒くて素デケエ度怪力の…野牛猛牛見てえなヤツを態々連れて来て…俺とソイツをタイマンで…勝負させてえと…そう言う訳だ…させてえんだろう…???」。


(本田)「そうだ…」。


(俺)「良いだろう…その申し出内容…全て飲んで遣る…」。


俺はアッサリとそう答えた。

端からこうした展開を、俺は予測していたからだっ。

此処はこの連中の地元で、この2人は。

その地元の連中が作り込んだ組織の、その一員で在ると言う事。

○○連合と言う地元の看板を背負った、そのグループの名前が。

ハッキリとその事を、物語ってもいる。

そして今の処ヤツ等へは、全くその落とし処が無い。

ミスを犯したのは自分達の仲間で、どう考えても俺には。

その非が無いからだ。


しかし何らかの理由や、その条件を着けて。

その落とし前か…???

或いは事実の隠蔽に、俺の口封じへと。

挑んで来てもいる。

それがそれ程に、悪質なモノでは無いとはしても。

俺は負ける訳には行かず。

それ等に相応をする、全ての内容を含んだ

戦略や攻略法を、考えて来る筈だと。

まあまさかそれがあの、あの怪力豪腕の。

相撲取りだかプロレスラーの様なヤツとの…???

タイマン勝負で在るとは。

俺ももう努々とは、想わなかったが。

しかし何れにしても、何処かでヤツも。

必ず出て来る筈だと。

この前日の夜俺は、自分の部屋で1人。

そう考えて居た。

要はこんな状況も又、予測通りなので在る。

しかし只じゃ転べない、此処からが俺の。

その本当の勝負だ。


(俺)「但し…」。


俺の発したその一言で、A組の教室内へは。

鋭い緊張が走った。

何等かの理由か条件を、此方も持っているのだと。

漸くこの時此処へ交渉に来て居た、その2人も。

「本田」と「村上」の2人も、その事へ気付いたからだ。

勿論この教室内、俺達3人のその遣り取りを。

此処で一緒に聞いている連中達の、その身内達迄をも。

その全てがだ。


(俺)「それには当然此方へも…俺にも条件が在る…」。


「本田」と「村上」のその眼の色が、大きく変わった。

鋭い眼光を光らせて、此方を睨んでいる。

早速俺は先手を打ち、連中にもう容赦なく。

その追い討ちを掛けた。

この場で行われている交渉の、その先制攻撃へと出た訳だ。


(俺)「んで俺の出す条件も当然…???そっちも飲めるんだよなっ…???

」。


「本田」も「村上」も、口を噤んで答えない。

まだ俺のその出方を、ジックリと伺っている。

俺はこの時未だ、その自分の条件を。

決して口にはしなかった。

この交渉と言う場のその状況をフラット、敢えて此処で又一端。

平等にするその為だ。

お前等の条件は飲んで遣る、ならば当然。

俺の条件も飲めと。

連中の喉元にそれを、突き付けたのだ。

それが昨日の夜、渾身の知恵を振り絞り。

俺が考え抜いた。


この「交渉」の場と言う、戦いのその場での。

その最大戦略だからだ。

更に俺はこの場へ、更なる追い討ちを掛けた。


(俺)「今お前等は自分達の仲間のミスで始まった…この喧嘩の…その体の良い体裁を作ろうと…俺に自分達の…その一方的な迄の事情を含めた…その申し出を…俺に伝えに来たって訳だ…」。


教室中が静まり返っている、俺とこの2人の会話内容を。

皆耳を攲てて、どちらへ非が在るのか…???

交渉の行方はどうなるのかと…???

俺がミスを犯し、連中に丸め込まれ嵌められるのか…???

それとも自分達の仲間が、態々此処へ来た。

この2人の方がミスを犯し、或いは俺に丸め込まれるのか…???

この際のこの場面で、最も注目されていたのは。

その成り行きだ。


著者・龍神 武明

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る