第40話

じゃねえと下手をすれば、そんな話しはしてねえって。

面接の時に話された筈のその約束も。

契約書へ細かく記載をされたその法的に、もう良い様にして来るから。

契約書なんてもう端から、面倒臭いし。

俺達庶民は殆ど、それを読まねえだろう…???

其所が狙いでそれこそそれが、今の世の中で。

大きな権威や権力を持った連中は、直ぐ調子に乗って来るから。

んで良い様に使われんのが又、この「奴隷身分制度社会」の。

その落ちって話だ。


んで交渉の達人がその2人、俺の処へ来た。

って事は先ず此所へ来た、コイツ等2人ってのは。

その交渉って場の、フェアー・トレードなシステムを。

対等な契約と、この約束交換のその場での。

約束事の進め方を、良く理解してるんだって。

んな話な訳だ。

此所での約束事ってのは、先にも俺が説明をした通りに。

世界のルールってその話で。

欲しい物は早い者勝ちで、例えそれが無くなっても。

ボヤボヤしてた、お前が悪いって。

騙されるのはお前が勉強不足で、お前が馬鹿だからだ。

ってのが、世界のそのルールって話だ。

それが対等な、その話の。

此処へ置かれた、テーブルって事だ。


実際にこの2人、飄々と此所へ来て。

しかも先ず俺と、あの馬鹿野郎の。

その喧嘩を止めた。

喧嘩を止めたその後で、更には礼儀。

挨拶と自己紹介迄を、この2人はした訳だ。

んでその後で。

「2人で態々…時間を作って…話を聞いて貰いに…お前に逢いに来た…」と。

そう言って来た。

仕方ねえから先ずは俺が、その場で自分の喧嘩を止めて。

「良いだろう…話を聞いて遣る…」と、そう言ったその地点で。

此所でもう既に先ず1つ目の、連中のその交渉が。

成立をしている訳だ。


だからこそ俺は、それも敢えて上から目線で。

「良いだろう…話を聞いて遣る…」とそう、そう釘を刺した。

つまり此処で俺が言う、交渉の達人ってのは。

そう言う意味でもだっ。

先ずはこの場へ居た、その当事者の俺が。

それをしかも、連中のその上位から。

承諾し認めたっんだって。

敢えてんな話と、したと言う訳だ。

さあんじゃ、交渉を始め様。


(本田)「なあ龍神…」。


(俺)「何だ…???」。


間髪を入れずに俺は答えた。

俺の名前を呼んだだけの、その「本田」へ態と。

「何だ…???」とそう、俺は聞き返したのだ。

一回一回丁寧な迄に、その間を作って。

俺が返答をするのは。

相手にこの場の主導の、その全権を与えずに。

話を一機に、続けさせないその為にだ。

話を一機に、続けされてしまうと。

頭が混乱し。

内容に因ってはその重みから、聞き逃しや聞き間違え。

つまりは誤認や返答のミス等を、自ら引き寄せて。

招くからだ。


逆に一々と、話を止める返答を返している場合。

相手は自分の口調と、そのペースを乱され。

話し辛くも成る。

「本田」は案の定、遣り辛そうに。

自分が続ける筈だった、その言葉へも。

詰まった様子だった。

しかし直ぐに、こう切り返して来た。 


(本田)「………まあ未だ此方側は…まあ頼み事には来たんだが…その本題も未だ言ってねえ…処で俺達が○○連合の…此処での交渉のその代表だってのは…もう判ってたんだろう…???」。


「○○連合の代表」、「本田」は一端。

話へは詰まったが。

看板と自分の位、つまりはこの組織の。

自分は重鎮としてその代表、交渉人として此処へ来た者で在る事を。

俺に仄めかして来た。

要は俺を、威嚇した訳だ。


(俺)「まあなっ…昨日俺は校門でのあの一件で…お前等の顔は見たが…未だ逢って話した事もねえ…要は俺の知らねえ筈のお前等が…態々此所へ来て…あの野郎の仲間で話が在るって…そう言ってんだ…当然お前等2人共に…あの馬鹿を含める…何等かの組織へと属した者達…ってか…???○○連合ってヤツか…???その組織としての意向が在るから…それを俺に…伝えに来たんだって…そう想うのが順当ってヤツだよなっ…???で良いんだよなっ…それでっ…???んで一体何だ…???」。


(本田)「…んんっ…」。


俺は此所で組織と、その繋がりを持つ組織。

そして此所へは、この場所へは。

此所へ集まったその連中へは、皆組織とその仲間としての。

その繋がりが在るのだと言う事と。

俺が知らないお前等がとそう言って、その部分を敢えて強調をした。

コレは俺がその組織を相手に、1人で戦って居るその事と。

俺の事をお前等が知って居るのと、又同じ様に。

俺もお前等ではない、その背後へと在る。

もっと大きなその組織の存在を、未だ少なからずとも。

既に知ってはいるのだと。

相手に自分の手の内を、それも態と。

仄めかしたと言う訳だ。


こうした緊張感の在る、そしてこの場所でのみでの。

そんな決め事が在る場合。

相手の詮索反応を促して、充分に効力を持つ。

つまりはそれがコレで1つの、そして在る種の。

その「陽動作戦」な訳だ。

要はつまり色んな事を、考えさせて遣れば良いので在る。


(本田)「そうか…んでアイツも○○連合なんだが…昨日電車の中でお前はヤツに…しかも後ろから突き飛ばされた…でお前はヤツと…喧嘩に成った…」。


(俺)「喧嘩ん成ったってのか…俺はお前が悪いんだから謝れって…そう言っただけだ…筋が通ってんだろう…???」。


(本田)「んんっ…筋は通ってる…」。


(俺)「んじゃ何だ…???今度は又俺とアイツが…その喧嘩の決着を…着け様ってその時に…態々お前達が此所へ来て…???それを邪魔をして…俺と遣ろうってのか…???」。


(本田)「いやそうじゃねえ…チャント筋を通して…コレからそれを説明するから…もう少しだけ…俺達の話を聞いてくれ…」。


(俺)「ああ解った…んじゃ~焦らさねえで…とっとと言って見ろ…」。


(笑)


(本田)「……………」。


此所で再び暫くの、その間が続いた。

この場へ漂うその緊張感を、引き上げる為にこそ。

今度は俺が交渉の本題を、早く言えと。

逆に「本田」へそう、催促をしたので在る。

話の流れを折り、時に緊張から膨れ上がる。

その間を作り。

交渉の場を撹乱する俺に、「本田」は緊張し。

かなり遣り難そうだ。

場面は膠着(こうちゃく)をし、尚も暫しその無言の間が続いて居る。 


今度は「本田」の側が、一端俺の握ったその主導権を。

剥奪をするその為にだ。

意図的に緊張感を高めて、俺の意識を此所で撹乱し。

良からぬ事を想わせて、迷いやその判断のミスを。

誘導誘発をさせるその為にだ。

交渉の場ってのは常に、そんな場所で。

其処を先ず、理解出来てねえ者達は。

その場で抱え込まされる、根刮ぎのその損を。

最終的には背負わされるんだって、んな話な訳だ。


交渉の達人として、大きなこの組織へと。

選ばれて来たこの2人は。

やはりかなりその辺りも、当然練れては居る。

こうした交渉の場へも、何度も経験が在り。

つまりは馴れて馴染んでるんだって、んな話な訳だが。

早速その交渉の場へと馴染んだ「本田」が、直ぐにこう切り出した。


(本田)「俺達は○○連合で…この場所とこの学校は…その○○連合の地元なんだ…」。


(俺)「ああそれも知ってる…」


話が拗れて来た、拗れて来たってのか…???

態と拗らせて来たってのが、その正解だ。

要は其処から上手く、自分達の交渉を。

俺に飲み込ませて、承諾させ様ってのが。

本当のコイツ等の、その狙いな訳だ。

それにしても…???

一体どんな交渉何だ…???

そんなに度デカイ交渉なのか…???

態々コイツ等迄を、此所へ送り込む様な…???

在る程度デカイ、その交渉に成るのは。

端から予測してた。

そして昨日寝る前に、幾つかのそのパターンも。

俺は既に想定済みだ。

しかしそれでも何だか、自棄にそれが重々しい。

俺が想ってた拠りも更に、重い話だ。

重い話ってのは要は、理不尽な迄のそれを。

俺に押し付け様とする、その悪質な意図が在るからだ。

だから俺は敢えてそれを一旦、跳ね退ける事とした。

因り優位に、この場でのその交渉を続ける。

その為にもだ。


(俺)「それも端から…コチトラ(此方と)承知の上だ…承知の上だが…最初に人を突き飛ばして…謝りもしなかったのは…あの馬鹿の方で…俺は全く悪くねえ訳だ…つまり此方へ非はねえんだって…んな話な訳で…謝るんだとしたらヤツか…???まあお前らの方だなっ…それで仕方もねえわなっ…それともその筋を…お前らが捻曲げてでも…何か文句在るってのか…???」。


(本田)「いやそうじゃねえ…」。


再び沈黙の間だ。

コレも意図的に、そして態と。

「本田」が作って遣がる。

再び俺に、考えるその時間を。

良からぬ思考へと俺を導いて、俺が傾くその瞬間を。

与えさせるその為にだ。

要は今のこの場では、もうお互いに。

相手のミス待ちって話だ。

言葉を間違えて、無礼と成ったり。

上手い事丸め込まれて、自分が損をする。

そんな損な発言をしたり、重々しい依頼を受けちまったら。

つまりはもしも、間違えた事を言って終えば。

此迄有利だっ筈の、俺のその全ての戦況が。

それで一転をし。

全て不利な状況へと、変わり兼ねないと言う訳だ。


著者・龍神 武明

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