第33話
勿論その選ぶべき相手もその道も、もう無数に在る。
そう人生ってのは実に、実に難しいんだ。
処であの電車の網棚事件。
当時この俺が通う筈だった、その高校の。
1年坊達が起こした。
あの入学式の当日に、通勤通学電車の。
その網棚に乗って、高校生が其所で寝そべり。
寛いで居たと言った、その事件は。
それをスポーツ新聞の記者へ、写真を撮られて。
黒塗りのバーコードで、眼を隠された同級生達が。
この時世間を騒がせても居て。
まあ今でもその当時の新聞は、インターネット検索で観れるのだと言うが。
しかし波乱万丈の破天荒、一筋縄には行かない俺には。
それが本当に、まあ良い思い出…???
良い思い出と、成った訳だ。(笑)
って事でまだ当時、当時15歳。
15歳のその俺は。
大激戦の戦場その2日目の学校での、その朝を。
遂に迎える事と成った成った訳だ。
(俺)「じゃあねえ~っ…今日こそ帰りにねえ~っ…」と。
(彼女)「うんっ…此所で待ってて…」。
ニヒッと。
2日目も予定通りに、駅のホームで降りる迄は。
平和な春の日。
まだ些か冷たい風と、柔なか朝の陽射しが。
この駅のホームへも、射し込んでいた。
忘れねえよ、忘れられないわ。
それ程にこのたった2日間、たったの2日間しかない。
俺の高校生活は、もう最高に幸せだった。
しかしこの後、この直後に。
此所で昨日は、突き飛ばされた訳だ。
【ギロッ…】
彼女と別れ振り向いた、俺のその形相は。
既にその一瞬の後に、鬼神と化して居た。
一変をしたその顔は、眼を吊り上げ。
更に極限迄に、眼光を光らせながらも。
口は真一文字へ。
ギリギリと、自分で寒気がする程の。
その音を発てながらも、俺は自分の歯を。
力いっぱいに喰い縛った。
(俺)(あの野郎~っ…今日こそ此所で又逢ったら百年目…"此所で逢ったが百年目~っ"…今度こそ取っ捕まえて…この電車の…下敷きにして遣る…)。
↑※(百年目じゃねえけど…)。
↑(多分天の声)。
多分こんな時の俺の顔は、暗闇で雌猫の尻を追い掛ける。
盛りの着いた雄猫の様だろう、百年の恋も冷める。
そんな顔をアイツへ、観られなくって…???(笑)
本当に良かった。
ってんで電車を降りて、校門へ向かうと。
何だか少し、ヤッパリ不安に成って来た。(笑)
不安は胸に在り、しかしそれをすっ惚けて。
飄々とたその足取りで、肩で風を切りながらも。
学校へと近付いて行く。
何ったって今俺はこの不良高校1の、その一番の。
注目の的、注目の的だってんだから。
すると背後から。
(同級生B)「おいっ【ゾンビ~ッ】…」。
そう呼ばれて振り返ると其所へは、同級生達が居た。
(俺)「在れ…お前等さっき何か用事が在るとか言って…明大前で降りたんじゃねえのか…???もうその用事は…済んだのかよっ…???」。
【パンパン…】
(同級生A)「何言ってんだよ…邪魔しちゃ悪りィし…2人切りの方が話も弾むんじゃないかと想って…遠慮したんじゃねえかよっ…」。
(笑)
(俺)「又~気使っちゃって…らしくねえなっおいっ…お前又何か…???企んでんじゃねえのか…???そんなのオッサンのする事だぞっ…もう俺達へは…そんな事しなくても良いからなっ…アイツも俺と2人切りだと…逆に返って…緊張してる見たいだしっ…」。
優しいな俺って、ヤッパリ。(笑)
(同級生B)「それより何だか…凄げえ気分良さそうじゃんか…???何だよお前…本当訳解らねえヤツだなっ…昨日あんなに…凄げえ事が在ったってのに…呑気だね~っ…全く…」。
(俺)「ああ…それでも1応昨日の夜は…帰ってから…もう満単に考えてた…先ず○○連合ってのが…この○高と同じ…此所の地元の連中だろう…???」。
(同級生2人)「……………」。
○○連合、つまりこの当時。
まだ開発の進まなかった、他の市町村と。
それを比較をしても。
東京周辺、埼玉県や神奈川。
そして千葉と西東京は、八王子迄をも合わせた。
東京とその周囲の他県、3つのその県を合わせても。
その中でも最大規模の、この場所は。
当時最高峰と称される程の、新興住宅地域だったので在る。
俺のお袋の妹も、この○○区○山で八百屋へ嫁いで。
それもまだ俺が5歳の頃、この学校のその通学路で。
交通事故に遇って居る。
まあタクシーへ脚を踏まれた程で、大した事は無かったが。
因縁の在る場所と言えば、もう因縁の在る場所で在る。
そして住宅地域と言えば当然、その人口も多い。
その地元の連中達が集まって構えた、そんな不良グループな訳だ。
一体それが、何れ程の規模で…???
その連合とやらが…???
構成をされ作られ。
そしてこの当時のこの街へ、成り立って居たのか…???
その地域は…???
その規模は…???
その総数は…???
この高校へは…???
じゃあ2年生や、3年生へは…???
仮面を被ってこの喧嘩へ、無関心を装う。
そんな連中達も又。
要は一見、真面目っ子に見える。
そんなヤツ等も又、全て含めてだ。
実はその○○連合達と、それも幼少期からの。
少年時代を共に過ごして来た、要は幼馴染みの…???
その友達って話で。
んじゃ~一体、この学校へ…???
もう絶対的に、今後も俺の見方じゃない。
俺の見方とは成らない。
ソイツ等ってのは…???
どんだけ、どんだけ居るってのかってのと…???
今後この3年間、この学校で。
ヤツ等の地元と、その組織の。
そのプライドを賭けた。
その闘いへと巻き込まれて。
一体どの様に俺は、それを回避して行けば良いのかと…???
取り敢えず俺は中学時代の、その同級生達へ先ず。
その話をした。
そして今後、もしかすると俺は。
この高校へ、通えなく成るかも知れないと言う事を伝え。
2日目の朝の、電車の中での。
その話は終わった。
(俺)「って事で俺はこの学校へ…通えなく成るかも知れねえっ…しゃ~ねえだろう…???タイマンを張れってんなら別に…良いんだけどもよっ…それも同級生達がってんなら…俺はもう何時でも…受けて立って遣るし…しかしそれにしても…数が多い…一体何人居んのか…全く判らねえし…第一その数が…多過ぎるわっ…そしてその…○○連合と遣らの規模も…もう切りがねえだろうよっ…切りがっ…収集も着かねえわっ…お前等を此所へ残して行くのは…悪りィけど…この学校の抗争が終わって…1段落憑いて…番格…つまりは番長が決まったら…一度渋谷へソイツを…連れて来いよっ…俺もソイツとは…話して見てえし…同等になっ…ソイツも嫌がらねえだろうよっ…???俺が逢いたいって…そう言ってるって言やあ~…何せ13対1の…その喧嘩を…俺は1人で受けて…遣って除けたんだからなっ…」。
(同級生B)「解った…それは俺が約束をする…」。
(俺)「まあ取り敢えず俺は…昨日しかも…13対1で…ほぼ勝っちゃった訳だしなっ…今日は何が在っかな~っ…何かワクワクとして来たわっ…」。
(爆笑)
(同級生B)「お前…お前も本当に…変わってんな~っ…呑気と言うのか…???馬鹿ってのか…???」。
(俺)「馬鹿野郎~っ…ふざけんなっ…呑気と馬鹿じゃ~…大して変わらねえだろうが…それじゃ殆んど…一緒じゃねえかよ…馬鹿なんだか大物なんだかにしろィ…」。
(爆笑)
(俺)「んで今日は…???怖くねえのかよっ…???」。
(俺)「うんっ…怖くねえっ…全く怖くねえかって言ったら…そんな事もねえんだけど…けどなんだかそれって…ドキドキしてんのと…変わらねえじゃねえかよ…今まだ若い俺には…このドキドキ感ってのが…又良いんだよな~っ…何かアイツと一緒に…居る見てえで…」。
(同級生B)「あっほらっ…出たよっ…」。
(爆笑)
(俺)「例えそれが…どんな状況下でも…今成すべき事と…成さねば成らぬ事は…もう常に在る…それが俺の場合…世間の人達とは…全く違ったとはしても…そりゃ選択肢の問題で…元々人各々で…そりゃ端から全く…全部違うんだって…んな話な訳だ…俺は此所で…その道を奪われた…だけど自分の進むべきその道が…無くなったんだって…んな訳なんかじゃねえ…まだ残された…自分のその道を…その中から選んで進む…それがベストってモンだろう…???」。
【パンパン】
(同級生A)「おっ…決まったね~っ…今日は何だか冴えてんなおいっ…」。
(俺)「けっ…それしかねえんだから…もうしょうがねえじゃねえかよ…ったく…」。
(笑)
(俺)「まあでも俺は今が…今もこの過ぎ行く時が…もう最高に堪らなく…楽しいんだけどもなっ…何か勿体ねえなっ…この此所で続く筈だった…今後のその3年間ってのも…本当に勿体ねえっ…特にアイツと一緒に…通学出来る筈だった…その3年間ってのは…何だかねえっ…全く…」。
(同級生AとB)「……………」。
入学式から今日で2日目、経ったの2日しか。
未だ経ってはいない。
考えて見るとこの2日間のみが、俺の高校生活と
そう呼べるモノだ。
車両の受けるその振動に因って、まあそれが例え多少でも。
揺られる「井の頭線」の、その車両の中。
左に彼女、右へ2人の中学の。
その同級生達と共に。
御互いにその肩をぶつけながらも、俺は再び。
その車窓の外へと広がる、東京の空を眺めた。
んで俺は再び、又頭の上から。
ドリフのあの落ちの様に…???
タライが落ちて来るんじゃねえのかと…???
心配でその空を、見上げ続けた。(笑)
著者・龍神 武明
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