第31話

(俺)「まあ良いや…それは無かった事にし様か…???貸し一か~っ…???」。


(先公B)「んん…???」。


(俺)「いや何でもねえっ…あっそれからそれ因り…目茶苦茶お腹空いた…彼処のパン屋に並んでる…あの「焼きそばパン」が食べたい…」。


(教師A)「はあ…???」。


(俺)「はあじゃねえよはあじゃ…俺は例え又喧嘩ん成っても…早く帰りたかったってのに…残ってくれって言ったのは…そもそもそっちじゃねえかよっ…んで残したんだから…その所為で腹も減ったんだ…だから「焼きそばパン」位…奢ってくれても良いだろう…???「焼きそばパン」位は…」。


そうして一緒に、駅迄歩いて先公が。

財布を出す迄には。

そうそう想った拠りも、それ程の時間は掛からなかった。

未だ若く、些か肉付きの良いこの教師は。

着ているスーツも、お洒落なモノで。

恐らくは独り身、独身の新人教師だろう。

それだけに菓子パンを奢った奢られたの、それだけでも成り立ち。

成立をする、安っぽいその価値観。

若者同士の【友情】や【絆】へも、恐らくは理解が在る筈だと。

俺はそう睨んで居た。

まあ~っこの時既に、もうチャッカリと。

そして又抜け目ない、そんな小僧だった訳だ。


(先公B)「しょうがねえなっ龍神…今日は俺が奢って遣るけど…内緒だぞっ…コレ生徒達へバレたらもう…俺は破産だ…下手をすると全員へ…奢って遣らなきゃ成らなく成る…しかも学校へバレれば…下手をすると首だ…んで学校へもう…来れなく成る…」。


(俺)「マジで…???でも遣った~っ…言って見るモンだわっ…」。


(先公B)「チョット其所で待ってろ…俺が買って来る…」。


俺の睨んだ通りに、話の解る先公だった。

ヤッパリ俺の洞察力と、推察力ってのは。

大したモンだ。

そして結構又、良い先公だった。

2度目に俺が、職員室へ呼ばれた際に。

1人その場へ残され、余りにも暇だった俺は。

丁度この頃から、この学校この高校へ。

何時迄通えるのかを、考え始めても居た。


東京都内でも指折り、屈指の大きなこの区。

○○区と言うその場所で。

その○○区を地元とする、○○連合を相手に…???

一体何処迄俺が、しかもたったの1人で。

戦い切る事が出来るのかと…???

その事をだ。

まあそれも在って俺は、この先公へ。

敢えて甘えて見た。

そして何処迄、俺達の世代への。

その理解が在るのかを、この時俺は同時に。

探りを入れた訳だ。


そして今後、俺がこの高校を止めると。

そう言い出した際にも。

俺の担任教師ではない、この新人教師の。

若いこの先公も。

もしかすると俺の担任と一緒に、俺の家へ迄に。

来る筈だろうと、そう予測して居た。

まあ要は、そう言った面倒臭い事は。

担任以外に、任せられるのも。

こうした未だ下っ端の、その駆け出し。

新人の若い教師達へってのは、もう間違いはない訳だ。


買って貰った「焼きそばパン」を食べながらも、朝。

人生で初めて出来た、その彼女と別れた。

俺が後ろから突き飛ばされた、駅のホームの

その場所で。

夕日を浴びながらも俺は1人、その日を振り返り。

【渡 哲也】さんの、「大都会パートⅢ」のエンディング・テーマ。

【日暮れ坂】を歌って居た。


(俺)「何の為に~安らぎに背を向けて~♪♪~何の為に~1人行く~日暮れ坂~♪♪♪♪埃に塗れた…暮らしの中で…出逢いと別れ今日も重ねて~♪♪♪♪」と。

しかし全く、全然乗りが悪い。


初めて出来た、超~美人の彼女と。

コレからの3年間、毎日仲良く。

一緒に高校へ通うんだと。

中学生時代の最後に、立てた筈のその計画も。

それももう初日から、その全てがパーで。

しかし俺が歌った、【渡 哲也】さんの歌。

この歌【日暮れ坂】が良かった、良かったのかも知れない。

この歌【日暮れ坂】の歌詞へは、この後のサビへと入る。

その直前に。

「振り向いた~♪♪♪♪」と、そう在る。


んで俺が。

「振り向いた~♪♪♪♪」と、そう歌い上げで。

実際に振り向いた処へ、居た。

その場所へ彼女が居たのだ。


彼女はもう、待ち合わせの場所へは居ねえだろうと。

駅のホームで、彼女の学校の在る方角と。

同じ電車の来る方角を。

先程もう、この駅のホームへ着いた瞬間から。

俺はもう何度も、確認をして居る。

しかしもう一度、まさかと想って俺が。

振り向いたその瞬間に。

(彼女)「龍神君…」。


単純明快を絵に描いた様な俺は、もうその一瞬で。

もう満面の笑みへと戻った。

彼女はこの場所で1人、俺を待っててくれたんだ。

寒みぃってのに、まだ4月の。

始めだってのにだぞっ。


俺はもう堪らなく成って、その場で泣きそうに成った。

んでもみっともねえってんで、何とか堪えたが。

高校生活の初日、俺の入学式はもう。

グチャグチャの散々だった。

まさかこの後、タライが上から落ちて来て。

ドリフの落ち見てえに…???

成るんじゃねえのかと…???

俺は空を見上げたが。


隣へは今1人の女子だけ、彼女が居るだけだ。

1枚の桜の花弁が、風に吹かれて散り。

彼女の頭へと乗った。

俺は手を伸ばして、その花弁を。

優しく取った。

もう本当に抱きしめて、キスをしたかったねっ。

でもあんまり美人なんで、俺も微々ってて。

結局何にも、しなかったんだけども。

何か頓珍漢なんだよなっ、俺って。

電車の中で、今日1日の出来事を。

話しながらも。


(俺)「もしかするともう俺は…この高校へは…通えなく成るかも知れない…」と、そう彼女へ伝え。

地元の駅へと着き、2人がホームへ降りると。

もうスッカリと、日は暮れて居た。

その時元々、暗がりへと在る。

俺達2人の、その地元の駅へ。

ピンク色の桜の花弁が、一斉に舞った。

桜吹雪で在る。


何か映画見てえだろう…???

コレ本当の話なんだぜっ。

だから俺は今でも、ピンクのシャツが。

もう大好きなんだわ。

挨拶を交わして、彼女と駅で別れ。

家へ帰るとお袋が。

玄関で俺を、出迎えてくれた。


(お袋)「あらっアンタどうしたの…???格好が違うじゃない…」。


(俺)「うんっ…ちと喧嘩ん成って…でも俺が悪い喧嘩じゃねえぞ…向こうが始めに…電車の中で…俺を突き飛ばして来遣がったんだから…」。


(お袋)「それで何で…???そんなセーター着てんの…???」。


(俺)「しょうがねえだろう…ってかしょうがねえんだ…」。


(お袋)「それにしても…随分遅かったわねっ…でどうだったのっ…???入学式は…???」。


(俺)「うんっ…まあまあだなっ…あんなモンだろう…特に俺の場合…」。


↑あんなモンな訳がねえ、もう前代未聞で。

それも史上初。

こんな入学式は例え、全世界広しと言えども。

俺だけだろうに。(笑)


(お袋)「それでシャツはどうしたの…???朝そんなセターなんか…着て行って無いでしょ…???」。


(俺)「ああちと…破けちゃったんだわ…んで先生が…コレを貸してくれた…」。


(お袋)「そうだったの…???でも何で破けたのよっ…???」。


(俺)「まあちと色々と在って…余計な心配しなくても良いんだっ…アンタが心配をした処で…どうせ何も変わらねえんだから…もう眠みいからとっとと飯喰って…風呂入って寝るわ…」。


(お袋)「そうしなさい…明日又学校でしょ…」。


(俺)「………学校…???まあなっ…明日又学校か…」。


まあ~俺の様な、破天荒な息子を持つと。

もう親は、大変で在る。

まだまだコレが、それも序の口も序の口で。

こっからが俺の本番。

【波乱万丈】のその思春期と、そして青年時代が。

始まるってんだから。


飯を喰うと俺は風呂へと入って、その後部屋で1人静かに。

明日の事、そして今後の事を考えた。


著者・龍神 武明

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