第27話


第16部 

15歳 未だ高校1年生で13対1 真っ向勝負 まるで【ブルース・リー】??? トイレで究極の喧嘩その①


この場所と俺が選んだ、その自分の立ち位置。

このポジションでは。

背中側は勿論の事、自分の背後へは壁が在り。

ほぼ腹部の正面、鳩尾から腰の付け根迄の両脇腹と。

更には腰から下、脚の急所でも在る太股や膝の。

その内側と外側の1点、膝やそして膝の裏側は。 

全て小便器の、その両サイドへと付けられた。

陶器製の白い衝立てが、邪魔をしていて。

ほぼその全てを、覆い隠してもいる。

脇腹へのボディー・ブロー勿論、或いは膝を狙った蹴り等を連中は。

もう全く、俺に向かって打つ事は出来ない。


狙われるのは恐らく、両の衝立てを越えた。

その向こうから。

繰り出されるパンチの、その可能性が。

例えば在るとはしてもだ。

恐らくはそれも、頭や顔面のみへと。

成る筈のモノだろう。

大人数を相手に守備、ガードしなければ成らない部分を。

既に、それも極端な迄に。

減らしてしまった俺には。

10人は居る筈の、その相手を。

最早殆んど削り落としてしまった事と、全く同じ事な訳だ。


俺は肘をシッカリと折って畳み、狙われる筈の頭部。

自分の頭をガッチリとガードした。

この場所ではボディー・ブロー、脇腹を狙って打つパンチは無効。

先ず在り得ないからだ。

前から来るヤツには全て、自分の背中側へと在る。

その壁の圧力が、俺の前蹴りの力へと呼応して。

恐らくはもう一撃で、連中に執っては後方と成る。

大便室へと在る便器迄に。

それももう一機に、つまりは自分のその真後ろへと。

宙を舞うかの様に吹っ飛ぶだろう。


小便器の在る場所は、入り口の床と同じ。

同じ高さで10cm程。

1段高い場所へと、作られているその為に。

前蹴りで自分の脚を、踏み込む様に下ろせば。

その効果はもう、絶大だろう。

まさにこの場所は、天然の要塞。

もうそのモノなので在る。


早速トイレに入って来た連中の内で、先ずは3人が。

俺の前へと集まり。

俺の身体をその場から、引き摺り出そうとした。

どう見てもその遣り辛さを、感じたからだろう。


(○○連合同じクラスの不良A・以降・不良A)「オラーッ…」


まあ当然の話連中の側は、もう目茶苦茶遣り辛い訳だ。

しかもこの喧嘩は既に、頭脳戦。

戦略を練り上げた俺のその作戦の、その真っ只中へと在る訳だ。

そんな自分達の状況を連中は未だ、何も気付いても居ない。

始める前とその出だしから、ほぼ既に。

8対2の状況で、俺の正面へと立てたのは。

たったの2人。

そして1人は右奥へ、そしてもう1人は左側へ居るが。

この両サイドからの攻撃は、まあ精々。

パンチを繰り出すか、腕を伸ばして俺を掴む事のみだ。

そして腕を伸ばせばその腕を、俺が自分のその両脇へと在る。

その衝立の梃子を利用して、その腕を痛めるだけだ。


残りの6人は俺に何も出来ずに、俺の左脇へと居るが。

只立っているだけだ。

そんな状況を、導き作り上げた俺の。

俄然有利。

連中の戦況は最悪のドン底状態へと、そしてどう見ても。

その巻き返しは図れないと言った、そんな状況の様だ。


俺がこの1番、連中が遣り辛そうな場所を。

態々と選んで、そう仕向けたんだから。

それももう先ず、先ず間違いはない。

要は【十中八九】、それももうドップリと。

連中は俺の計略とその戦略へ、嵌まってしまったと言う訳だ。

コレは気持ち良かった、つまりもしかすると。

死ぬのかも知れないと。

正に【死地】へ迄にも追い込まれて居た俺は、この時逆に。

自分のその相手達を。

この場所の構造、このトイレの作りを利用して。

その俺と連中とのその立場を、完全に入れ換えたと言う訳だ。


そして俺はこの時、恐らく覚醒をしたのだ。

しかし一体、何をどの様に…???

覚醒をしたと言うのか…???

その答えが解ったのは、この43年後の。

事なので在る。

この時俺はそれももう、間違いなく。

自分の前世のその記憶を、取り戻したのだと。


早速俺は自分の正面へと居たヤツへ、1発目の。

渾身の前蹴りを、もう力いっぱいにブチ込んだ。

先ずはその試し蹴りをだ。


【ドカッ…】

(不良A)「ウグッワ~ッ…」。

【ドシャーン…ガラガラガラ…】


まあ実にそれも、面白い程に。

俺の脚の力が、蹴りを浴びたヤツへと。

全て伝わっている。

大便室の中へ迄に飛ばされたヤツの身体が、トイレットペーパーを下げた金具や便器。

先程俺がこの場所へ、しかも態々。

大便噐の在る部屋内へと持ち込んだ、廊下のゴミ箱へと当たって。

又破壊的な迄に、大層な音を立てている。

計算をして俺が運び込んだ、廊下のゴミ箱は。

俺の蹴りのその力が、破壊的なその力を持っているのだと。

その錯覚をさせる為の、俺の演出だ。


俺が運び込んだゴミ箱へ、飛ばされたヤツの身体がぶつかって。

突然に発生をしたその爆音と、大音量が鳴り響く大便室と。

そのトイレの中へと。

連中の意識は再び、鳴り響いたその大きな音に。

そして破壊的な迄のパワーを産み出す、俺のその前蹴りへと集中をした。

俺の演出へもう奴等は、釘付けと成っている。

俺の背中側は壁だ、この壁のお陰で。

俺の出したその力は皆全て、しかも全く自分自身のその背後へは。

一切漏れる事もなく。

その蹴りを受けた側は、自分の身体のその真正面から。

その全ての力を容赦なく、根刮ぎ浴びる事と成る訳だ。


脚の力は腕の3倍で在ると、そう言われている。

脚ってのはそうそう、疲れる事もない。

ボディーウェイトのみのスクワットは例え、10000回のそれをこなしても。

時間の制限が無く、もう1度だけ立とうとさえする。

その気力と意志さえが在れば。

2足歩行の我々人類の脚は、必ず動くのだ。

そして大人数へと倒されて、脚で蹴られ。

踏まれる事を。

最も警戒して居た俺は、この時この場所を見つけて。

連中をこの戦略地へと、呼び込んだ事に因り。

その振りな状況を、真逆としたのだ。

つまりは【脚】を以て【脚】を制すと、そんな状況を呼び込んで。

作り上げたと言う訳だ。


更に自分の有利な戦いの出来る場所を、必死に探していた。

つい先程迄の俺は。

この場所を見て直ぐに、前蹴りが一番。

最も有効で在る事を、既に悟っても居た。

トイレの入り口は現状の俺から見て、その左側だ。

入り口を入ると中へと在る、中央の通路は。

もう1.5mも、無い程の幅で。


俺が衝立と小便器の付けられた、その壁側から突然に伸ばすその前蹴りの為に。

そうそう簡単に連中は。

トイレの奥へも、進んでも行けない。

連中が両サイドから、俺を挟み込む状況を。

是が非でもさせない、そんな状況を今。

この場所で俺が、作り込んで居るのだ。

って事で今トイレの奥、俺の右側へ居るのは未だ。

1人のみだ。


苛立った連中の内でその1人が、俺の腕を掴みに。

俺の左側から初めて、自分の手を伸ばして来た。

俺は脱力をした拳と、その親指を内から。

外へ払う様に。

勢い良く振り下げて、その手を払い除けると。

再び俺の前へ又しても。

その正面へと陣取った2人目の、その性懲りもない馬鹿者達へ。

2発目の一撃前蹴りを、今度は渾身のその力で。

浴びせて行った。


【ドカッ…】

(不良B)「ウグッ…ウワーッ…」。

【ドカッン・ガラガラガラガラガラガラ…】


吹っ飛ばされて倒れたソイツはゴロゴロと、後方回転をした儘。

大便器へと嵌まってしまった。

俺はもうその様子を見て、10数人を相手にしている喧嘩の。

その最中に。

笑いを吹き出してしまった。(笑)

自分の背後へ身体を支える、壁を作るって事が。

此所迄も前蹴りのその威力を高め、それを引き上げて。

只でさえ強いその脚の力を、増幅し強めてくれてくれるとは。

本当にこの瞬間迄、努々とその事へは。

気付かなかった。


俺はこの脚の力、つまりは脚力を。

体重と勢いに乗った前蹴りに、それを限定をした場合。

想定される腕の力の、その3倍強等では。

到底済まない筈だと。

この時既に、そう強く感じても居た。 

増してや背後に、ロッケトが発射をする際の大地。

1段式の小型観測用ロケットで在る、S-310でさえも。

その全長約7m、総重量で約700kg。

0.7tへも登る。


その重さによる重力からの回避へは、その推進力を産み出す為の力が。

最も必要と成る。

それはロケットから噴射をされるエンジン火力の、その噴射力と。

その下側へと位置するプレート。

地球大地とのその間へと、挟まれてこそ産まれる。

つまりは在る種の反発力のその力を、全て漏らさずに。

利用をするモノの筈だ。


俺はこのロケット発射の際の、つまりはその出力。

パワーが産み出されるその理論を、この喧嘩の直前に。

最後に観たこのトイレの構造と、その偵察の際に。

既に思い付き考えても居た。

その力と破壊的は一体…???

一体何れ程のモノなのだろうか…???

少なくとも通常のその3倍程迄は、俺の脚の力を。

そしてその脚力を、倍増させてくれている筈だ。


しかしこの事を連中はまだ、全く解っては居ない。

今この俺のその背後へと在る、その壁の強固さと。

俺の前蹴りのその力に因って、発生をし。

後方へは全く逃がされずに、前方へのみへと伝わる。

その壁からの圧力でこそ生まれる、反発力のその凄まじさをだ。


頭の悪い連中は決して、到底例えそれが喧嘩でも。

絶対に強くは成れない。

余りにも強烈なその蹴りの力へ、3人目と成る筈のその犠牲者は。

俺の前方へともう、迂闊には出て来れなくも成った。

直ぐに右側からも、手は伸びて来たが。

俺は拳を振り上げて、それを払い除け。

この右側の野郎を無視。


両サイドへと在るその衝立ての側からは、連中は殆んど。

何も出来はしない。

俺が主に集中して、戦わなければ成らないのは。

主に自分の正面のみ。

自分の正面へと立って居る、その相手のみだ。

即座に前方へ居るその相手を、先ずは脱力を伴う。

撓やかな連打のそのパンチで退けた。


相手はもう先程から、俺の蹴りの威力へと。

かなり微々っても居て。

俺の先制攻撃のその1発目、破壊的な迄のその前蹴りから。

俺の足元ばかりを、それももうチラチラチラチラと。

意識をして観ている。

つまりは隙だらけなのだ。


著者・龍神 武明

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