第23話

あの時職員室へと居た先公は、確か6~7人。

先に連れて行かれたあの馬鹿が、俺を後ろから突き飛ばしたあの卑怯者が。

既に説教を喰らって居た。


職員室へ入ると先ず俺は、一通り中を見渡したが。

俺とあの馬鹿の他に何と、連れて来られた生徒は。

1人も居なかった。

つまり喧嘩に混じって、俺に飛び掛かって来た癖に。

喧嘩をした当人は俺と、この馬鹿が始めたモノで。

自分達は関係ないと言う、呆れる迄のその主張とその言い訳を。

あの場と職員室へ居た、全員の教師達迄もが。

それを鵜呑みにしたって訳だ。


直ぐに俺はこの場所へも、俺の味方が1人も居ない事を悟った。

職員室へ来いと言われた俺は、それが府に堕ちず。

一旦自分のクラスへと戻って、破れたワイシャツを腰で。

力強く縛り上げた。

(買って貰ったばかりなのに…お袋御免なっ…)と、そう心の中で呟きながら。

まあこの時・態と、時間を掛けて。

相手を待たせて苛立たせる、そんな戦略へと出た訳だ。

只じゃ転ばねえわ。


この時俺は序に、この俺と同じそのクラスへ。

連中の仲間達。

◯◯連合のヤツ等が一体何人居るのかを、探って居た。

先ずは俺を睨んでるヤツからだ、1人2人3人と数を数えたが。

全部で10人近くは居る。

他の連中は大人しそうだ、まあ髪は弄ってパーマや。

アイロンパーマでリーゼントにはしているが、腕っ節を見る限り。

そうそう大した事は無い、俺の敵じゃねえ。

ざんぎり頭に髪を下ろしてる、そんな可愛い連中達も居た。


目星を着けると俺は、自分の教室を出て。

ユックリと職員室へと向かった。

この学校の職員室は2階へ在る、2階へ向かう階段迄に2クラス。

廊下の右側へ他のクラスが並んでいる、B組とC組の2クラスだ。

B組へは俺の同級生が1人、当然其所も俺はチェックした。

階段を上がり職員室へと着くと、俺は引き戸をノックし。

静かにその引き戸を開けた。

中へ入って早速俺は、先制攻撃を仕掛ける。


(俺)「こんちは~入ります~…酒井です…でも先生チョットさあ…アイツが呼ばれるのは解るけど…何で俺迄…???此処へ来なきゃ成らねえのっ…???俺は何も悪くねえのに…???何で…???悪りぃのはアイツの方でしょ…???話はもうチャント聞いたの…???」。


(先公A)「まあ龍神…そう言うなよっ…もうチョット中へ入れ…ほらっ…此方へ此方へ…」。


俺は既に、あの時あの場所での主導権も。

手にして居た訳だ。

一筋縄では行かないヤツだと、先公達は驚いて居る。

俺は更に、その場へ居た全員へ。

威圧を掛ける為に。

渋々とした顔をして、職員室の中へと進んだ。

どうせ教師達の言いたい事は解っている、どうにもこうにも納得の行かない。

俺の一番嫌いな、あの話だ。


(先公A)「まあ大体の話は聞いたんだが…取り敢えず斎藤…お前龍神へ謝れ…」。


(斎藤と呼ばれた馬鹿男)「済みませんでしたあ~っ…」。


先公にそう言われた後で、直ぐに【斎藤】と呼ばれたその馬鹿は。

俺に頭を垂れて、謝っては来た。

しかし全く感情が籠ってねえ。

単に口先で「済みません」と、そう言っただけだ。

つまりは自分で自分が悪いのだと言う、その自覚も反省も無い。

この場での自分の体裁を、単に繕っただけだ。

まあそこ迄は良かったが、その後の話だ。

馬鹿へ謝らせた先公達が、今度は俺にも。

馬鹿へ謝れと、そう言い出したのだ。

「喧嘩両成敗」、植民地政策下の俺達日本人を。

骨抜きにする為の、その洗脳教育で在る。

コレが実に質が悪い。


(先公B)「おいっ龍神…お前も斎藤へ謝れ…」。


(俺)「はあ…???何で悪い事をしてねえ俺が…???コイツへ謝らなきゃ成らねえのよっ…???ふざけんなよ…冗談じゃねえわ…俺は絶対に謝らねえ…だって悪くもねえ俺に謝れって…そもそものその筋が…通ってねえじゃねえかよ…」。


この主張を貫き通す為にも、俺はさっきの校門で起きた。

乱闘のあの際にも。

自分から連中へ手を出す事を、もう一切しては居ない。

「喧嘩両成敗」なんて、その言葉の意味が。

それももう子供の頃から、俺には全く解らなかったからだ。

そもそも喧嘩ってのは、その原因を作ったヤツが居て。

その原因を作ったヤツの方が、悪い訳で。

当然謝るのは、ソイツの方だろう。

しかも先に被害を受けた此方の側が、何故謝らなければ成らない。

そんな問題じゃねえし、全く笑わせる話だ。

俺は梃子でも、あの馬鹿へは謝らなかった。


その後直ぐに、俺に謝ったあの馬鹿は。

職員室から教室へと帰されたのだが。

強情な俺は、この時滔々。

謝る事は無かった。

筋を通したのだ、別に俺は全く悪くはない。

その後2時間近くもの間。

先公達の、その説教を喰らう事と成る。

しかも6~7人の先公の、その説教をだ。

学校の入学式は当然、その間始められない。

俺の噂はもう、この学校中へ轟いた筈だ。

1年生の1人が校門で、連合の1年坊主を相手に。

たった1人で乱闘に成ったと。


 (先公A)「解った龍神…もうお前も一旦…教室へ帰れ…入学式を始めないと…もう11時だ…」。


不貞腐れた面で職員室を出ると、俺は早速。

その後の対策を練り始めた。

◯◯連合、後に半グレと呼ばれ。

ヤクザが判り辛く変貌し、その形態を変えた。

新しい形の、そんな組組織で在る。

この時俺の、その喧嘩相手と成った。

◯◯連合は。

その先魁、つまりはその前進で在った。

しかも未だ高校生の、不良連中達の事だ。


この時代この時既に、未だ15歳の俺は。

このヤクザの予備軍と成る組織が、公立都立の高等学校と言う。

その学校内へ。

既にその汚れた手を伸ばし、子供達を抱え込み始めて居て。

組織を拡大する為の、その新た成る戦略を。

築き上げ始めて居た事を、悟って居た。

要はそれを未だ当時15歳の少年が、見極めた訳で在る。


俺が自分の教室へ戻ったその際に、少なくとも10人は。

連中の仲間達が居た筈だ。

んじゃ~1学年が5クラスだから、その5倍…???

って事は少なくとも、50人は居る。

じゃあ2年生は…???

同じ50人として、3年生も50人。

って事は全部で150人近くもの、◯◯連合の連中が。

この高校へは居る訳だ。

コイツは何とかしなければ成らない、先ずは同じ1年坊。

同じクラスの連中だけでも。


この時単純な掛け算をした、俺の計算方法は間違えて居た。

要は2年生3年生の数が、この都立高校では。

もう圧倒的に少ないのだ。

皆この学校へ通う程に、何等かの事件や事故を引き起こして。

もうその殆んどが、退学処分と成って仕舞うからだ。


教室へ戻れば又直ぐに、喧嘩が始まる。

頭をフル回転し始めた俺は先ず、戦う場所を探す事とした。

少なくとも10人を相手に戦えば、先程の校門と又同じ様に。

引き倒され。

引き倒されればもう、下手をすれば顔や頭を。

踏まれ蹴られる事と成る。

それだけは先ず、どうしても避けたい。


脚力、つまりは脚の力は。

腕の約3倍と、そう言われている。

相手が数人ならば未だしも、自分の反射神経で俺も。

それを交わせるが。

10人を相手に囲まれた場合、例え倒れずに。

其所へ立って居たとはしても。

背後へと居る連中のその様子迄をも、把握し伺い続ける事は。

最早困難と成る。

その時俺の頭へ、鮮明に写し出されたのは。

あの【ジャッキー・チェン】の戦う、その姿だった。


「酔拳」「蛇拳」等のカンフーで、【ジャッキー・チェン】は。

大人数や力の強い相手と戦う場合、その場へ在る物を利用する。

机や椅子、柱等と。

その都度その物は様々だが。

そうした場所や物を利用した、そんな戦いならば。

大人数を相手に俺も、戦う事は可能で在る筈だと。

そう考えたのだ。


俺は直ちに先ず、学校中を視察し。

視て回る事とした。

そして自分なりの作戦を立てる。

取り敢えずは屋上だ、屋上の様子を先ずは。

視て措く事とし様と。

俺は屋上へ向かう階段を俺は、ユックリと登った。

この期に激しく消耗するで在ろう、体力を温存するその為にで在る。

10人以上もの相手と、たった1人で戦う場合。

心配されるのは先ず何よりも、そのスタミナだ。

つまりは自らの、その体力な訳だ。


屋上へ出ると外壁コンクリートの、その手摺の周囲を更に。

その内側から囲んだ、金網の鉄柵が在った。

外壁コンクリートの手摺は、その高さで約1.2メートル。

内側へと付けられた、金網の鉄柵とのその距離は。

約1メートル弱と言った処か。


此処へ出られれば、正面へと立つ相手は減らせるが。

しかしもしも何等かの拍子に、此処から俺や相手が落ちた場合。

下手をすれば洒落に成らない、死亡事故と成り。

取り返しの着かない事と成る。

(俺)(この屋上では無理だ…)と、俺は直ぐに。

屋上を諦めた。


3階へ降りて周囲を見渡せば、先ずは廊下が在る。

廊下の奥は教室の様だが、廊下の右側は。

室内空間と成っていて、とうやら体育館の様だ。

この学校は体育館が、1階の地上部ではなく。

2階と3階の校舎へ、貼り付く様に作られていた。


体育館の3階部へはどうやら、体育館の中を上から見渡せる。

幅1メートル程の、狭い通路が在る。

しかし通路はその全体を囲んでも居て、入り口は4箇所。

観音開きで外へ開く、重い鋼鉄製のドアーが2つと。

体育館の舞台袖から上がる、2箇所の入り口とに別れていた。

此処で乱闘をした場合。

この場所の状況を利用して、一端正面へと立つ相手を。

減らせたとはしても。

別の入り口から周り込まれれば、背後からその相手に。

襲われる事と成る。

此処も無理だ。


3階の残りは教室のみだが、1年生の教室は1階へと在る。

順当に考えるのならは、2年生が2階で。

3年生は3階と成る。

しかしもしも◯◯連合に3年生が居た場合。

圧倒的に体格差の違う、その3年生を相手にするのは。

到底頂けない。

つまり此処も無理で在る。


後に成って気が付いた事だが、この東京随一の。

工業高校の2~3年生は。

もう圧倒的に、その数が少ないのかも知れない。

俺達1980年に入学をした、この学年の。

最終的なこの高校からのその卒業生は、何と確か5人。

つまりは皆学校へ居られずに、この場所を後とするのだ。


そう考えると、この時俺が探りを入れた。

2階3階の校舎内、その様子が。

自棄に静かで寂しかった事も、もう充分に納得が行く。

しかし当時の俺は未だ、その事へ気付けなかった。

まさか自分の入学式で見た、あの250名近くもの1年生が。

1学期のその終わり迄に、3分の2の退学者を出すとは。

努々想わなかったからだ。


2階へ降りると、体育館の入り口ドアーが。

開かれていた。

この後此処で、入学式のセレモニーが行われる

そんな事情の為にだ。

舞台を視ると、舞台の高さとその段差を利用して。

戦う事は可能では在るが。

突き落とされたり又、俺が突き落とした場合に。

腕や脚を折られては。

入学早々の、その大問題とも成り兼ねない。

此処も無理で在る。


1階へ降りると校舎とトイレのその間へ、小さな中庭が在った。

中庭の1面はトイレの壁で、残りの3面は廊下通路。

3面と成るその廊下通路へは全て、その高さで70センチ程の高さから。

天井部へ迄に伸びる、窓が付けられていた。

窓は上部と下部へと別れては居たが、俺はその下部へと在る。

全ての窓を開いた。

腰掛けてそれを跨ぐと、俺の脚の長さならば。

中庭と廊下への行き来が、簡単にスムーズに行える。


俺は校門で乱闘に成った、全ての連中のその体格を思い出した。

この窓を跨ぎ、中庭と廊下へ。

スームーズにこの場所を行き来出来るのは、俺位だろう。

此処は良いかも知れない、確か【ジャッキー・チェン】も何かの映画で。

こうした窓を上手く利用して、大人数を相手に。

戦って居た筈だとそう想い。

(俺)(此処にし様と…)、俺は自分の腹積もりを決めた。

しかし一抹の不安を残したのは、窓ガラスが割れる事だ。

割れたそのガラスで怪我をすれば、下手をするとコレも又。

大惨事と成り兼ねない。


廊下の角を曲がって、その儘奧へと進めば。

1年A組の、俺の教室が在る。

戦略の立った俺は足早に、自分の教室へと向かった。

教室は廊下の奥左側で、些か手前の右側へはトイレが在る。

しかし何の気無しに、そのトイレが気に成った。

序にションベンでもして行くかと、トイレのドアーを開けたその時。

俺は驚いて、大きな声を上げてしまった。


(俺)「あっ…」。


(俺)(こんな場所が在ったのか…しかも俺の教室の…斜向かいへだっ…此処が良い…此処にし様…)と。


この高校のトイレは8畳程の広さで、ドアーを開けるとその右側へは。

小便器が。

左側へは大便器が、取り付けられた部屋が在った。

大便便便器は和式のモノで、確か2つの部屋が在った筈だ。

基本的に男子学生達は、学校で大便をしない。

悪戯をされてからかわれるのが、嫌だからだ。

皆朝自分の家で、それを済ませてから来る。

小便器は3つ、左側の壁に付けられていて。

その間へはトイレの便器と全く同じ素材の、2つの瀬戸物式。

高さで1メートル50センチ程の衝立が、その仕切りと成っている。

膝から下は空いているが、先ずはこの仕切りが良い。


更に壁へ取り付けられた小便器は、よくBARのカウンター等へと置かれた。

椅子の様な形をしていて。

この小便器を、自分の背に向け。

衝立と成った仕切りの間へ、自分の身を置いた場合。

両脇で衝立の仕切りを挟み込み、椅子の様な形をしたその小便器が。

俺の身体を支える。

自分の身体が両サイドと、下から支えられた場合。

恐らくは万が一にも、俺がこの場所で。

倒される事等は在り得ない。


更に取り付けられたその衝立の幅も、その間隔は1メートル程で。

自分の正面へと立てる人数が、極めて限られても来る。

多くても3人、3人立てば身動きは取れず。

少なければその数は、自然に2人と制限をされるだろう。

トイレの入り口へは段差が在り、高さ10センチ程で。

幅はコレも1メートル。

清掃の際に使われる水が、廊下側へ跳ねない様にと。

そんな工夫の凝らされた、設計と成っている。

俺が小便器を背にし、トイレの奥側へ。

先に陣取った場合。

自ずと入り口側へ、居ざろうも得ない連中達へは。

この段差は、連中の足元を安定させない。

不安定な迄の、その障害物とも成る。


トイレのドアーを開けた瞬間に、俺にはそれが全て。

解ってしまった程だ。

しかもコレ実は、中国で数千年を掛けて。

磨き上げられた戦争哲学。

兵法戦術の名士【孫武】の、【孫子の兵法】でも唱われている。

【囲地】(いち)と言う、その高等な「兵法戦術」なので在る。

しかもその【囲地】と言う兵法戦術を、俺はこの時。

しかも瞬時に。

自分の有利な状況を築く、その為に応用をし。

【逆囲地】へと変えて。

この最も高度なその「兵法戦術」を、想い着き。

それを使いこなした訳だ。


未だ当時15歳の少年が、中国で数千年を掛けて。

磨き上げられた戦争哲学、【孫子の兵法】を使いこなした。

俺は当時未だ、この【孫子】。

【孫武】の存在さえをも、全く知らなかったのにだ。

【孫子】処か【兵法】の存在さえをも、全く知らなかったので在る。

当然で在る、俺の通った小中学校の授業では。

まあ全国的にも、同じ様にそうなんだろうが。

未だこの様な戦争哲学の存在を、小中学生達へ。

決して教えはしなかった訳だ。

教わるのは高校か大学、或いは防衛大学の様な。

高度な学術を学習させる、専門学校のみ等で在る筈だ。

日本は敗戦国の植民地下で、この様な高等戦争戦術等を未だ。

小学生の子供達へ、教える事は無い。

要は黙って真面目に働くだけの、羊を育て上げたいのだ。


俺が【兵法戦術】の、その存在を知ったのは。

26歳の春、その5月に。

元「安藤組」の特攻隊長、【森田 雅】の開校して居た。

【鹿島神道流森田道場兵法士官学校】で、剣術の修行をして居た。

その時の事で在る。

この道場の看板へは、【兵法士官学校】と。

そう書かれて在ったからだ。

(俺)(兵法…成る程…俺も何度かそれを耳にし…聞いた事は在る…しかし未だその内容迄は…俺は全く知らない…)。


そうこの【森田道場】でも未だ、【孫子の兵法】の存在と。

その内容迄は、俺は全く知らなかった。

俺が【孫子の兵法】の、その存在と。

その内容を初めて、その奥深さ迄を知ったのは。

44歳の時。

漫画喫茶で日本の人気漫画、【キングダム】を読んで居た。

その時の事だ。


そう先程話した、戦争戦術の【囲地】(いち)をだ。

「【囲地】とは入り口が狭く剣路で、内部は断崖絶壁へと囲まれて居て。

出口は更に狭い、その場へ追い込んだ敵を倒すのには。

最も最適な場所」と。

そんな場所を指して【囲地】と、そう呼ぶのだ。


この43年後の、2023年に俺は。

所謂マンションのリニューアル、補修改善仕事の。

その現場で知り合った、中国人の【李】と。

当時のこの時の話で、再び俄然。

盛り上がる事と成った。

この少し前に俺は、自分の高校時代の事を振り返り。

しかし何故あの時俺は、学校で習った事もない。

中国の高等兵法戦術を、使いこなせたのかと…???

そしてその理由が、自分の前世の記憶なのでは無いのかと…???

その時中国人現場職人の【李】と遇う、その際にはもう。

そう気付いて居たからだ。


建築作業現場へは昼休みの他に、午前10時と午後3時へ2回へ。

その休憩時間が在る。

この午前中の休憩時間、10時の一服のその際に。

俺は自分の目の前に居る、本家本元。

中国人の【李】へ、その事を話し。

確認をしたのだ。

あの日本の大人気漫画、【キングダム】の主人公の【信】の。

そのフルネームは、【李 信】で在る。

この【李 信】の末裔と成る、【李一族】が。

【秦】のその陥落と崩壊から、根絶やしにされる事を恐れて。

恐らくは当時の【秦】の同盟国、【斉】に在る渤海方面へと。

現在の山東省へと逃れ。

この山東省へと在る、山東半島から。

渤海へ船を出し。

東シナ海を流れる黒潮、対馬海流の。

その影響を受けながら。

左回りと成る、その潮流へと。

船の行方を任せながらも。

朝鮮半島へと辿り着いた筈だと、俺はそう考えても居た。


この自分で想い考え付いた事を、俺は中国人の【李】へ。

本家本元のその【李】へと、どうしても確認をしたかったのだ。

俺の周囲へと居る日本人は、その殆どが。

実は在日の韓国人達で。

決して本当の事を、教えないばかりか。

下手をすれば平気で嘘を、教えて来るからだ。


しかし中国と言う国は、実は共和国で在り。

この共和国の内部は現在でも、5つの戦区へと別れているのだと言う。

東西南北の先ずは、「東部戦区」。

そして「西部戦区」、更には「南部戦区」と「北部戦区」。

最後にこのど真ん中へと在る、「中央戦区」で在る。

共和国で在るが故に、各々の主張は違い。

当然それも又、全く別のモノと成る。


一つに纏まるには先ず、話し合いの後に。

最終的には【中国共産党】が、それを決定するのだろうが。

この【共産党】自体が、西側資本に因り。

作り上げられた、現在の中国で在り。

本当の、実際の中国とは。

嘗ての【中華民国】、つまりは「文化大革命」で。

西側資本を元に、その政権の交代を果たした。

【毛 沢東】達のグループ。

この【毛 沢東】達のグループ、【中国共産党】から追い出された。

現在の【台湾】、【中華民国】。

【中華民国自由自治区】なので在る。


【李一族】はこの、【台湾】国内へも居る。

第4代の【中華民国総統】は、この【李一族】の【李 登輝】(リ・トウキ)で在る。

【李】は中国で最も多い、その苗字で在る訳だ。

昨年2023年に、その国内へ9800万人も居た。

【王】(ワン)を抜いて。

既にあの中国の国内でも、そのトップへと躍り出た。

そして最も早く、この中国を出て。

海外へ進出をし。

朝鮮半島やベトナムへ、独自の王朝迄をも築いて居た。


【ベトナム李朝】は1009年から、1226年迄の。

217年間で終演。

ベトナム人達に因って陥落追放をされ、追い出されたのだが。

【李氏朝鮮王朝】は1392年から、1897年迄の。

その505年間に渡り、朝鮮半島を支配して来た。

まあベトナムって強ええんで、何たってあのアメリカでさえ。

結局ベトナムへは勝てなかったと言う訳だ。

しかし現在も既に、世界中へと在る。

あのチャイナ・タウンは。

この中国本場の【李一族】が開き、築き上げたモノのだ。


そして現在の【ASEAN】、この【ASEAN】諸国も又。

切り開いたのは恐らく、皆【李一族】だろう…???

恐らくは【中華民国】、本当の中国で在る。

【台湾】系のその【李一族】が、作り上げたモノの筈だ。

そう考えると中国本家の【李】は、【台湾】へ追い出されたグループ。

【中華民国】の側へ居る…???

その可能性も在る。


まあ歴史が古く長いし、そもそもがその。

【李】姓は多く。

しかも戦乱が多過ぎる、当然その事も在って。

家系図でも残されていなければ、勿論俺の考えも含めて。

それ迄は単なる、推測に過ぎないのだが。

この時に中国人の、本場の【李】へ尋ねたその結果。

俺の推測はほぼ、間違いが無かった。

嘗ての【秦】国の【李 信】、その末裔達は。

【山東省】へと逃れたので在る。


この世界中へと居る、散らばったその【李一族】を。

集めて全て足せば。

その数約1億2000万人近くへも、到達をする程で在る。

つまりはこの国日本のその総人口よりも、彼等【李一族】の方が。

実は多いので在る。


そうつまり【李一族】は世界中で最も多い、同じ苗字の人々で在ると言う。

そんな話へも成る。

又【李】はその【中国】本土でも、最も古い苗字で在るのだと。

この時俺は自分の作業現場、この作業現場から移動をした。

次の現場へと居た中国人。

本場【中国】の、【李】自らのその口から。

その話を聞いている。

それでは何故、そんなに増えたと言うのか…???

此処へこそこの【李一族】が、絶対に滅びないと言う。

その秘密が、隠されてもいるのだ。


著者・龍神 武明

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