第22話

第14部 入学式第2戦 錯綜と混乱の中で 一世一代の大勝負 賭け事が嫌いな男子が賭けに出る 男に成る時 実態 李一族と言うモノ 中華百年の大計 数千年の展望 中国の総称とその正式名 


駅を降りて学校へと向かうその途中、前を歩いて居たその不良が。

馬鹿が一端・振り返った、その後に。

突然その脚を早めた。


(俺)「あっほらっ…俺に勝てねえと悟って…逃げ遣がったあの野郎…全く根性のねえ野郎だ…所詮あんなモンだろう…けっ…どうせっ…セコイ野郎だ…大体人を後ろから突き飛ばす何てのは…卑怯者の遣る事だ…文句が在るなら正面から来やがれっ…けっ…」。


(同級生A)「でもアイツさっき…○○連合とか言ってなかった…???」。


(俺)「言ってた言ってた…でも○○連合って…???何だそりゃ~一体…???暴走族か…???」。


(同級生B)「暴走族じゃねえよ…そんなの聞いた事ねえモン…」。


流石渋谷の子供達で在る、特にこの手の情報へは。

俺の同級生の、悪ガキ達は早い。


(同級生A)「でも○○連合って…此処がその○○なんじゃねえの…???」。


(俺)「あっそうだわ…でも○○連合って…そんなにデケエのかよっ…???」。


(同級生A)「何かでも…デカそうじゃん…だって○○って…相当~広くない…???」。


(俺)「確かに広れえわ…」。


(同級生A)「んじゃ~…ヤバいんじゃないの…???」。


(俺)「んん…確かにヤバそうだわっ…でも悪りィのは向こうだし…俺は悪くねえよなっ…???」。


(同級生A)「でもどうする…学校へ行ったら…それも大勢…沢山居たら…???」。


(俺)「どうするってたってもう…どうにも成らねえよなっ…だってもうどうにもこうにも…どうにも成らねえだろう…???今更…あっどうにも止まらない…♪♪♪♪」


この時の俺は何故か…???

とても冷静だった。

その理由は今に成っても、本当未だに解らない儘だ。

只通った中学の3年間、本当に楽しかった事が。

(もう別に死んでも…悔いを残す事は無いと…)。

それからもう、超~美人の。

彼女が出来た事も在って。

そう心から、(死んでも悔いを…残す事はねえと…)本気でそう想えて居ただけだ。

だからきっと、あの時は腹が座って居た。


学校の前へ辿り着くと学校の校門へは、20人近くも居る不良高校生達が。

既に集まって居た。

物凄い剣幕とその表情で、此方を睨んでいる。(笑)

当然その中へ、電車で俺を突き飛ばした。

あの馬鹿も居る。

先に行って校門へ、自分の仲間達を呼んだらしい。

まあ~っ汚ねえ野郎だ。


俺の通ったこの高校は、この東京都内でも。

当時最も屈指の、その不良高校で。

1年生の1学期、その夏休みが始まる迄のその間に。

春、4月に入学式を終えたばかりのその。

1年生の生徒達。

その生徒の3分の2が、全て退学と成った程だ。


卒業したのは確か5人…???

10人へも満たなかったのだと言う。

つまりこの学校の入学式へと来た、1年生は達は。

総勢もう。

暴走族の集会所へと集まった不良連合、そのモノの姿なので在る。

髪は赤く染め皆パンチ・パーマ、或いはロッド・パーマを頭へ掛けている。

太いボンタン・ズボンを履いて、当時流行ったエナメル・シューズと。


髪の毛は赤くったって、実際には。

金髪って色なんだが。

当時は金髪の頭髪その髪色の事を、赤くとそう言ったモンだ。

つまりどんな連中が不良なのかは当然もう、「一目瞭然」にその見当も着く。


(同級生A)「あっほらっ…在れ全部そうじゃねえの…???ヤバイよ"【ゾンビ】"…」。


(俺)「ヤバイったってもう…始まっちまったモンはしょうがねえっ…(←それ風の谷のナウシカ…???)俺はお前達と過ごした…中学の3年間…本当に楽しかったし…別にもう此処で死んでも…もう全く悔いはねえから…遣って遣るわっ…腹括って行くぜおいっ…」。


と言いながらもこの時何故か…???

俺は全く、死ぬ気がしなかった。

何でだろうか…???

在れは…???

多分俺が全く、悪くは無かったからだろう。

責任は全て向こうに在った。

なのでどうにかして遣ると、俺の脳味噌はもう全開で。

フル回転をしていたからだろう。


校門へ辿り着く迄にはここから凡そ、僅か1分弱余り。

その間に俺は先ず、連中達のその様子を。

探れるだけ探った。

ヤツ等の様子はそれ程大柄でも、筋肉もそれぼどガッチリともしては居ない。

体格を見て相手の強さを、在る程度迄判断の出来る俺は。

先ず手強そうな相手を、その中からチェックした。


(俺)(1人2人…此処で見る限り…少なくとも危険そうな連中が…2人は居る…後はそれ程でもなさそうだが…)。


校門前へと集まった不良達の後ろへ、私服を着た大人達が2人居た。

1人はジャケットにパンツ、もう1人はジャージ姿だ。

後ろ手に何か掴んで居る様なのだが、手にしたモノは此方からは。

良く見えない。

まあそれでも取り敢えず、長いモノでは在る様だ。


(俺)(この状況で3対20…此方の同級生が参加をしてくれた場合に…どうにか成ったとはしても…到底~まだまだ勝ち目はねえ…それに此方の2人は…全く遣る気も無さそうだ…こんな状況を良く導くには先ず…周囲へ在る今のこの全ての環境や状況を…上手く利用するしかねえ…つまりはコレ…宮本武蔵の五輪書だっ…)。


入学式と言うそんな事情も在って、校門の前には大勢の学生達やその両親。

又校門へと向かう学生達の、その集団も在る。

俺は左端から前方の校門へと向かって居る、3人の集団へ直ぐに。

先ずは眼を着けた。


(俺)(仲が良いのかこの連中…固まって動いて居る…話へ夢中でこの殺気だった状況へも…まだ気付いてねえっ…そりゃそうだろう…今日は入学式だ…まさかのコレは…その拗れた…オマケの状況な訳だ…)。


序でに誰かの親なのか…???

オバサンが2人。

校門で俺を待ち受ける、不良集団達のその手前で。

話をして居た。

会話も随分と、盛り上がってる様子だ。

先程電車の中で、俺を突き飛ばしたその野郎が。

俺を指差して。

その右側へと居る、体格の良い2人へ。

どうやら俺の事を話している。


情報は伝言ゲーム、耳打ちを繰り返し。

直ぐにその場へ居る全員へと、既に伝わった様だ。

いよいよ合戦の火蓋が、切られるってのか…???

しかも高校の入学式で…???(笑)


(俺)(右端へは手強そうな2人…体格の良い2人は…今右端へ揃って居る…左からオバサン達の方へと向かっているあの連中達へは悪いが…この際あの連中を…楯に使わせて貰おう…まあヨッポドな事でも無い限り…アイツ等も大きな怪我迄はしねえだろう…俺も当然…ヤツ等へは怪我をさせねえ様に…気を使うし…)。


そう考えると俺は即座に、自分の脚を早め。

前方へ居る3人の登校中、集団のその左側へと。

自分の身体とその位置を、グングンと進めて行った。

撹乱する為にもだ。

突然早足で進み始めたその俺に、連中達の眼はもう。

釘付けと成った。

標的の俺を確認した不良集団達は、俺の進んでいる方角の左側へと。

ドンドン集まって来る。


校門へ入るその直前に、俺は素早く踵を返し。

先程眼を着けて居た、俺の楯代わりと成って貰う連中の。

その背後へと。

更に2人の父兄、オバサン達が居るその間へと。

強引に割り込んで入った。

一斉に待ち受けて居た不良達が、俺に向かって押し寄せ。

集まり掴み掛かって来る。

俺の胸元へ伸び始めた、初めの数人の手迄は。

直ぐに撥除け(はねのけ)振りほどいたのだが。


更に油断をして居た訳でもない筈のこの俺の、俺が警戒をして居た右側とは。

全く真逆の方向。

左から伸びたその大きな手に、俺は捕まれてしまった。

物凄い怪力だ、俺は一瞬でその豪腕に。

引き込まれてしまった。


(俺)(コイツはさっき居なかった…居なかった筈だ…何処っから出て来やがった…???)。


右からも先程、俺が警戒し眼を着けて居た。

体格の良い2人が、俺に向かって飛び掛かって来る。

左へ右へと身体を大きく振られ、バランスを崩した俺は。

その場で脚を滑らせて、倒れ込んでしまった。

作戦は途中迄は良かった、しかし最終的には。

些かの失敗で在る。


(オバサンA)「キャー…何何何…何なのよアンタ達…???止めなさい…止めなさいよ~っ…」。


パニックと成ったオバサン達のお陰で、状況は一変した。

その場へ居た不良連中達の意識は、パニック中のオバサン達へと取られ。

一瞬俺を、その連中達の意識とその視界から。

消し去ったのだ。

俺は直ぐに、その場で身体を捻り。

取り敢えず立ち上がれる程迄には、自分の体制を整え直した。


オバサンってのは危険を身に感ずると、錯乱状態と成り。

直ぐに大声で、叫び出すモノだ。

黄色い絶叫はその場を更に、錯乱させ混乱をさせて行く。

オバサン達の側(そば)を選んだ俺の判断は、どうやら正解だった様だ。


2重3重でも、回避の出来る様に。

その場へと在り起こる、全ての安全と言うその可能性を。

活かしてでも使う。

まさにコレ、【宮本武蔵】の。

「五輪書」そのモノだ。

因みに俺がこの「五輪書」を勉強し、その存在を知ったのは。

この後の1年を過ぎた、その頃の話だ。

しかしそれでも、その儘この場で足蹴にされれば。

もう袋叩きな訳だ。


(俺)(此処迄かよ…???まあもう…どうにでも成れ…)と。

開き直り諦め掛けたその時。

不良集団のその背後へと居た、2人の男達が。

この後直ぐに、それも解ったのだが。

2人共にこの学校の教師、つまりは先生だった。

手には金属バットと竹刀を、力強く握り絞めて居る。

流石当時、東京一の不良学校だ。

入学式に教師が金属バットと竹刀を持って、校門で待ち構え。

監視をしてるってんだから。

まあ例え日本全国を見て回っても、此処迄の学校は…???

そうそうはねえだろうに…???


(先生A)「おい止めろ~っ…お前等手を放せ手をっ…おいっ…いい加減にしねえかあ~っ…」。


止めに入った2人の先生達の、そのお陰で。

俺は運良く、掠り傷1つも無く。

無事にその場を切り抜けられる事とは成った。

只着ていた制服のワイシャツのボタンは、根刮ぎブッ契れてしまった。

他の教師達も数名が、直ちに校舎内から。

慌てて飛び出して来た。

お陰でこの日、入学式で在ったこの都立高校の校門は一時。

もう騒然な迄の、その大騒ぎと成った。


俺はその場へ起き上がると、新しい制服へと着いた汚れを。

綺麗に叩いて。

もう一度冷静に、自分のその周囲を見渡した。

左から伸びた豪腕、怪力を持つその1人の男の腕へ。

俺の身体は1瞬で、ソイツの胸元へと引き込まれ。

その儘垂直に、地面へ押し付けられるかの様に。

倒されてしまったからだっ。 


見ると黒々とした顔の、まるで相撲取りかプロレスラーの様な男子が1人。

俺を睨んで居る。

身長は俺よりもデカイ、180cmと言った処か…???

当時の俺は171cmだった。

それにしても凄げえのは、その体格で。

そして体重だった。

80キロは優に越えてる、90キロ近くは在った様な気がする。

しかも高校の、まだ1年生でだ。


(俺)(あの野郎か…???一応覚えとかねえと…アイツはヤベエわっ…)。

ソイツの顔と体格を、自分の記憶へ留めてから。

俺はその場へ居る全員の、先ずはその顔を。

一通りに覚えた、更に鋭く眼を光らせてだ。


(俺)(もう顔は覚えたからなっ…半端な事や卑怯な真似をしやがったら…お前等は1人じゃ…俺に勝ち目はねえぞっ…1人で俺に逢った際には…此方もただじゃ措かねえぞ…)と。


俺は力強く、その場で連中達へと。

自分の眼でそう訴えた訳だ。

まあ実際には、この場面と。

その後の学校生活で、役立つ筈のその抑止力をで在る。

「眼は口程に物を言う…」と、そう言われている。

因みに俺の眼は、自分の意思を伝えるのにとても適している。

人並み外れて、大きいのだ。

そしてこの眼の放つ、その光りも。

人並み外れてそれが強いのが、俺のその特徴だ。

俺は既に、自分自身の特徴を。

良く理解して居た。


(教師A)「どうしたんだ…???一体何が在ったってんだっ…???」。


(俺)「先生~っ…そりゃ此方が聞きてえわっ…俺は今…何にもしてねえだろうにっ…先生も見てただろう…???」。


(教師A)「ああまあ確かに…確かにそうだなっ…」。


(教師B)「まあでも取り敢えず…職員室へ来てくれ…事情を聞きたい…」。


(俺)「えっ…???俺が行くのかよっ…???何で~っ…???何にもしてねえのに…???何で俺が職員室へ…???」。


(教師A)「まあ今の場面ではそうなんだが…今後の事も在るんで…取り敢えずは来てくれ…」。


(俺)「今後の事って…???今後も何も俺は…俺は何もしてねえのに…???はあ~あっとっ…面倒臭せえな~もう…何で俺が職員室へ…俺はコイツに電車の中で後ろから…突き飛ばされただけだってのに…???んで謝れって…そう言っただけだっ…しかも入学式だってのにだぜっ…???んだそりゃ一体…???どんな災難だってんだ…???」。


(教師B)「まあまあまあまあ…」。


(俺)「まあまあまあまあじゃねえよ先生っ…頼むぜ本当にもう…」。


こうして一命を取り留めた俺は。(笑)

一命を取り留めたのか…???

まあ此方は3人居たんだが、2人は只。

見てただけだ。

向こうは20人近い。

一命を取り留めたで、良いんじゃねえのか…???

んで主犯の例の馬鹿と共に、俺は職員室へと連行をされた。

まるで犯罪者の様にだ。


まあ何かもう、まるで映画で在る。

因みにこんな状況を、肯定する訳でもねえが。

今の時代後で、周りが煩せえし。

こんな絶対絶命の、その状況下では。

自分の運命も、大きく揺れ動き。

更にその中で人は、人並み外れた。

想わぬその能力を、発揮するモノなので在る。

ってこの時実際に、俺の頭の中は。

それも物凄げえ勢いで、フル回転していたのだから。

何とかしなきゃって…???


俺はこの時全く、悪い事はしてねえんだし。

只あの馬鹿に、後ろから突き飛ばされて。

謝れってそう言っただけだ。

因みに良い子達はもう、絶対てえに真似しねえでくれっ。

真似してもこんな事が出来るのかどうかの…???

その保証はねえんだから。


んでコレで終わりかと想ったら、この後はもう。

【ブルース・リー】ばりの、13対1のその勝負だった。

まあそれでも俺は、負けやしなかったけどもねっ。

って事で何か俺って、もう相当~に。

憎たらしいらしいわっ。(笑)


著者・龍神 武明

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