同音意義語
酸性元素
第1話
その日、俺は仕事で疲れていた。
今日はパーっとビールでも飲もう、と居酒屋に俺は足を運び、空いている席につく。
「ご注文はいかがいたいしましょう?」
アルバイトらしい好青年が、俺に注文を聞く。
「あ、じゃあとりあえずビールで。」
そう言って俺は、運ばれてくるビールを心待ちにしていた。
だが、運ばれてきたものは予想外のものだった。
「とりあえずビールでーす。」
ん?なんだこれは?なぜ鳥の料理が出ている?
まさか、とメニューに目を運ぶ。
そこには、鳥和え酢&ビールと書かれていた。まさか、店員はこれを間違えたと言うのか。
「あ、いや…取り敢えずビールって言ったんですが…」
「はい、鳥和え酢ビールです。」
「あああ!めんどくせえ!」
あまりの状況のややこしさに、俺は机をドンと叩く。
「だ!か!ら!俺が頼んだのはビールだけなんです!ビールのみ!ビールのみなんです!」
俺の訴えに対し、店員は納得した様子を見せ、ペコリと謝罪すると、鳥和え酢とビールを持って厨房に戻って行った。
よかった、これで…と安心し切った時、俺はある違和感に気づく。待てよ、なぜビールを持って行った?ビールだけだと気付いたなら、鳥だけ持ってくべきだろう。
「お待たせいたしましたー!ビールのみでーす!」
「なに…これ……」
渡されたものは、緑色の種だった。
どう考えてもそれはおつまみの類である。
「ビールの実です。」
「ビールの実?!何それ!」
「おつまみに人気なんですよービールの実。」
「いらないから!その謎の豆知識!ビールだけなの俺が頼んだのは!ビールオンリー!オーケー?!」
「ビールオンリー…ああ、OKOK!」
アルバイトは、そう言うと再び厨房に戻って行く。3度目だ。三度目の正直を見せてくれ。
俺は必死に祈る。
「お待たせしました!ビールオンリーです!」
ビールと共に出てきたのは、中国人だった。
ビールONリー…なんと言う言葉の文だろう。俺はビールを一飲みすると、会計を終えた。
同音意義語 酸性元素 @sanseimotonari
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