第3話 転校生は推し

「2学期からこのクラスの一員になる一条りりかさんだ。自己紹介よろしく」



「みなさんはじめまして!一条りりかです!短い間ですが、仲良くしてくださると嬉しいです!よろしくお願いします!!」


ペコっと一礼。

肩までの髪がバサっと揺れる。


……うそうそうそ。

これって、夢??現実??



推しが……推しが目の前にいるよおおおお!!!!



りりかちゃんが……私と同じ制服を着てる……同じ場所にいる……一緒に空気を吸ってるよおおお……!!!


えええええ、可愛い!!

雑誌のりりかちゃんも可愛いけど、本物の方がずっと可愛い!!

しかもノーメイクなのかな??

校則で禁止されてるけど、それでも肌白いし、きれいすぎるっ。


ええええビジュ天使すぎるうううう!!!

モデルのオーラやばい。

キラキラしすぎてまぶしい。

それでも思わず見とれてしまう。


「え、Stellaのりりかだよね?」


「だよね!?」


「クラスにモデル来るとかやば」



さすがにクラスメートもきゃっきゃしてる。


「そうだなぁ、席は……」


りりかちゃんが教室を見渡す。

ああもう可愛い、可愛すぎるっ。


視線が私の方に向かって、そして、私のところで止まった。


……え?わ、私?


すると、ニコッて笑ってくれた。

目も細くなって笑ってる。



ひえええええええええっ!!

えええええええっ!?!?



はわああああああああ!!

昇天しちゃうよお……!!

神様、ありがとうございます……!!



「すまんが、1番後ろでもいいか?」


「はい」


「じゃあ左側の1番後ろだ」


担任に席の場所を言われ、歩き出したりりかちゃん。


うわぁ、姿勢綺麗だなぁ。

さすがモデルだ。

歩く道がランウェイみたいだ。


てか、今思えばりりかちゃんの席、私の一個隣だ。

横目でりりかちゃんを見れてしまう。

……うわぁ、可愛すぎて直視できないかもぉ……



「Stellaのりりかでしょ?」



休み時間。

一軍女子たちがりりかちゃんの席の周りに集まる。


「そうだよ。知ってるの?」


「当たり前だよ。だって、Stellaだよ?みんな読んでるし」


「実物の方が可愛い!」


「メイクしてるの?」


「まさか!!校則違反だから中学のうちは我慢!高校生になったらやるつもりだよ」


「コスメってどこの使ってるの?」


「最近集めてるの『La♡La』だよ。モデル始めたばかりの時は『&ME』よく使ってた」


『La♡La』と『&ME』かあ。


『La♡La』はちょっと高いコスメだけど、入れ物が可愛くて高校生に人気なんだ。

『&ME』は容器がシンプルでコスパが良くて、初心者でも使いやすいって評判のコスメ。


「え、あの『La♡La』使ってるの!?」


「さすがモデル〜」


「じゃあさじゃあさ、」


たしかに、りりかちゃんがモデルになったばかりの時はよく『&ME』使ってるって言ってたし、少し前のコスメページは『La♡La』のコスメを使ったページだった。


コスメってやっぱり高いから買う気になれないや。

見てるだけで十分だって思ってしまう。


「私のことより、クラスのこと教えてよ」


「うちが莉奈、こっちが彩花、華音、凛花だよ」


……出た、一軍女子。


「莉奈、彩花、華音、凛花、だね!よろしくね!!」


わっ……笑顔が眩しい。

横目で見ても直視できないや。

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