第2回 威療士って何ぞや? Part. II
「もぅ、エリーちゃん。前回の解説が中途半端に終わってしまったから、第2回になっちゃったじゃない」
「……だからあのさ、ルー」
「ママ、って呼んでくれてもいいのよ? 壁の向こうのみなさんもね」
「……。壁ってなに」
「う~ん、そうねぇ。〈
「知らないで使ってんの?」
「だって、ほら、ワタシって、み~んなのお母さんを目指してるじゃない? どんな壁だって、気にしないわ」
「ルーなら
「こーら。ちゃっかり機密事項、言っちゃダメでしょ。それに、ヒトのこと、化け物みたいに言わないの。あ! ワタシ――」
「――ヒトじゃなくて
「……エリーちゃん? たしか、昨日の出動記録、残ってたわよね。レポートの字数、けっこう足りないんじゃないかしら?」
「よし。前置きはもういいじゃん。解説してこ、ルー」
「はぐらかしたわね。やれやれ……。でもそうね。紙幅は有限って言うものね」
「さっきから意味わかんないことばっか言ってるけど、大丈夫? 37時間前のダメージ、取れてない?」
「相変わらず、記憶力いいわね。ありがと。でも、べつにバグっていませんよ。それじゃ、エリーちゃん。改めて、
「わぁったって」
「めずらしく素直でよろしい」
「どーも。えと、威療士ってのは、涙幽者の脅威に対して、その生命と周囲の安全を守る専門職のこと。涙幽者のことも言っといたほうがいい?」
「そうねぇ。でも、まずは威療士のこと、もうちょっと解説してほしいかも」
「オーケー。威療士は、この
「じゃあ、そのワタシたちのボス、ルフゥの説明をお願い」
「やっぱそうくるか。わぁったよ。ルフゥ、正式名称は
「エリーちゃん!」
「だってそうじゃん。ルカリシアにある200以上の国が参加してて、調停役やったりあちこちに資金援助してさ。なのに、ルフゥ
「落ちついて、ね。エリーちゃんが彼らに批判的なのは知ってるわ。たしかに、ルフゥには謎が多い。かの大戦終結後、有力者たちが創設に尽力した、というのが公式の変遷だけれど、その創立メンバー以外は、機密情報にされてきたものね」
「もしかして、創立メンバーがまだ生きてたりして」
「さすがにあり得ないわね。終戦からもう200年も経ってるのよ? そんなに長生きしてたら、それこそ化け物ね」
「フィクションじゃ、ありがちな設定だけど」
「エリーちゃん、SF好きだものね。だけれど、ルフゥの創立で
「ま、そんなわけで、あたしたち威療士は、このルフゥが承認した救命専門職で、あちこちにあるネクサス所属ってこと。ウチの場合は、カシーゴ・レンジャー・ネクサス。で、こっから出動要請を受けたりパトロールしたりして、“腹ぺこ”の命を救ってるってわけ」
「まーたその言い方してるんだから」
「
「はい、そこまで。そういう話は、またべつの機会にしましょう。じゃあ、エリーちゃん。きょうの解説をまとめてくれるかしら」
「オーケー、ばっちり一言で言ってやるよ。――よく聞け、野次馬ども! 救命活動の真っ最中で撮影すんな! マジで怒るからな! じゃ」
「ちょっとエリーちゃん?! ……もぅ。ついさっきの現場で忍びこんでたから、言いたいことはわかるけど……。みなさんはそんなことしないでしょうけれど、救命の現場には入っちゃダメですからね。ワタシたちプロに任せてください。ではまた次回!」
『威療士/レンジャー・ファミリー』の登場人物がメタ的に用語解説していくショートストーリー ウツユリン @lin_utsuyu1992
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。『威療士/レンジャー・ファミリー』の登場人物がメタ的に用語解説していくショートストーリーの最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます