第4話 休日の初デート!!後編

公園前のス〇ーバックスでそれぞれの飲み物を買い(スっと支払いはしている。)、公園に向かう。

「そう言えば、なんで今日だったんだ?」

「それはね〜、明日から雨らしいから桜が散る前に君と見たかったんだ」

「明日から雨なのか……」

明日は部屋の片付けをしたかったけど、明日はス〇ブラしよう。

「明日は二人でイチャイチャ出来るね?」

口元に手を置きながらニヤニヤしながらこちらを見る小春。

「明日は多分今日の疲れで動けないと思うぞ〜」

「まあ、今日の夜は激しそうっ!!」

「んなわけあるかっ!!」

確かに、今日の夜はオールでゲームするかもしれないけど……。

「というか、朝だけじゃなく夜も来るのかよ……」

「もちろんだよ、今夜は私が作るから!!」

「マジかよ、胃薬用意しとかないと行けないじゃねぇかよ……」

「私ちゃんと料理出来る!!」

「もちろん冗談だよ」

僕は「ははは」と言いながら誤魔化す。

でも、少し煽り返せてスッキリしたのは、ここだけの話である。

「でも、少し楽しみにしてるよ、メイドさんの料理」

「ふふふっ、胃袋も掴んで、貴方をダメにして見せますっ!!」

「僕の料理よりも美味しくなかったら、今後も料理は僕がするから」

「なっ!?私の活躍の場が……」

「てか、メイドなら料理以外も出来るだろ……」

「まあ、掃除と洗濯は一通りはできます。でも……」

「でも?」

小春は少し目を隠す。

「その、年頃の男の子の部屋とかって人に見られて欲しくないものを隠してたりするじゃないですか……」

「oh...…、気遣いさんかよ」

「ご主人だって、人に見られたくないものの1つや2つ、なんなら沢山あるでしょ?」

「いや、僕は基本そういうのは電子にしてるし、まあ、今はそういうの持ってないし……」

「なるほど、だから今日は少し近付いただけであの反応だったんですね!!」

「忘れろ!!」

「ふふふっ」

2人で公園内を歩く。

「桜、綺麗だな……」

「そうですね」

桜並木は、公園内の池を囲うように生えており、池の中は、散ったはなびらによって1部ではピンク色の絨毯のようになっていた。

「僕がこっちに引っ越してきたのも、こんな春の日だったな……」

「ご主人の実家はこの辺りじゃないんですか?」

「そうだね、僕は結構遠くに住んでたから、こっちの学校に入学してから友達作りも大変だったよ……」

「確かに、去年の4月は血相抱えて友達作りしてたし、1年間クラスのリーダーとしてみんなを引っ張ってたもんね!!」

「頑張ってて偉いよ〜」と言いながら、小春は僕の頭を撫でる。

「でも、去年は僕ら違うクラスだったでしょ?」

「隣のクラスだったけど、噂がね〜」

「噂?」

「うん、隣のクラスで君の事がすごいリーダーシップがあって、クラスのみんなから信頼されてるけど、少し抜けてて人気者だ〜って言われてたよ〜」

「そんな事があったんだな……」

僕は何も知らなかったけど、みんながそんな風に思ってくれていた事、多分春野さんが僕の告白を断ったのも、きっとみんなから何を言われるか分からなったからだろう。

「てか、体育祭の時はみんなの先陣切ってクラスを盛り上げてたし、文化祭はステージで演技した後にトラブルで繋ぎが必要な時に1人で歌ってみんなを盛り上げてたじゃん!!」

「あの時の歌上手だったよ〜」とニコニコしている。

「まあ、俺だってある程度歌えるし……、と言うよりもそこまで盛り上がってたか?」

「そりゃあ、もう凄かったよ。1年生の間では俺達の代の生徒会長はアイツで決定だろって言ってたし、2、3年生は最高の思い出になったって言ってたし……、まさか、自分の行動は何か間違っていたとか、空気読んでないとか思ってたの!?」

「ま、まあ……、僕はそんな度胸あったのに、告白の時にめちゃくちゃ緊張していたんだろうと思ってさ……」

「告白は違う緊張感あるしね〜、私も、断る側の立場だったけど、めちゃくちゃ緊張したよ〜。だって、断って関係が崩れて落ち込んだりされると、気分悪いしね……」

「そっか……、じゃあ、小春さんの中学の話を教えてよ」

小春は、すごく嫌そうな顔をしていた。

「ごめん、デリカシーがなかった。反省する。」

「いや、その、ちょっと〜、その話は苦手……」

「いいよ、話せるようになってからで。むしろ、嫌な思い出なら、思い出させるのがこころぐるしいし、心苦しいし、なんか、悪いし……」

僕はス〇ーバックスの紙袋から小春の注文していた名前が死ぬ程長い名前のドリンクを手渡した。

「ちょうどそこにベンチがあるから、座って飲もうよ」

「うん、ありがとう。やっぱり君は優しいね……」

「メイドさんモードはもう良いのか?」

「本当なら、メイドさんモードはおうち限定なので、もう引っ張らないでくださいっ!!」

小春はササッと座り(その前に座る場所にハンカチを敷いた。)、頬をふくらませた。

そして少し頬を赤らめながら、小春はドリンクを飲む。

「あ、新作だったけど、美味しいっ!!」

「良かったな、めちゃくちゃ甘そうだけど……」

「陽色くんも1口飲む?」

ストローをこちらに向ける小春。

これって、間接キス……

「ひ、1口貰うよ……」

勇気をだして僕は軽くのドリンクを飲む。

「確かに、甘いけど、そんなに重たくないし、飲みやすい……、うん、美味しい」

「だよね!!美味しいよね!!」

目をキラキラさせながら見てくるが、それ以上に平然と間接キスしたことをまだ受け止められない自分が取り残されていた。

「ところで、陽色くんはコーヒーにしたんだね」

「あっ、ああ。コーヒーが安定して美味しいからな……」

僕はコーヒーをひと口飲む。

小春が再びドリンクを飲もうとした時、

「というか、これ、間接……キス……」

今まで触れていなかったことを、声に出して言ったことによって、2人とも耳まで真っ赤にして目を合わせられないままであった。









「さてと、そろそろ帰ろうか?」

しばらく桜を見たあと、2人とも新たにペットボトル飲料を飲みながら公園の入口付近でだべっていた。

「そうだね、そろそろ帰って……、あ、帰る前にスーパーに寄ってもいいかな?」

「別にいいけど……」

「じゃあ、荷物持ちよろしくね?」

「だと思ったよ!!」

2人で駅へ歩いていく。

駅付近まで来た時に、

「もしかして、餅月さん?」

いかにもクラス委員という風貌の女の子が小春に声を掛けた。

「あ、やっぱりそうだよね!!餅月さん、元気になったんだね、心配してたんだよ?」

小春に駆け寄る委員長風の女の子。

「痛っ!!」

手を繋いでいる小春の握る強さが強くなった。

「小春、大丈夫か?」

「お願い、手を離さないでね……」

「わかった」

僕はそう言い、振り返って委員長風の女の子に声をかける。

「失礼ですが、お嬢様に何か?」

「あ、えっ……、ごめんなさい。人違いかもしれないです……」

僕が答えることによって、彼女は人違いだと思ってくれた。

そのまま委員長風の女の子は、元の進行方向に歩き始めた。

「ごめんね、陽色くん。嫌な役回りさせて……」

「いや、僕の方こそ、こういうことが起こるかもしれないと考えられなかった僕が悪いんだ」

「えへへ、ご主人は優しいんだね……」

再び僕に笑いかけてくれる小春。

でも、その笑顔が何かを隠すように無理しているのもなのは、察することにした。

「ちゃんと隣に僕がいるから、小春さんは何も心配しなくてもいい。絶対、守るから……」

「ありがとう、陽色くん!!」

少し涙をこぼすが、何か安心したような笑顔を見せてくれる小春。

「だから、泣くな。他者からの悲しみのせいで流す涙は、勿体ない」

僕はそっと小春を抱き締めた。

「僕は君の彼氏だから、もっと頼ってくれていいんだ……」

「陽色…く…ん」

身体から出ていた震えが少しずつ引いていくのがわかった。

僕はこの日、彼女の為に生きていこうと心に決めたのだ。

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