第四話 ロールと伝説の決闘

クロ「ということで、出撃に向けて準備をしたいわけだが」


冬「まさかムジカートのロールも知らないなんてね」


威風堂々「しょうがないですよ。まだコンダクターになりたてですもんね」


木星「まあ別にあたしらは平気じゃね?」


クロ「え!ほんとか!」


木星「たぶん」


クロ「ちなみに木星はどんなロールなんだ?」


木星「あたしはディフェンダー」


クロ「嘘つけ」


木星「なんでだよ」


クロ「…え、マジ?」


木星「マジ」


クロ「え、お前、攻撃タイプじゃないの?なのにパンチとかキックのトレーニングしてんの?」


木星「いーだろ別に」


クロ「…威風堂々は?」


威風堂々「私はヒーラーです。傷の治癒と攻撃のサポートを得意としています」


クロ「偉い!だと思った!回復役はチームに欠かせないからな!しかも攻撃のサポートまで!素晴らしい!100点!」


威風堂々「ありがとうございます!」


木星・冬「ブーブー」


クロ「うるさいっ、じゃあ最後、冬」


冬「私はヒーラーです(威風堂々感)」


クロ・木星「嘘つけ」


冬「威風堂々と同じように扱いなさいよ」


クロ「お前は傷に塩塗り込むタイプの悪徳魔法使いだろ」


木星「いや、死体蹴りするタイプの呪術師だろ」


冬「失礼ね。ヒーラーよ」


クロ「いや、でも」


冬「ヒーラーよ。ヒーラーヒーラーヒーラー」


クロ「…どうやらマジだな」


木星「てことはヒーラーかぶってんじゃねーか」


威風堂々「ど、どうしましょう」


冬「ちなみに相手の妨害をすることも得意よ」


クロ「やっぱな」


木星「呪術師」


冬「ヒーラーよ」


クロ「…でも、冷静に考えるとバランスは悪くないかもな。タンク、バフ系ヒーラー、デバフ系ヒーラー」


木星「あたし壁に穴あけられるぞ」


冬「私は魔法攻撃も得意よ」


威風堂々「…えっ、えっと、わ、わたしは」


クロ「威風堂々、やらんでよい。とりあえず、アタッカーが必要か」


木星「あたしで充分じゃない?」


冬「私で事足りるわ」


クロ「わかったわかった。ちょっと探し行くか。威風堂々、ついてきてくれないか?」


威風堂々「は、はい!」


木星「おい、あたしらは?」


クロ「あとで実践訓練するから、2人でトレーニングしててくれ」


冬「一瞬で片づいちゃうわよ」


木星「なんだとこら」


冬「なによ」


クロ「さ、今のうちに」


威風堂々「あ、はい!」


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クロ「このシンフォニカでアタッカーといったら、思いつくムジカートはいるか?」


威風堂々「そうですね…。まずは運命さんでしょうか」


クロ「あー運命さんねぇ…。めっちゃ強そうだもんなぁ。さすがタクトさんの右腕」


威風堂々「あとはトリッカーというロールになりますが、ボレロさん」


クロ「ボレロなぁ。でもボレロはニコラさんが担当だよな〜」


威風堂々「そうですねぇ。まだまだたくさんいますが…」


クロ「威風堂々が仲のいい子とかいるか?」


威風堂々「あ!いますよ!アイネちゃん!」


クロ「あいねちゃん?アイネ・クライネ・ナハトムジークか?」


威風堂々「そうです!あれ、ご存知でしたか?」


クロ「いや、曲を知ってるだけだ。そのアイネちゃんに会わせてくれないか?」


威風堂々「了解しました!こちらです!」


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


クロ「おー、ここ図書館もあったのか」


威風堂々「あ!いましたよ!」


クロ「ほんとだ。アイネときらきら星とカルメンさんと…後ろの本棚にこうもりが隠れてるな」


威風堂々「読み聞かせでしょうか?」


クロ「ちょっと様子を見てみるか」


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


カルメン「…でね、電話に出たら、『私メリーさん。今あなたのお家の前にいるの』」


きらきら星・アイネ「…」ドキドキ


カルメン「だから急いで玄関の鍵を閉めて、自分の部屋の押し入れに隠れたの」


カルメン「そしたらまた電話が。恐る恐る出てみると…」


カルメン「『私メリーさん、今あなたの』」


こうもり「うしろにいるぞおぉぉぉぉ!!!!!!」ガバー


きらきら星・アイネ「ぴぎゃぁああああぁぁあ!!!!!!」


カルメン「あらこうもり、いたの」


こうもり「へへー、お邪魔いたしました〜」


きらきら星・アイネ「う゛え゛え゛え゛〜ん」


カルメン「あらあら、泣いちゃったじゃない」


こうもり「ありゃ、やりすぎちゃいましたかね」


クロ「…なにやってんだ?」


カルメン「あら、クロ、威風堂々まで。タクトから話は聞いているわよ」


クロ「カルメンさん、お世話になってます」


こうもり「あっ!あなたもしかして、初対面でアヴリルさんにケンカ売った新人コンダクター!」


クロ「いやケンカは売ってないけど…」


こうもり「いやぁ、話聞いてお腹抱えて笑いましたよぉ。あなたとは気が合いそうですねぇ」


カルメン「とりあえず2人をなぐさめてあげなくちゃ。ほらこうもり」


こうもり「うっ、そういうのはカルメンさんが得意なので…」


カルメン「こうもり」


こうもり「はぁ〜い…」


クロ「はは…。で、なんでずっとくっついてんだ?威風堂々」


威風堂々「え!?いえ!わ、私は全然怖くありませんでしたけどね!2人よりお姉さんですし!」プルプル


クロ(怖かったのか…)


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こうもり「2人とも許してくださいよぉ〜」


きらきら星「もうこうもり嫌い!」


アイネ「今日という今日は許さないわ!」


こうもり「ほら、飴ちゃんたくさんあげますから」


きらきら星・アイネ「…」


こうもり「ハート型のキャラメルもいっぱい」


きらきら星「…今度からはやめてよね!」


アイネ「次はないわよ!」


こうもり「肝に銘じておきますよ〜。ではこれにてドロン!」ダッ


クロ「あ、逃げた」


カルメン「2人とも、もう大丈夫?」


きらきら星「うん!怖かったけどとっても楽しかった!」


アイネ「少し刺激が足りなかったけどね!」


カルメン「うふふ、よかった。じゃあタクトのところに行きましょうか、きらきら星ちゃん」


きらきら星「うん!」


カルメン「じゃあ、失礼するわね、クロ」


きらきら星「クロおにーちゃんまたね!」


クロ「うん、いってらっしゃい」


威風堂々「アイネちゃん、あれしきのことで泣いてたらキリがないですよ」


アイネ「泣いてないわよ!」


威風堂々「泣いてました」


アイネ「泣いてない!」


クロ「はいそこまで」


アイネ「あんた誰よ!」


クロ「おお、元気いいな。挨拶が遅れてごめん、新人コンダクターの響クロだ。よろしくな」


アイネ「…ふぅ〜ん。あたしは天才のアイネ・クライネ・ナハトムジークよ。覚えておきなさい」


クロ「自己紹介ありがとな。ちゃんとしてるな」


アイネ「でしょう!?なにせ私は天才なんだから!」


クロ「その天才に今日はお願いがあって会いに来たんだ」


アイネ「あらそうなの!なんでも言いなさい!この私に不可能はないわ!」


クロ「いやあ、でもアイネには難しいかなぁ」


アイネ「そんなものはないわよ!」


クロ「やっぱ無理かなぁ」


アイネ「あたしを舐めないで!早く言ってみなさい!」


クロ「実は、アイネの天才的なアタッカーとしての能力を見せて欲しいんだけど」


アイネ「そんなの朝飯前よ!すぐにトレーニングルームで見せてやるわ!ほら行くわよ!」ダッ


クロ「よし、成功」


威風堂々「…扱いが上手すぎませんか?」


クロ「いや、アイネがチョロい」


威風堂々「それは否めませんね」


クロ「で、もう震えは治ったのか?」


威風堂々「震えてません」


クロ「え、でも」


威風堂々「震えてません」


クロ(似てんなこの子たち)


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


クロ「あれ、アイネ。トレーニングルームのドアの前で何してんだ?」


アイネ「あ!クロ!なんか混んでて入れないのよ!」


クロ「うわっ、なんだこの人だかりは」


威風堂々「木星さんと冬さんはどうしたんでしょう?」


クロ「ちょっと行ってくる。すいませーん、ちょっと通してくださーい」


ムジカートたち「おおーっ!」


クロ「なんだ?なんか盛り上がってんな…」


ムジカートたち「あはははは!」ドッ


クロ「なんかウケてるし…もしかして…」


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


木星「冬お前!さっきから遠くからチクチク攻撃してきやがって!ズル!」シュタタ


冬「そういう戦術よ」ドドド


木星「拳で勝負しやがれ!」ブンッ


冬「あんたもそのフリスビー使えばいいじゃない」サッ


木星「フリスビーちゃうわ!立派な盾!」


ムジカートたち「わははは」ドッ


ニコラ「あははは」


クロ「…よいしょっと。あっ、ニコラさん!」


ニコラ「クロくん!お疲れさま!」


クロ「この前はすみませんでした」


ニコラ「いいのいいの!いつものことだよ」


クロ「…で、この人だかりはなんですかね」


ニコラ「ああ、見ての通り木星と冬の模擬戦を観戦しにきた人たちだね」


クロ「やっぱり…」


ニコラ「それがすごいんだ!戦闘技術もさながら、2人の掛け合いが面白くてさ」


クロ「はぁ…」


ニコラ「気がついたらこんなに観客が集まってたってわけ!」


クロ「…なるほど」


冬「あんたしぶとすぎよ」


木星「お前は逃げすぎ」


クロ「しゃあねえな…。はっ!」


木星「お、お?なんだ?力が湧いてくる…」


冬「…クロ、帰ってきてたのね」


クロ「この力で最後の決着つけろ。お客さんたちがっかりさせんなよ?」


ムジカートたち「おおーーっ!!」ワアアア


冬「お客さんって…あんたねぇ」


木星「よっしゃぁ!次で決める!」ザッ


冬「しょうがないわね」スッ


ムジカートたち「…」シーン


木星・冬「…」ジリ


ニコラ「…」ゴクリッ


木星「だっ!!!」ドンッ


冬(直線…速いっっ!!)


木星「もらったぁ!!!」ブン


冬「スキありっ!!!」ドン


ムジカートたち「!!!」ワッ


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


ヒルデ「…それで?壁がなくなっちゃいましたーってか?なぁ」


クロ・木星「…」ブルブル


冬「…」


ヒルデ「何か遺言はあるか?」ニッコリ


クロ・木星「ひぃっ」


冬「…」


ヒルデ「何回同じことをすれば気が済むんだ貴様らはぁ!!!!」バァン


クロ・木星「すいませんでしたぁ!!」ドゲザ


冬「すみませんでした」ペコリ


木星「こら頭がたかい!殺されるぞ!」グググ


冬「頭をつかむな」グググ


クロ「おいこんなとこで喧嘩するやつがあるか!」


ヒルデ「…貴様らはまだ懲りていないようだな」ピキピキ


クロ・木星「ひ、ひぃぃぃ」


???「すみません」コンコン


ヒルデ「誰だ。入れ」


タクト「失礼します、今日の任務の報告に…って、お取り込み中ですか?」


ヒルデ「気にするな、馬鹿者どもに制裁を下しているだけだ」


木星「おい運命!助けてくれ!殺される!」


運命「…何をしているんですか?」


ムータ「こいつらがトレーニングルームの壁をかつてないほど派手に消し飛ばしたむぅ」


タクト「ああ!あの伝説の決闘のことか?」


ムータ「伝説の決闘?」


タクト「任務から帰ってきたあと、いろんなムジカートたちから聞いたよ!木星と冬の決闘が素晴らしかったって!」


運命「私も聞きました。何やら戦闘の合間に漫才も披露してたとか」


木星・冬「してない」


タクト「そこからみんなトレーニングのモチベーションが上がって、トレーニングルームが今大人気なんだって」


運命「戦闘の手本、エンタメとして共に最高峰だったので、『伝説の決闘』と名付けたと」


ヒルデ「…」


クロ「…まあめちゃくちゃ盛り上がっていたのは確かですね」


タクト「俺も見たかったなあ」


ムータ「実は録画してたむぅよ」


タクト「え!ほんと!後で見せて!」


運命「私も見ます」


ヒルデ「…はぁ、もういい。呆れてものも言えん」


クロ「次からは気をつけます…」


ヒルデ「耳タコだよ」



第四話 ロールと伝説の決闘 完

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