第二話 冬の到来

クロ「おはようございます」


ヒルデ「おはよう。早速だが、今日の午後から木星と街のパトロールに行ってもらう」


クロ「かしこまりました」


ヒルデ「木星にも伝えてある。パトロールに向けて訓練しておけ。いいな」


クロ「かしこまりました」


ヒルデ「ついでにお前も体作っとけ。コンダクターは体力が命だぞ」


クロ「かしこまりました」


ムータ「ロボットみたいだむぅ」


クロ「オメーと同じにすんな」


ムータ「オメーとはなんだむぅ」


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クロ「というわけで、訓練しよう」


木星「訓練ってなにすんだ?」


クロ「まあ、俺の指揮と木星の動きの確認とか?」


木星「なるほどな。じゃあこのサンドバッグがD2な」


クロ「でけえサンドバッグだなこれ」


ムータ「木星はトレーニングルームの壁をぶち破りやがったことがあるむぅ。だから用意したむぅ」


木星「てへへ」


ムータ「褒めてねーむぅ!」


クロ「タクトさんに指揮されてるときはどんな感覚なんだ?」


木星「そりゃもう、パワーがみなぎるって感じよ」


クロ「もうちょい具体的に頼む」


木星「うーん、こう、グワワァって感じ」


ムータ「具体的の意味わかってねーむぅ」


クロ「…全体的にパフォーマンスが上がる感じか?」


木星「そうそう!そんな感じ!」


ムータ「エスパーだむぅ…」


クロ「なるほどな…。ちょっと試しにやってみるから、適当に動いてくれ」


木星「待ってました!いくぜ!」


木星「おりゃおりゃおりゃあ!!」ドンッドンッ


クロ(全体的に…パフォーマンスを…)


クロ「ほっ!」


木星「おっ!いい感じ!はぁっ!」シュタタッ


ムータ「木星の運動能力が増したむぅ」


木星「これでフィニッシュ!」ドンッ


木星「…ふぅ〜!気持ちいいなぁ!」


クロ「どうだった?」


木星「いい感じだったよ!タクトより少しグワっていう感覚は弱いけど、充分戦える!」


ムータ「悔しいけど才能はあるむぅね」


クロ「わかった、ありがとう」


木星「おう!頼りにしてるぜ!」


クロ「実は、もう一個試したいことがあるんだ」


木星「お!いいぜ!やろう!」


クロ「了解。じゃあ…」


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


ヒルデ「…それで、また壁に穴をあけたと」


クロ・木星「す、すみません…」


ヒルデ「何回同じ過ちを繰り返せば気が済むんだ?なあ」


ヒルデ「ただでさえ資源不足なのに、味方の体力を削ってどうするんだ!!」バァン


クロ・木星「ひいぃ」


ヒルデ「…次はないからな」


クロ・木星「はぃ…気をつけます…」


ムータ「いい気味だむぅ」


ヒルデ「ムータ!そもそも貴様が付いていながらこんなことに」


ムータ「ぎゃー!こっちにも来たむぅ!逃げるむぅ!」


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ムータ「…はぁ、こってり絞られたむぅ」


クロ「ムータが悪い」


木星「うん、ムータの管理不足」


ムータ「ぶっとばすぞむぅ」


クロ「冗談はさておき、木星すまなかった。まさかあんなことになるとは…」


木星「いやいい。ていうかすげえよ!あんな感覚初めてだった!」


ムータ「…まあたしかに威力は凄まじかったむぅ」


クロ「あれが俺本来の指揮のやり方だ。気に入ってもらえたかな?」


木星「もちろん!早く実践で試したいな!」


クロ「そろそろ正午だし、飯行くか?」


木星「待ってました!」


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ムータ「はぁ…なんでムータが壁の穴の修理をやらなきゃいけないむぅ」


四季・冬「ムータがトレーニングルームにいるなんて珍しいわね」


ムータ「聞いてくれむぅ!また木星が壁に穴開けたむぅ!サンドバッグも一緒に壊しやがったむぅ!」


冬「あら、災難ね」


ムータ「ちょっと材料とってくるむぅ。めんどくさいむぅ」


冬「さて、私は訓練を…?」


冬「壁の穴はどこなのかしら?」


冬「…!?なによこれ…?」


冬(拳のかたちの穴…?外が見える…)


冬(同じかたちの穴がサンドバッグにも…?まさか、この分厚さのサンドバッグと壁を貫通して…)


ムータ「まったくムータも楽じゃないむぅ…あれ、冬。まだいたむぅ?」


冬「…これ、誰がやったの?」


ムータ「木星と新しく入ってきたコンダクター、響クロがやりやがったむぅ」


冬「コンダクター、響クロ…」


ムータ「…どいてもらえるかむぅ?」


冬「…」


ムータ「…おーい?」


冬「そいつらは今どこに?」


ムータ「もうすぐパトロールにいくんじゃないかむぅ?」


冬「…」ダッ


ムータ「…走ってったむぅ。なんだったんだむぅ?」


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


木星「よぉし、腹いっぱい!パトロールにいくぞぅ!」


クロ「よろしくな、木星」


木星「おう!大船に乗ったつもりでいなさいな!」


クロ「心強いな」


冬「ねえあなたたち」


木星「ぅうわぁ!びっくりした!」


冬「私も連れて行きなさい」


クロ「え、えっと、君は?」


冬「いいから」


クロ「えぇ…」


木星「こいつは四季・冬だ。今日は非番だろ?」


冬「非番だから何しても自由」


クロ「でも外出許可は必要じゃ…」


冬「出してきたわ。私を舐めてるの?」


クロ「…怖いよ、木星」


木星「…これは連れてくしかないなぁ。」


冬「邪魔はしないわ」


木星「もうしてるって…」


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


木星「ここが難民街だ。スリに気をつけろよ?」


クロ「わかった」


冬「…」ジィーッ


木星「…で、ここが本屋さん。きらきら星がよくお世話になってる」


クロ「おー、今度買いにこよう」


冬「…」ジィーッ


木星「…」


クロ「…」


冬「…」ジィーッ


クロ「…あ、あの」


冬「なによ」


クロ「なんか俺らの顔についてる?」


冬「…?ついてないけど?」


木星「…なにしにきたんだよ、お前」


冬「あなたたちには関係ないわ」


木星「調子狂うなぁ」


クロ「…?なんかあっちの方が騒がしいな」


木星「この反応は…!クロ!D2だ!いくぞ!」


クロ「お、初陣だな。よし!」


冬「…」


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


D2「グオオオォォォ!!」


市民たち「助けてぇ!」


木星「いた!2体だ!1体逃げてくぞ!」


冬「私が追うわ。後で加勢する」ダッ


クロ「えっ」


木星「気にすんなクロ!あいつは強い!」


クロ「わかった!」


D2「グオオオォォォ!」


木星「くるぞ!」


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


D2「ガアアァァァ…」


冬「…よし、沈黙」


冬「急いで戻らないと」


ッパァァァン!!!!


冬「!?なんの音かしら!?」


冬「あいつらたちの方からだわ」ダッ


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


クロ「ふぅ〜、終わったな」


木星「やっぱすげえな!」


冬「…終わってる」


クロ「あ!よかった無事だった!」


冬「あたりまえよ」


木星「よし、じゃあパトロール続けるかな」


クロ「おう」


冬「まちなさい」


木星「…今度はなんだよもう」


冬「私が追ったD2よりもあんたたちが相手したやつの方が明らかにデカくて体力がありそうだったわ」


木星「だから?」


冬「どうやって私と同じかそれ以上のペースで倒したかを答えなさい」


木星「それが人にもの頼む態度かよ…」


冬「ぐずぐずしてると攻撃するわよ?」


木星「いや怖い怖い!クロ!なんとかしてくれ!」


クロ「…木星が最強だから?」


木星「そう!あたし最強!」


冬「ほんとにやるわよ?」


木星「ひいぃ」


クロ「…えっと、タクトさんに指揮されたことはある?」


冬「あるわ」


クロ「どんな感じだった?」


冬「全身から力がみなぎる感じ」


木星「グワワッて感じだよな」


冬「…なにそれ」


クロ「俺の指揮は…なんていうんだろ、一点集中型?」


木星「そうだな!こう、ギュギュッ、ドパーン!!って感じだ!」


冬「あんたは黙ってて」


クロ「要は、タクトさんの全身強化エネルギーをひとつにまとめて放出?って感じらしい」


冬「…」


クロ「…どうかな?」


冬「…」


クロ「…あの?」


冬「いいでしょう」


木星「なにがだよ」


冬「響クロ、今度私を指揮しなさい」


クロ「あ、ああ」


冬「…」スタスタ


木星「おい、どこいくんだ」


冬「帰る」


木星「自由か…」


クロ「嵐みたいな子だな…」


冬「冬よ」


クロ「あ、はいすみません…」


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


ヒルデ「…なるほど、それがお前の指揮か」


クロ「はい、こんな感じです」


ムータ「使い所はわきまえて欲しいむぅ」


ヒルデ「まあいい。今後も精進しろよ」


クロ「ありがとうございます」


ヒルデ「ムジカートとの交流も忘れるな。兵器である前に彼女らは人間だ。人間関係も戦闘に反映されるぞ」


クロ「かしこまりました」


ヒルデ「あとアヴリルがお前に怒ってたぞ。なんとかしておけ」


クロ「かしこまりました」


ヒルデ「コンダクターへの理解も深めろ」


クロ「かしこまりました」


ムータ「またロボットだむぅ」


クロ「かしこまりムータ」


ムータ「くっそ腹立つむぅ」



第二話 冬の到来 完

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