僕だけにはなさないで、知立先輩

Tonny Mandalvic

僕を地獄にはなさないで 知立先輩

 今日もまたつまらない日常が始まるわけで、というかしがない日給を稼ぐためのどうでもいい仕事をするしかない人生が待っているわけです。


 電車に乗り、会社に勤務時間5分前につくと、課長と僕をかわいがってくれていた知立先輩が話をしていた。

 4月なんで、昇進かなんかかなと思いましたが、そうではなかったようです。というか昇進の打診なら密室でやるか。


 朝礼で課長が以下の通りはなした。

 「知立さんから、話があるそうです。」

「私事ですが、婚約が決まって、来月から苗字が矢田になります。」

 周囲「おめでとう!!!!!」

 ヤジが飛ぶ。

 俺の心「はあ。」

 僕って言わなくなった。


 きたか、ついに来たか・・・・・


 僕は屋上に行き、そこからフェンスを乗り越え、翼を授かった。・・・・・・・・・


 知立先輩「どうして、あの人自〇なんかしたんでしょうね。」

 その他一同「あんたのことが好きだったからじゃないの。知らんけど。」

 

 おしまい。




 終わったと思った瞬間、それは悪夢だったらしい。なので、つまらない日常の始まりに戻っていた。言い方変えると、同じ日の朝の寝起きの時に戻っていた。


 でだ、現実は変わっていないのだ。

 この日もまた、知立先輩が朝礼の時に

「結婚します。」

 っていったので、僕は取り合えず仕事をしたけども、終わった後の記憶がなくなっていた。

 蒸留酒一気飲みした後の記憶がない。




 うん、エンドレスだね。

 というか未来って変わらないし、ましてや、知立さんと結婚する未来なんてないんだから、素直に進んだほうがいいんじゃないかって。別に日常が変わらず流れていくことが楽しいんだよ!俺は。



 3回目

 起きて、電車に乗って、知立さんが前にいる。

 課長「朝礼」

 知立「私事」

 おれ「ぎいやーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ」


 どうだ。少年あ〇べでス〇オ君が飼ってた鳥ばりの悲鳴を上げてみたぞ。

 課長「どうした。」

 俺「すいません、ちょっと。」

 知立「私事」

 おれ「ぎいやーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ」




 課長「おい」

 知立「私事」

 おれ「ぎいやーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ」


 3回目は無理でした。

 課長と部長に連行され、正直に言いました。

 課長は僕に対して、かわいそうなものを見るような目なのかおかしなものを見るような目なのかわかりませんが私を見て。

「今日有給やるから休め。というか言うの妨害しても何も結果は変わらんぞ。」


 結果は変わらないという言葉がトリガーになったのか、僕はそのまま、どこかに吸い込まれて行きました。




 4回目

 起きて、電車に乗って、知立さんが前にいる。

 課長「朝礼」

 知立「私事」

 爆音でなる受信音、朝礼の時は受信音停めろって当然だ。


 とりあえず電話が着たふりして。

「はい。父さん。母さん◎んだ?うん、うん、じゃあ〇○○病院に行けばいい。わかった。うん。」

 課長に、

「母さん〇んだらしいんで病院行ってきます。」

 とおもっきし白々しい嘘を勢いで堂々と吐き、会社から逃げた。


 だからといってよく考えたら何かが変わるわけではない。


 ここまで来たけど、明日どうするべ。


 とりあえず今日を楽しんで、課長に、ちょっくら病院に行ってくるので有給使いますと電話して、即切りして、母に会いに行きました。


「母さん。」

 母は家に帰ってきた僕を見て、幻でも見ているような顔をしていた。

 父にも母にも正直に事情をはなした。

 というか、嘘偽りで固めても仕方がないし、今回の件で、父母は利害関係にあるわけではないので、正直に話したほうがことが進むだろう。

 父は「お前、懲戒解雇になるかもしれないけどそれでいいのか?」

 母は「かってに私を〇すな、バカ息子。」

 という感じだった。

 うん。

 別に年取ってくると仕事はつまらないし、夢も希望も無くなってくるから、あと先のことを考えなくてもいいっていうメリットが出てくるよね。若者と違って。


 俺は「取り合えず入院したことにしておくか。」といって、というか、慶弔の届け出とか出せとか言われても実際には死んでいないので、どうしようもない。


 課長には電話で「母は〇んでなかったけど、一回実家帰りました。」と言っておいた。


 正月も盆も帰っていないのでいい機会だろう。



 でだ。

 どうする。

 勢いでここまで来てしまったが。

 

 とりあえず2泊3日で帰って、詫びの白〇変人とミルククッキーと佐〇水産のサーモンチップを中国からの観光客ばりに爆買いして、戻った。

 これで首言われるんだったら実家で無職暮らしというかアルバイトするし、なんかもうそれでいいや。


 というか、なんか人生次に進んだな。


 会社に戻って、一応なんか整理をする。


 課長に呼び出される。


 課長「お前大丈夫か。」

 俺「大丈夫です。」

 課長「係長級になる予定だったけど。」

 俺(正直どうでもいいです。無責任でまろやかに暮らしたい。)

 課長「知立異動だから後釜にという話だったんだが。」

 俺(後輩の人望ゼロですからできません。)

 というか君何やってたの。

 

 とりあえず事情聴取が終わった。まあ解雇なら解雇でさっさと逃げたいと思う。面白くないし。

 あ、懲戒解雇になったら退職金ないんだ。懲戒解雇事由だし。



 課長の聴取が終わった後、知立先輩が話しかけてきた。


「どうしたの。」

(どうしたもこうしたもないでしょ「あんた結婚するんでしょ」)

 心の声が漏れてきた。

「何で知っているの。」


 僕は目の前が真っ暗になった。あとは★になったらしい。



 本当におしまい。









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