第3話 地獄から平穏へ

数ヶ月後、僕と母は祖父母がかねてから用意していた僕と母のために作った自宅の隣の平屋に越すことにした。


ここなら、保証人も何もいらない。

母が家賃として祖父母に渡したいならそうすればいいとそういう話になった。


その頃には、転校手続きも終わり、こっちの学校に通い始めていた。母も同じく就職し、2人の生活が始まっていた。


そんな平和な日々が続いてある日、

2人で夕飯を食べていると、勝手にドアが開いて誰かが足音を立ててはいってきた。



―――――――――父だ。


僕は母の前に立った。


「そんなんで守ってるつもりか?」


また僕は父に弾き飛ばされた。


僕は咄嗟に食洗機にある包丁を手に取ると父に向けた。


さすがにそれを見て母は叫んだ。


「涼太!!それはダメ!!」

「俺よりこいつか?!」

「違う!!人殺しになる!!」

「コイツが死ぬならそれでいい!!」


「あたしのそばにいれなくなる!!」


僕はそれを聞いて静かに食洗機に戻した。

そして持ってたスマホで警察を呼んだ。



役場に相談して、手を打っての僕の転校の事もあって警察はすぐに来た。


父は連れて行かれて、僕は少しして母に叱られた。


「涼太、あんたね、あれはだめ。」

「ごめん」

「この生活できなくなる」

「ごめん」

「おいで。」


母は思いきり僕を包み込んで


「守ってくれてありがとう。」


母は泣きながら僕にそう言った。



「怖い思いさせてごめん」と謝ると、

「あたしの方こそ。」と母。




僕らは地獄の日々を乗り越えてここまで来た。

その後、父は逮捕されまた母との平穏な日々が始まった。

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