第21話 娘をもらってくれないか

僕はかつての同僚のT先生から娘をもらってくれないかと言われたことがあった。僕は綾子さんのお父さんとも同じぐらいの年齢だ、そして同僚でもある、だからまた同じことが起こらないとも限らない。まあそんなことは普通に考えて無いけどね。

結婚とは若い男と女が出会って恋に落ちて一緒になることさ。年齢は問題じゃない。本人が若いと思えば若い。歳だと思えば歳だ。問題は恋に落ちた後だ。その先に希望を持てるかどうかだ。恋はいつか冷める冷めても生活は続けていかなければならないそこが問題だ。生活を続けていける手段を持っていなければ当然結婚は不可能だ。恋は一時の美しい夢だが結婚は長く続く現実だ。それなりの覚悟が必要だ。そんな相手に出会えば君は恋と結婚が全く別のものだってことが嫌というほどわかるだろう。青春の影という歌にもあるように恋から愛へ続く道は細くで厳しい長い道だ、なかなか最後まではたどり着けないだろう。ほとんどの人間が愛までたどり着く前にただの男と女に戻ってしまう。お互いがお互いにとって人生でたった一人の特別な相手になる前にだ。

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