第14話 神の御業
この間の木曜日は西松さん、月曜日は素彦さんと春日井に迎えに行った。そろそろ来るかなと思っていたら水曜日はやっぱり綾子さんだった。毎週じゃなくても週に2 ~3度は綾子さんと一緒に迎えに行けるんだ。そう思うと心がはずんだ。「よく晴れてますね。本当にいい天気ですね。雲ひとつない気持ちがいいですね。」何を話そうかいろいろと考えていたけど、やっぱり天気の話になってしまう正直天気の話が入りやすいのかな。綾子さんとは雨の日が多かったような気がしていたけど、まあよく考えると雨の日でひどかったのは一度だけだったのかな。でも、あれが強烈だったので、天気の話をすることが多くなってしまった。何の話をしていても綾子さんとはとても楽しく話せる。驚くほど年齢が違っているのにとても自然に話が出来る。全然気づまりでなく普通に話が出来る。今日の綾子さんは挨拶の時はちょっと調子が悪いのか鼻をグズグズさせていた。僕は風邪かなと思っていたんだけれどもどうも花粉症なのかもしれないと思った。熱も出ないし体もだるくない。綾子さんも鼻をすすりながら今日は花粉が酷くてと言っていた。窓の外は空地にも道路の端にもブタクサが黄色い花をつけていっぱい咲いていた。これじゃ花粉症の人はたまらないだろうな。僕たち2人は鼻をすすりながら春日台まで楽しく車で走っていった。
それにしても23歳の綾子さんがずいぶん年の離れた僕のことを本当に好きになってくれるんだろうか。僕に恋をしてくれるんだろうか。考え始めるととても不安だしさらにその先の結婚のことは本当に可能なのか。いろんな人から反対されるだろうなぁ。特に綾子さんの両親からはすごく反対されるだろう。それは当然だけど23歳の大事な娘を60歳近いおじさんに攫われるなんて親として絶対に許せないだろうな。でも23歳のあやこさんが僕のことを好きになってくれたことは奇跡だし、綾子さんのお父さんが同じ職場で一緒に働いているということも何か神の力でも働いているのだろうか。もしそうなら綾子さんと僕は上手くいくのかもしれない。そのように作られた定めなのかもしれない。そうでもなければ、あの若い綾子さんと60近い僕がお互いに引き合うなんて到底考えられない。これはもう人知を超えた神の御業だろう。だからこそもし彼女と付き合うことができたなら、きっとそのまま死ぬまでずっと一緒にいられるのかもしれない神が定めた神の運命なのだから。
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