第13話 赤いルージュ
数日前のあれは一体どうしてだろう。いつもまったくお化粧していない人なのに唇につけた赤いルージュがすごく生えていた。綺麗だった。いつもと全く別人かと思うほど綺麗だった。やっぱり綾子さんはもともと顔立ちが良いからちょっとしたお化粧ですごくきれいになっちゃうんだよね。そういえばこの間一緒に入ってきたとき綾子さんは細いズボンを履いていた。黒くてスリムなそのズボンは綾子さんの足が細いのもまっすぐで綺麗なのも改めて僕に見せてくれた。僕はその時初めて綾子さんの足の細さを知った。最初に知ったのは去年の11月ぐらいだったか。寒かったなぁあの頃は、僕は綾子さんの体の変化を心配している。年齢的にもしかしたら太り出すかもしれないからだ。綾子さんの脚は去年同様ほっそりしていた。高校を卒業してから全く運動してないなぁと言っていたから心配していたけどまったくの杞憂だった。
綾子さんは見た目と違って大雑把な人だ。見た目はちゃんとしていてどんなことでもきちんとやるタイプに見えるけれども、毎日見てるとどうもそうではないらしい。この間もやけに大きな鞄を持っているのでおーきな鞄ですねと言ったら、これは小さな鞄に入れてくるのが面倒くさかったからまとめて持って来ちゃったんですと言っていた。
普通の女の子ならこんなおーきなカバンに全部入れて持ち歩くなんてことはしないだろう。その時に必要な物だけを小型の鞄に入れて持ち運ぶはずだ。ちょっとした旅行にでも行けそうなほど大きなナップサックに何もかも入れて持ち歩くなんてことは絶対にしないはずだ。まあそこが綾子さんのおかしなところでもあり魅力的なところでもあるわけだが、前回の時は結構かわいい小さい鞄を持っていたのにどうして今日はこんな大きなリュッサックみたいなカバンを持ってきているのかわけが分からない。夏が終わって大分涼しくなったので綾子さんも秋物の服を着たりして多少着るものにも気をつかってきているようだ。本当にびっくりするほどヨレヨレのTシャツをしわしわのまま着たりしていた。男の僕でもこれならアイロンをかけるよなと思うようなティーシャツだった、そうでもなければ捨てるレベルのTシャツだ。僕はあまり細かいことを気にするような女の子よりはこれくらい大雑把な人の方が面白いと思った。
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