第10話 水色のスクーター

月曜日はいつもお父さんがお休みなのか、綾子さんはひとりで来ていたらしい。去年の冬にも乗っていた水色のスクーターが下に止めてあった。僕は割れたウインカーのところに貼ってある白いテープを見て間違いなく綾子さんのスクーターだとわかった。そういえば以前から時々スクーターが止まっているなとは思っていたがきっとあれも月曜日だったんだ。それにしても今日はふしぎなぐらい綾子さんに会わなかった。一度も見なかった。本当に上の階に来ているんだろうかと思うぐらい全く綾子さんの姿を見なかった。いつもなら一度や二度は姿を見せるのに今日はまったくだ。綾子さんの姿を見ないとやる気が出ない。正直なところ別に会ってもお互い仕事中だからせいぜい挨拶をするだけだったけど、やっぱり綾子さんの姿を見ないと元気が出ない。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る