第131話
「だから若い割にあんなジジイみたいな話し方すんのか」
ネモの庭の草むしりをしながら、ステラが鼻で笑う。座ったままあまり進んでいなかった。
「話し方まで似てしまうとは、よっぽどおじいちゃんっ子だったんだな」
ネモの祖父が亡くなり、まだ幼かったネモは親戚に引き取られて、ユーリが住む街へ移住した。そこでナノの母親やユーリと出会った。
「おい、イーズ! ステラ! ちょっとおつかいに行ってこい! ナノもちょいと手伝え!」
窓からネモが顔を出し叫ぶ。三人は立ち上がりながら揃って返事をした。
松葉杖を使っていたが、面倒になったらしくネモは昨日から片足で飛び歩くように移動している。いつか転ぶのではないかとナノは内心はらはらしていた。
「ったく……人づかい荒いよな……」
「まあまあ。お世話になってるんだから」
「そうだけどよ……いつになったら青の絵画に案内してくれるんだか」
「焦るなステラ。ようやく原画と対面できるのは嬉しいと思うけれど、こちらの都合を押しつけられない。あ、ルークさんにも報告しておかないと」
今日の昼過ぎにでも手紙を書いて送ろうと考えた。ニ、三日もあればルークの手元に届くだろう。
「あ……ふたりはルークさんに会ったことなかったな」
「うん。ユーリの弟さんだったよね。やっぱり似てる?」
ルークが家の玄関の前で待っていた姿を思い出す。あのときはユーリが帰ってきたのかと思って、ひどく慌てたものだった。
その話をするとイーズはぱっと顔を輝かせて、早く会いたい、と笑った。
家の中に入ると、大きな背負いかごがふたつ置かれていた。ひとつはだいぶ年季が入っている。
「イーズとステラは山で染料の材料を採ってくるんじゃ。鉱石と植物じゃ。できるだけたくさん頼む」
「はーい」
「して、ナノはワシの作業を手伝ってもらう。ここに残るんじゃ。ハイ、解散!」
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