第116話
「はは。ナノに嫌われたらやっていけねえや」
ようやくステラに笑顔が戻る。ステラは不安を言葉に出すのが苦手なのかもしれない。
手を離せばどこかへ消えてしまいそうで、平気な顔を作るのが上手い。
「……そういうところが、ユーリと似てる」
「おれが? ユーリと?」
ナノはこっくりと頷いた。ステラは半分嬉しそうな、半分困ったような顔をする。
「お父さんに似てる、って言われるの、すげえ微妙な気分」
「ユーリはお父さんじゃない……いや、まあ、お父さんみたいなものか……」
「おれ、ナノのお父さんになるつもりはねえぞ」
ステラの指がするりとナノの指に絡み、固く紐を結ぶように、ぐっと力が込められる。ふたりの体温が混ざり合って、頬がほんのり熱くなった。
ナノは空いた手でそっと頬を冷やそうとしたけれど、熱くなった手ではあまり効果がなかった。
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