6 レオとの再会

第68話

「ステラ、大丈夫か」


 船を降りた後、例のごとくステラは顔を真っ青にしてふらふらの足取りだった。二時間くらいの船旅だったが、ステラには相当堪えたようだった。

 うずくまるステラに近寄り、イーズはステラの手を取る。いっさい曇りのない眼差しで「背負ってあげようか?」と言った。


「…………おまえさ、それ本気で言ってる?」

「え? だってつらいんでしょ」

「それはおれへの優しさなのか、嫌がらせなのか、それとも早く進みたいだけなのか、わかんねえよ。先に行ってて」


 ステラはどうにか立ち上がったものの、そばにあったベンチへ倒れ込むように座ってしまう。ナノから受け取った水を飲み、亡霊のようにベンチに身体を預けて空を仰いでいる。


 ナノとイーズは目配せをして、お互い頷きあう。

 イーズはステラを抱えると、肩に担いだ。ステラの身体がイーズの首の後ろに沿うような形で担がれており、これは人を救助するときの担ぎ方なのだとイーズに教わった。


 フギャー! と、威嚇のような声を出すものの、絶不調の身体ではイーズにとうてい敵うはずもなく、すぐにステラはおとなしくなった。


「イーズが力持ちでよかったな」

「ステラの重さなんて大したことない。でもまさか訓練が役立つとはね」


 イーズがステラの顔を覗き込むと、ステラは不機嫌そうに顔を逸らし、イーズの肩に顔を埋めた。


「ああ……ほんっと最悪……」

「まあ、人混みだと恥ずかしいかもしれないけれど、ここは人も少ない。甘えておけ、ステラ」


 うう、と唸り声をあげた後、ステラの尻尾がすべてを諦めたようにだらりとぶら下がる。


 そんな状態で歩くこと十分ほど、緩やかな坂を上りきったところに、いくつかロッジハウスが並んでいた。このうちのひとつにレオが滞在している。ロッジハウスには番号が振られていて、手紙に書かれた番号を確認しながら探す。

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