第62話
「そう聞こえたならすまん。そういうつもりはねえよ。とりあえず本題に入ろうか。これからの予定を教えてくれよ。青の絵画には近づけそうか?」
「とりあえずユーリの友人とやらに会いに行く。そこで話を聞くつもりです。まあ、絵の所在までは期待しないでほしいけど、ナノ……ユーリの娘になら話す情報があるかと。わかり次第情報流します」
「意外とそいつが隠してたりして!」
ちびっこが無邪気な顔でステラとゾロの間に割り込む。こら、とジャンボに首根っこをつかまれて椅子に引き戻されていた。
「三日後に小島に渡る。そこで数日滞在になると思います。情報を得たら随時流します」
「わかった。ステラ、くれぐれも変な気を起こすなよ」
「その言葉、そのまま返します。おれの流した情報、持ち逃げしないでくださいよ? ゾロさんならやりそうだし。ああ、あともう尾けるのはやめてほしいっす」
「わかったよ。ばれないように尾ける」
ゾロは煙草を灰皿に押しつける。ぎりぎり、と音を立てながら火が消えた。
「……ユーリの娘の幼なじみも一緒に旅をしてるんすけど、そいつが疑い深くて。なに考えてんのかよくわかんねえ。だけど、そいつは戦闘訓練を受けてたんだ。そいつにばれねえようにしたい」
「めんどくさいね!」
ちびっこが身を乗り出す。またジャンボがちびっこの首の根を掴みかけたが、ゾロが苦笑しながら離してやれと言った。
「ネックなのはそっちってわけか」
「はい。あんまり変な動きをしてたら、青の絵画を見つける前にばれちまうかもしんねえし」
「邪魔なやつがいると大変っすね! ステラさん!」
ちびっこはふんふんと鼻を鳴らし、それからジャンボの皿からたまごサンドを取って食べた。あっ、とジャンボが漏らすが、お構いなしといった様子だ。数秒見ているだけでも忙しいちびっこの動きに、ステラは小さく溜息をつく。
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