4 財政難
第43話
約三日、船に揺られた三人は次の街の港に到着した。その地は日差しが強く、冬装備では汗ばんでしまうほどだった。
船を降りる前にコートを鞄の中に詰め込み、綿のシャツの袖でちょうどいいくらいだった。
イーズとステラも暑い暑いと言いながら袖をまくっている。
「で、この街でレオと会えんのか?」
「いや、もう一度小さい船に乗って、離れた小島へ行かなくちゃいけないんだ」
「また船かあ……はあ……」
船に乗っている間、ステラはずっと顔色が悪かった。食事もまともにできず、いつもの元気がない。水とパンをひとかけらほどしか食べていなかった。
「とりあえず、小島に行く船の時間を見なくちゃね」
三人は港の案内板を探し回る。足元がおぼつかないステラをナノはそっと支えた。身長差があるせいで頭を肘置きにされてしまったが、致し方ない。
「ちょっと座ってたら? 僕とナノで案内板探してくるよ」
「そうするわ。まじだりい……」
ステラは石でできたベンチにごろりと寝転がる。船にいたときよりは幾分かましだが、まだ顔色は優れなかった。
「かわいそうに」
ナノはステラの額をゆっくりと撫でた。ナノが風邪をひいたとき、ユーリがやってくれたことだった。
「…………っわ! な、なにすんだよ!」
「わあ。いきなり起きると身体に障るぞ。ちゃんと休むんだ」
「急に頭撫でられたら驚くだろうが!」
それまで絞り出すような声しか出ていなかったが、声を裏返らせつつも少し元気な声が出ていた。頭を撫でるのは、効果があるのだとナノは思った。
「それだけ元気なら大丈夫だね。さ、ナノ行こう」
「うん。ステラ、ここでおとなしくしているんだぞ」
「おれはガキかよ。はーもうさっさと見てきて!」
心ばかりステラの顔色が戻った。頭を撫でるとなにかしらの力が働くのかもしれないと思い、ナノは自分で頭を撫でてみるが、特に変化は感じられなかった。
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