第4話 まったく違う世界
「すごい! こんな景色生まれて初めて見ました!」
「ティナがいた世界とは全然違う?」
「はい、全然違います。色々な建造物があるんですね!」
ティナは始めてみるこの世界の景色に驚き、満足しているようだった。
「ここで、ティナはこれから生活していくことになるね」
「本当に楽しみです」
まず初めにどこに連れて行こうかと思ったが、ティナは持っている衣服が少ないということを思い出し、服などを買いに行くことにした。
初めての世界で、見慣れないファッション。
ティナにとっては始めて見るものばかりだろう。楽しんでくれるといいな。
俺はそんなことを考えながら、ショッピングモールへと向かった。
♢
「着いたね」
「ここは?」
「ここは、ショッピングモールっていう場所で、様々な種類の店が並んでいる商業施設だよ」
「そうなんですね。凄い立派な造りをしていますね。この世界では、このような建物は多いんですか?」
「そうだね。割と多いと思うよ」
「すごい……」
ティナは初めてのショッピングモールに感激しているようだった。
元いた世界には、このような建物はなかったのかもしれないな。
俺たちはショッピングモール内の洋服等を販売している店に入った。
「色々なデザインの服が置かれています!」
「そうだね。ティナが好きなやつを選んでいいんだよ」
「えっ!? 良いのですか?」
「うん、お金のことは気にしなくてもいいから」
「あ、ありがとうございます!」
ティナはとても嬉しそうな表情で店内に並べられている服などを見ていく。
この店は、このショッピングモールの中でも特に広い店なので選ぶのに時間がかかってしまうかもしれないが、それでいいと思った。
ティナが満足してくれるなら、いくらでも時間をかけてもらって構わない。
(可愛いな……)
異世界から来た子とはいえ、好きなものとかはこの世界の女子たちと変わらないんだろうな。
ティナが楽しそうに服などを選んでいる姿をみて、俺はそう思った。
「好みの服は見つかった?」
「えっと、なんと言えばいいんでしょう。好みの服ばかりで困ってしまいます」
「たしかにこの店は色々な服を取り揃えているから選ぶのは大変かもしれないね」
「はい、選びきれないです……」
俺でも服を選ぶのに時間がかかってしまうことがあるのだ。
この世界に初めて来たティナがすぐに選ぶことは出来ないよな。まあ、そういうときは、店員にアドバイスをもらえばいい。
この店の店員は、ファッションに詳しい人ばかりだから、助けになってくれることだろう。
「店員の人にアドバイスとか、おすすめの服とかを聞いてみるといいよ。なんだったら、俺が聞いてあげようか?」
「お願いしてもいいですか?」
「うん、任せて」
ティナは自分から店員さんに話しかけるのが恥ずかしいようだ。
俺がティナの代わりに店員さんに聞くことになった。
でも、よく考えたら店員も緊張するだろうな。こんなに可愛い子に似合う服をアドバイスだったりすることになるのだから。
「ちょっといいですか?」
「は、はいっ!!!」
やはり、店員の人はとても緊張しているようだった。
俺だけであれば、こうはならない。
「あの、この子に似合う服のおすすめとかってありますか?」
「おすすめですね! 少々お待ちくださいぃっ!」
あからさまに緊張しているな。
わずか1分程度の時間で店員はおすすめの服などを持ってきてくれた。そこは、さすがプロと言ったところか。
「こちらなんてどうでしょうか?」
「ありがとうございます」
俺は店員から受け取り、ティナに渡した。
「すぐそこに試着室があるから、一度着てみたら?」
「はい、そうします」
俺は、ティナが着替え終わるまで試着室の近くで待つ。
内心、ドキドキしていた。ティナが着たらどんな風になるんだろうと考えずにはいられない。
そんなことを考えているうちに、ティナが着替え終わったようで俺を呼ぶ声が聞こえてくる。
「璃空、どうでしょうか?」
「…………」
ティナが試着したのは、水色のワンピースで夏にもピッタリなファッションだった。それに、ティナが着ることによって、より一層、このワンピースの良さが出ているような気がする。
綺麗な海を背景に写真を撮りたい衝動に襲われてしまいそうだ。
ティナに似合いすぎていて、俺は声が出なかった。
そのせいで、ティナは似合っていないと勘違いしてしまったようで悲しそうな表情になってしまった。
「似合ってないですか……?」
「あ、そんなことないよ! 似合ってるよ! 似合いすぎていて声が出なくなってしまってたんだよ」
「そうなんですか? それなら良かったです。それじゃ、これにしてもいいですか?」
「うん、もちろん」
その後も、俺たちは外出用の服だけでなく、部屋着なども選び、購入した。
店から出るころには、ちょうど昼ご飯を食べるのにちょうど良い時間帯に差し掛かっていた。
「次はどこに行くんですか?」
「昼ご飯を食べに行こうか。時間的にもちょうどいいからね」
「そうですね、私も少しお腹が空いてきた気がします」
「それじゃあ、行こうか」
「はいっ!」
ティナの服を買い終え、俺たちは昼ご飯を食べるためにフードコートへと向かった。
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