第103話 増産の課題
女性陣は更なる議論を進めるため?后様たちと別室へと向かった。一方、ロイとその家族は国王のもとに残り、ヴィーナスシリーズの増産についての詳細を話し合っていた。終始、ロイの弟はうつむき、心の中で不満をつぶやいていた。
『なんでこんなクズが!』
やがてブツブツと独り言を漏らしていた。
国王はロイとその家族を深く見つめ、深刻な口調で質問を始めた。
「ロイよ、そなたの父やアルディス領主との関係だがな・・・」
深刻そうに話し始めたので、姿勢を正しゴクリとつばを飲み込んだが、父が遮る。
「こいつのこれに引っ掛かるな。単に騎士学校での悪友だ」
「そうだ、そうだ」
アルディス領主が追従すると、王はシュンとなり1度ため息を付くも、改まった感じに咳払いをしてから頬を叩くと、今度は雰囲気が真剣そのものに変わった。
「ロイ君、ヴィーナスシリーズを増産するために、具体的にどのような手段が必要だと思うかね?」
ロイは一瞬緊張したが、国王の信頼を得るためには正直かつ明確に答える必要があると感じていた。彼は深呼吸をしてから、自信を持って答えた。
「陛下、増産を実現するためには、まず魔石を効率良く抜き取る能力を持つ者と、それにより倒したスライムを無限に収納できる特殊なギフトを持つ者が必要です。つまり魔石抜き取りと収納持ちの2名のペアです。これらの能力はヴィーナスシリーズの核となる部分であるスライムを確保するのに必要です。この能力者がいなければ、プロジェクトの成功は望めません。私と先程のソニアのペアだけではこれ以上の増産は厳しいのです。更に新たな能力者が見つかったとしても、パワーレベリングが必要です。レベルが上がればこの2つの能力は、まさにチート能力となります。特筆すべきはこの能力者はヴィーナスシリーズの材料を得る為以外に、魔物から町を守る切り札にもなり得ます。それとパワーレベリングとは・・・」
国王は興味深そうに聞き、頷く。
「なるほど、魔石を抜き取り、それを収納する能力か。しかし、それだけで町を守ることができるのか?」
ロイは追加で説明を加えた。
「実はそれだけではありません。これらの能力者はパワーレベリングする位しかレベルを上げられないと言っても過言ではありませんが、それをする協力者がいれば、彼らは文字通りのチート能力を手にすることができ、私たちの町を魔物から守る最強の切り札となり得ます。つまり、私がアステールでやったようになります。陛下、今の私の力は聞いているかも分かりませんが、数m離れた位置にいる魔物から魔石を抜き取ることが可能です。それにより壁の内側から外にいる魔物の魔石を抜き取り倒してアステールを救ったのです。ただし、レベルアップしないと、触れている魔物からしか魔石を抜き取れません」
国王は目を輝かせながら、ロイの言葉を聞いていた。
「興味深い。では、この特殊な能力者たちはどのようにして見つけ出して集めるのか?」
ロイは提案を続けた。
「私たちは各町の領主やギルドに協力を求め、高額の報酬を提示することで、これらの能力者を集めることが可能なはずです。特に魔石の抜き取りと収納能力を持つ者を優先的に探し出し、彼らに適切な訓練を行います。更にパワーレベリングをするのに護衛を充てがうなどのサポートを提供することで、ヴィーナスシリーズの増産と町の安全を守ることができます。まさに一石二鳥かと」
国王は深く考え込んだ後、ロイの提案に同意し、即座に行動を命じた。
「よし、その計画を実行に移そう。各町の領主に連絡を取り、高額の報酬を提示してこれらの特殊な能力者を丁重に集め、更に育てるように命じよう。ロイ君、この計画の成功は、君と君の家族にかかっている。もちろん私は全力で支援する。」
ロイとその家族は国王の支持を受け、心強く感じた。彼らはこの新たな使命を果たすために、全力を尽くすことを誓った。こうして、ヴィーナスシリーズの増産と町の安全を守るための大きな一歩が踏み出されたのであった。
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