人類が絶滅した世界を舞台に、一人生き残った主人公と放射線の影響で進化した動物たちとの心温まる交流を描いたファンタジー作品です。
主人公は前向きな姿勢で新しい世界に適応し、自由気ままな生活を送ります。飛魚のジョー、ウサギと鹿のハイブリッドのようなミュイ、山奥で出会った知的な熊など、個性豊かで魅力的なキャラクターたちとの出会いと冒険が物語を彩ります。
放射線により知能や身体的特徴が大きく変化した動物たちの設定は独創的で想像力をかき立てます。空を飛ぶ飛魚や、光る角で鹿を作り出すミュイなど、ユニークな能力を持つ動物たちが登場します。彼らは主人公に親切に接し、助け合う姿が心を温めます。
主人公のメモ魔ぶりや寝不足、ミュイとの軽妙な会話など、ユーモラスな要素も物語に彩りを添えています。終末世界にあっても明るく前向きに生きる主人公の姿は、勇気と希望を与えてくれます。
また、地殻変動や放射線など、世界の変化にも言及されており、人類絶滅後の地球の様子を想像させる描写もあります。しかし、物語の焦点はあくまで主人公と動物たちの絆や冒険にあり、重苦しさは感じられません。
全編を通して、ほっこりとした雰囲気と動物たちとの心温まるやり取りが印象的です。独特の世界観、個性的なキャラクター、軽快な文体が相まって、読後感の良い作品となっています。続きが気になる終わり方で、次の展開への期待が高まります。
ポストアポカリプスという設定でありながら、友情や絆、生きる希望をテーマに、温かな気持ちにさせてくれる、ハートフルなファンタジー作品だと言えるでしょう。