第2話 山岳熊

「あ、ミュイちゃん、あれ?」


「ミュー」


「ありがと、でも、ほんとに光ってるね」


 眼の前にあるのはうっすらと青白く光る大きな岩


「この光は放射線ルミネセンスかな?、気になるぅ〜」


 あっ、メモメモ、B地区の大穴の奥に青白く光る岩があるっと


「ミュー」


「あ、ごめんね、メモしてた、ここからどこに進むの?」


「ミューイ」


「待っといて?、もしかして、忘れたの?」


「ミュラリュー、ミュリュルルル」


「眩しっ、え!?、ミュイちゃん、すごいね、そんな事できるんだ」


 ミュイちゃんの角が光ったと思ったら目の前に青白い光る岩でできた大きな鹿が出来た


「ミュー、ミュン」


 ミュイちゃんは鹿に軽く飛び乗ると「早く来たら?」とでも言うかのように座っている、ただ、兎なので可愛い


「乗って大丈夫なの?」


「ミューイ、ミュン、ミュ〜イ」


「わかった、じゃあ、遠慮なく、失礼しまーす」


 おっ、意外と座り心地が良い、元になってる岩からでてる放射線が動いて場所の確認、移動などを自動でする機能っぽい


「ミュイッ」


「え?、これから加速する?、わかった」


「ミュリュッ」


 加速した、想像より早かったけど、普通の鹿が走ったらこれくらいなんだろうなってな感じ


「あれ、何か眠くなってきた」


「ミュイ?」


「あ、そういえば、僕、探索し始めてから寝てなかった、ミュイちゃん、着いたら起こして、ZZZzzzz」


「ミュ〜?、ミュイ、ミュリュ」


 ミュイちゃんはうるさいやつが寝たので更に加速する


「ミューイ」(これぐらいなら起きる時から寝る時までには着きそうだな)


 ・・・・・・・・・・・・・・・・・


「ミュイッ、ミューイ」


「あ、おはよう、着いた?」


 周りを見渡すと目の前にでかい何かが立っていることに気づいた


「グア」


「お、おはようございます」


「グルル」


「ミュイ」


「いやいや、こんな感じっで助けてくれるの?」


「ミューイ?」


「実は優しい?、ほんとに?」


 背中からなんか生えてるし、目のところに傷があって歴戦者って感じがするし、めっちゃ怖い


「すいません、僕たち、落ちてきて、上まで連れてってほしんですけど〜」


「グラァ?」


「は、はい、無傷です」


「グルル」


「ならよかった?、ほんとに優しいんだ」


「ミュンッ」


「グルァァ」


「はい、わかりました、穴まで連れていきますね」


 そうして歩き始めると


「グア、グラ」


「背中に乗れ?、良いんですか?」


「グル、グラ」


「ミュイ、ミューン」


「ミュイちゃんはもうちょっとためらったほうが良いと思うよ、僕も、失礼します」


 熊の背中には小さな苗木や草、花などが生えていて爪はほったりどこかに引っ掛けて登ったりする時に使えそう、恐らく主食は川の魚、ものすごく温厚、山岳熊(僕命名)は恐らく山の洞窟や崖などに生息すると思われる


「グラ?」


「ああ、大丈夫ですよ、思いっきり走ってください」


「グルル、ガァァァッ」


 ドスッ、ドスッ、と山岳熊が走るたびに地響きが鳴る


「あっ、そういえば、ミュイちゃん、あの鹿どうしたの?」


「ミュイ、ミュリュ」


「あ、本当だ、着いてきてる、また早くなった」


 そうそう、これもメモっと、恐らく放射線を受けて変化したであろう岩が変化し、いろいろな能力が使えるものに変化させることができる


「色々あってメモしきれないや」


 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・



「グルル、グラッ」


「あれっ?、もう着いたの?」


 すごいな、ほんとに早い、またここにこよう


「ジョーくん〜」


「クエッ、クエッ〜」


「おいで、山岳熊の背中に乗って」


「クエ、クエ〜?」


「ミュイ、ミュン、ミュリュリュリュリュ」


 鹿が動き出し、山岳熊背中に乗る


「よし、みんな乗ったね、それじゃあ、山岳熊さん、お願いします」


「ゴァァァァッ」


 山岳熊の爪が少し伸び、手足が少し強靭になる


 ザスッ、ザスッと音を立てながら登り始める


「クエ〜」


「ミューイ」


「ジョーくんだけなら行けるんじゃない?」


「クエッ、クア〜」


「えー、こっちのほうが楽って、たしかにそうだけど」


 ザスッ、ザスッ、ザスッザスザスザス


「ゴェァァァァ」


 これでどうだと言わんばかりにペースが上がる


「山岳熊さん、無理しないでね〜」


「ミュイ〜」


「クエ〜」









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