帰還した元勇者はVRMMOで無双する。〜目指すはVTuber義妹を推して推しまくる生活～

第52話

〈仲ええな……〉

〈羨ましいなまじで〉

〈ここまでしっかりしているキャラクターがいるのがやっぱ凄いなこのゲーム〉

〈ていうか、さっきからひょっとこ兄貴なんか戦ってね？〉

〈こいつら『アサシンブレイク』じゃねぇか！〉

　コメント欄でルルラたちがやりとりしている間に、『アサシンブレイク』のメンバーを発見したのでひとまず攻撃を仕掛けておいた。

「きょ、今日のお兄様は『アサシンブレイク』の人たちがまた暴れ出したってことで、止めに来てます！　配信の進行は基本的に私がしますね！」

〈おおまじか！〉

〈あいつらメンテ前にまた暴れ出したからな〉

〈ひょっとこ兄貴に助けられました！　ありがとうございます！〉

〈やっちまってくださいひょっとこ兄貴！〉

　そんな感じで応援されているので、俺はさくっと彼らを仕留める。

　……弱すぎた。

　対人経験の少なさはもちろん、装備が弱い。

「お兄様が、えっと……頑張って倒しました！」

〈おお、相変わらずひょっとこ兄貴強いな〉

〈ひょっとこ兄貴って何か格闘技とかしてたのか？〉

「お兄様！　質問来てます！」

「格闘技の経験はないが、異世界でちょっと勇者をやっててな……」

「お兄様！　またふざけないでください！」

　ルルラがむすーっと俺のいつもの冗談だと思っているようだ。

　いやいや、本気だぞ？　まあでも、本気と思われないような口調や態度で言ったけど。

〈ひょっとこ兄貴やっぱ生粋のオタクかw〉

〈でもまじで異世界でやっていけるくらいの強さじゃないかw〉

空城院なつみ〈ひょっとこ兄貴さん、この前はありがとうございました〉

空海マナ〈ウチも助けてくれてありがとっす！　お礼になるかわからないけど、宣伝しといたっすよ！〉

〈え？　なつみちゃん！？〉

〈本物か？　そういえば、前に助けてもらってたよな！〉

　……これは予想外だな。

　さっきから視聴者の伸びが跳ね上がっていると思ったら、有名VTuber二人が宣伝をしてくれていたのか。

「お兄様、この人たちってこの前助けた人たちですよね？」

「そうだな。わざわざ宣伝ありがとな」

　反応しないわけにもいかないので、それだけは返しておいた。

　嬉しくはあるが、この二人のうち、特に空城院のファンはガチ恋勢が多いからな。

　あんまり関わりすぎるとどこで火がつくかわからんからな。

　案の定、ちらほらと厄介そうなコメントが増え始めてるしな。

　分身に、過激なコメントは削除するように指示を出しておいた。

　そんなことを考えていると、木々が多い森の方から矢が飛んできた。

　俺が短剣で軽く弾くと、すぐに射手は逃げていった。

　……追いつける距離だが、俺を誘い出すための攻撃だなあれは。

〈なんだこれ！？〉

〈ひょっとこ兄貴なんで目線も向けずに捌けるんだよw〉

〈びっくりした！　これってさっきの奴らの仲間か！？〉

〈ひょっとこ兄貴、やっちまえ！〉

　そんなコメントが数多く並んでいる。

　気づけば、コメントの勢いもすごいな。

　空城院たちが宣伝してくれたからか、視聴者数は５０００人を突破している。

　さらに、有名な配信者で『リトル・ブレイブ・オンライン』をプレイ中の人が何名か俺の配信を呟いてくれているようだ。

　これなら、同接1万人もいくかもしれないな。

　舞たちは本人たちの知名度とゲームの力もあるからか、10万人とか言っていたが俺はまだ知名度はそこまでだからな。

　さすがに、いきなりそのレベルを求めるつもりはなかったが、できる限り伸ばしていきたいな。

「お兄様、どうするんですか？」

「ちょっと追ってみるかな」

　ルルラの問いかけに応じ、俺は走っていく。後ろをルルラが飛んで追いかけてくるのだが、その途中近くの茂みから三人が襲いかかってきた。

　……まあ、丸見えなのだが。

〈奇襲か！？〉

〈卑怯すぎんだろこいつら！〉

〈ひょっとこ兄貴を全力で潰そうとしてんな……〉

　ただ、同時の攻撃といっても、かわすのは用意だ。

　後退しながら短剣で一人を切りつけると、すぐに別の男が飛びかかってくる。短剣で切りつけながら、別のやつが振り抜いた剣をかわしすぐにその場で回るように二人を切り裂いた。

　残っていた一人が厳しいと判断したのか、逃げるように走り出したが、その背中に短剣を【投擲】し、転ばせる。あとは、いつものようにトドメをさして、終了だ。

〈三人相手でも余裕なのかよ……〉

〈相手の連携も結構良かったよな？　なのにひょっとこ兄貴まじで一切無駄なく仕留めたな……〉

〈……どうなってんだよマジで〉

　大丈夫、皆も異世界に行けばこのくらいできるようになるから。

　ていうかできるようにめっちゃ訓練したんだからな。

　こいつらもドロップアイテムは微妙だ。

　まだ、囮なんだろうな。

―――――――――――

ここまで読んでくださり、ありがとうございます！

楽しかった！　続きが気になる！　という方は☆☆☆やフォローをしていただけると嬉しいです！