第5章『新たな魔王、爆誕す』

●25 ストレイ・カンファレンス 1







                     が入室しました。






 #Ouranos 5 が入室しました。


 #Atena 1 が入室しました。


 #Demeter 2 が入室しました。


 #Poseidon 4 が入室しました。


 #Hephaistos3 が入室しました。






#Atena 1『いっやー、まずいっすよ、コレは。マジでやばいっす。ほんとやらかしてくれたっすわー』


#Ouranos 5『やらかしてくれたというか……うん、やらかしてくれたねぇコレ。いやいや、まいったなぁ』


#Poseidon 4『つうか、なんでや? なんでこんなバチクソにやらかしてもうたんや? 意味わからんのやけど』


#Demeter 2『あの、聞いてますかヘパイストスさん? あなたのことですよ? なにしてくれてるんですか? ヘパイストスさん?』


#Hephaistos3『ふっ……ふふふ……』


#Atena 1『いや笑ってる場合じゃないっすよ。マジやばっすわ。なに考えてるんすかねーヘパさん。いやガチで』


#Ouranos 5『まぁ、ひとまず弁解があるなら聞いておこうかな。ヘパ君にも言い分はあるだろうし』


#Hephaistos3『弁解、ですか。弁解……ふふ……既にわたくしの行動が悪であると決まり切ったような言い方ですね、ウラノス部長……くくく……』


#Poseidon 4『いや前から言うてるんやけどな、お前? その痛いキャラ付けはいらんから。そんなことよか、お前には説明責任ってものがあるんやで。あー、なんやっけ……〝ボルガン〟? お前が使つこうてた偽造アバターネーム』


#Demeter 2『あら? ヘパイストスさんのアバターネームって〝ヴァルカン〟だった気が……微妙に間違っていませんか?』


#Atena 1『そっすよ、デメテルさん。それを更に文字って〝ボルガン〟っつー偽造ネームを名乗ってたんすよ、このひと。わざわざアバター使って下界ダイブするだけでも大概なのに、さらには聖神システムエリアから出て人間界メインエリアに侵入した挙げ句、あちこちの人間に粉かけまくって人間界メインエリアを混乱させてくれちゃったんすよ、もー。ほんとコレまずいっしょ。え、っていうかクビじゃないっすかコレ? ねぇ、ノスぶちょー? クビっすよねー?』


#Ouranos 5『……うん、まぁ普通はそうなんだけどね。あー、アテナくん? きみは君でいい加減その喋り方をやめよっか? というか〝ノスぶちょー〟って、あのね……もういい大人なんだからさ。ほら、君もそう思うだろう、ポセイドン課長?』


#Poseidon 4『はははは、そんなん無理ですやんウラノス部長。アテナは主神しゃちょうの親戚でコネ入社ですしおすし。ちゅうか、ウチの部署に飛ばされてきた時点で大体お察しですわ。でっしゃろ?』


#Demeter 2『あらいやだ、ポセイドン課長。それを言うなら、うちの主神しゃちょうも大概じゃないですか? 神社かいしゃを起こした頃は、私達の管理しているのとは別の箱庭コクーンで見境なく下界ダイブしては、色んなスーパーアカウントを使い倒して好き勝手やっていたそうですよ? よくお酒の席でヘラふく主神しゃちょうが愚痴るので覚えてしまいました』


#Ouranos 5『こらこら、デメテル君。いくら君がプライベートではヘラふく主神しゃちょう神友しんゆうだからといって、仕事外のところで得た情報をそんなベラベラと喋っちゃいけないよ。口は災いの元。そこはゼウス主神しゃちょうを反面教師にしておこうよ』


#Demeter 2『はい、ご忠告痛み入ります。――だそうですよ、ヘパイストスさん? 口は災いの元……この意味、おわかりですよね?』


#Hephaistos3『……それは、脅迫でしょうか? デメテル女史』


#Atena 1『あーもー鬱陶うっとうしいっすねー、まどろっこしいっすねー。やいやい! ネタはあがってんだ! さっさと白状したらどうなんでぇ! っす!』


#Poseidon 4『せやせや! お前が俺らの見てへんところで勝手しくさって、人間界メインエリアをめちゃくちゃな混乱に突き落としたんはわかっとんねん! こうやってもうけて話を聞いてやろぉ言うとんのや! チャキチャキ話さんかい!』


#Ouranos 5『まぁまぁ、アテナ君もポセイドン課長も落ち着いて。そんな喧嘩けんかごしでいたらヘパ君も口が重くなってしまうだろう? ひとまずは話を聞いてみようじゃないか。まぁ、なんにせよ処分はまぬがれないとは思うけどね』


#Hephaistos3『ふふふ……冷静沈着にして公正な判断、感謝いたしますよ、ウラノス部長。ええ、いいですとも。このヘパイストス、逃げも隠れもいたしません! お聞かせしようではありませんか、我が崇高な使命について!』


#Demeter 2『はい、ではきっちり説明してくださいね。おかげで現在、人間界メインエリア魔界シンギュラリティエリアは大変なことになっているんですから』


#Hephaistos3『ははははっ! そこですよ! ええ、そこですとも! 全ての元凶はユニット〝勇者〟とそれにまつわる〝魔道士〟と〝姫巫女〟と〝闘戦士〟なのですよ! あの四人こそがそもそもの始まり! 災いの元なのです!』


#Atena 1『うっわー、追い詰められているせいか無駄にテンションたっけーすね……うっぜぇー』


#Demeter 2『ダメですよ、アテナさん。気持ちはわかりますけど、せっかく白状し始めたんですから。こういうのは黙って我慢しましょう。大丈夫です、あとでいくらでもさ晴らしできますから』


#Poseidon 4『――前から思とったんやけど、デメテル君はいつも口調は丁寧やのに、言うてることがほんま怖いねんな……なんなん? インテリヤクザなん?』


#Demeter 2『あらいやだ、インテリなんてそんな……褒めすぎですわ、ポセイドン課長。抱きしめてチューしますよ?』


#Poseidon 4『ほんますいませんでした。勘弁してください何でもしますから』


#Hephaistos3『ちょっと!? 皆さん私の話を聞く気はおありなんですかねぇ!? 話せと言われたから話そうとしているのですけど!? あと皆さん忘れているかもしれませんが私は係長なんですが!? さっきから部長や課長はともかく、アテナ女史とデメテル女史は私が降格こうかくする前提で役職名を省いてお話されてませんかねぇ!? これって私の気のせいでしょうか!?』


#Atena 1『いや降格とかじゃなくてクビになると思ってるっすよ?』


#Demeter 2『正しくは、懲戒ちょうかい免職めんしょくですよ、アテナさん』


#Ouranos 5『はいはい、そのへんはいったん置いとくとして。それでヘパ君、魔王を倒す〝英雄ユニット〟の四人が【元凶で災いの元】というのは、一体どういう意味なのかな?』


#Hephaistos3『よくぞ聞いてくださいましたウラノス部長! 他の皆様もよくお聞きください。これはとても重要なお話なのです』


#Demeter 2『毎度のことですが、本当もったいぶりますね、ヘパイストスさんは。さっさと本題に入らないと抱きしめてチューしますよ?』


#Hephaistos3『ヒィッ!? デメテルさんそれだけはご勘弁を!? ……で、ではお聞きください、そ、そもそもの話です。あの〝英雄ユニット〟は箱庭コクーンない時間じかんにおける十年前から、意図いとした仕様しようから大いに逸脱いつだつした行動を起こしています。そのあたりはもちろん、皆さんもご存知のはずですよね?』


#Atena 1『あー……? ま、そっすね。そう言われてみたらそうだっけ? って感じっすけど』


#Hephaistos3『そう! 従来じゅうらいの〝英雄ユニット〟は〝魔王ユニット〟のカウンターとして存在し、そのちからは決して設定されたスペックを超えることは有り得ません! つまり、本来ならアルサルを含めた〝英雄〟の四名は〝魔王〟との戦いで死なねばならなかったのです! 何故なら――【決して勝てないよう設計してある】のですから!』


#Poseidon 4『せやなぁ、あれは確かにビックリつーか、意外過ぎる展開やったわ。どう足掻あがいても勝てんように設定しといた〝魔王〟に勝った上、全員生き残ってしもうたんやからな。ほんますごいで、今代こんだいの〝英雄ユニット〟は。よその箱庭コクーン群体クラスタを見渡しても、かつてない快挙やわ』


#Ouranos 5『うんうん、あれのおかげでウチの神社かいしゃの配信人気がうなぎ登りになったからね。歴史的れきしてき偉業いぎょうだよ。まさに〝勇者〟と呼ぶべき功勲こうくんだねぇ』


#Demeter 2『はい、前代未聞でしたからね。これまでの〝英雄ユニット〟による〝魔王ユニット〟の封印――いわゆる〝勇者システム〟の根幹を揺るがす大事件でしたもの。神である私達が言うのもなんですが、奇跡きせきとしか言いようがありません』


#Hephaistos3『皆さん何を暢気のんきれておられるのですか!? 我々が作り育ててきた箱庭コクーンシステムに明らかな異常が発生しているのですよ!? 偉業いぎょう!? 功勲こうくん!? 奇跡!? バカを言わないでいただきたいですね! あれは【バグ】です! 今すぐ迅速じんそくでも修正しなければならない欠陥けっかんなんですよ!!』


#Atena 1『うわヤッバ。なんか熱くなってますよこの人。もー、箱庭コクーンの運営が思い通りにいかないのなんて当たり前じゃないっすかー。なに今更キーキー言ってんすかね?』


#Poseidon 4『せやで。そもそもの話をすんなら、まず〝魔王ユニット〟の設定からしておかしかったんやし?』


#Ouranos 5『そうだねぇ。〝魔王〟を強く設定しすぎた結果、人間界メインエリアの人間が滅ぼされそうになったことが何度もあったしねぇ』


#Demeter 2『はい。その都度、聖神界システムエリアからチート級の兵器を贈与して、どうにか魔界シンギュラリティエリアの拡大を防いできたものです』


#Hephaistos3『そう! ええ、その通りです! その結果、我が社の箱庭コクーンは何度も衰退し、そのたび再興さいこうを繰り返してきました。そのかず、実に十二回!』


#Atena 1『まー、今のバージョンが〝13.4〟なんすから、そのへんは言われなくてもわかってますけどねー』


#Hephaistos3『そうですアテナ女史。我々の箱庭コクーンは〝Ver13〟から大きく変わりました。先程デメテル女史が仰っていた、いわゆる〝勇者システム〟――即ち〝英雄ユニット〟の導入です!』


#Demeter 2『他の箱庭コクーンから条件に適合てきごうする人間の情報をランダムで読み取って、そのデータを基に〝英雄ユニット〟を作成し、いわゆる〝異世界召喚〟というていで参入させる――正直に言うと他社がやったことの真似パクリなんですけど、それまでの箱庭運営と比較して、かなり画期的なシステムでしたよね』






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