第5話


「相変わらず、辺里ちゃんは元気だね。」



 あの、ちょっと食い気味に、辺里が言った事を、受け流すように俺は、何も無かったかのようにそういう


 周りの皆はいつもの事のように、『まぁ辺里ちゃんなら仕方ない』なんて言うセリフを満場一致いつもの事で、2ーBの生徒は思う。


 そして相も変わらず、紫や舞は動じる気配はない。


 俺や舞に紫はこの高校で仲良くなったが、それ以前の付き合いの、今後ろから辺里をチョップしようとしてる。牧菜は少し呆れた声で、辺里ちゃんに告げる。



「もう!辺里!!素直に言えばいいってもんじゃないっていつもいってるでしょ!?これだから猪娘は!!」

「い、痛い!いたいよ牧菜ちゃん!」

「もう!次考えずに言ったらお菓子とか差し入れしてあげないからね!!」

「えぇ!?それは困るよぉ〜」

「ならちゃんとしなさい!!」



 そんなやり取りをしていたら、もう1人の男友達でもはや主人公だろうと思っている一条蓮いちじょうれんが微笑ましそうに、にこにこしながら歩いてくる。



「大変だね。一葉色々と」

「ああ、分かってくれるか。まぁ今割とこの姿になって楽しんではいるけどな。それより、蓮は驚かないんだな?あれか?イケメンはそんなことでは驚かない的な?」

「そんなことは無いよ?割と一葉が美少女すぎてどう接していいか、手探りでもあるし、だけど――」



 そう言ってニコッと笑う蓮は、愉しげに囁くように俺の耳元で呟く



「割と、一葉のその姿好みなんだよね。」

「――っ!?」



 そう言われて俺は、何故か前とは違う感情を抱いてしまっていることに気がつく。


 男に向けられても、と思う筈のそれは照れや恥ずかしいといった感情が、さっきの言葉で感じた。


 それは詰まる所、俺も女としての自覚があるという証拠。まぁ蓮もかなりのイケメンだからな。でもこんな感情を抱くようになるなんてやっぱり俺は女の子になったんだなぁ〜



「そ、それよりも!聞き忘れてたけど、俺の挨拶どうだった?女子に見えたか?」



 そう言って俺はここにいたメンバー3人に問いかける。そういったら最初に叫んだ奴が答えた。



「いやぁ〜まさかあの時姿も声もまるで違うけど、一葉だと思ったぞ。まぁ今のお前の方が俺はグッと―――グハッ!」

「一葉こんなのほっといてお昼にしよ?ね?」

「う、うんそうだね舞」



 俺は何が起きたのか分からないまま、呆然と立ち尽くしていた。啓吾すまんだけど自業自得だからな?


 それからは、いつものメンバーが俺の窓際にある机の周りを囲うように反対側の机を借りてくっつける。


 久々だなこれまぁ俺が変化しすぎてそれどころでは無いのだろうがな。それは前よりも、俺たちに視線を送るものが増えたせいだろう思うが、気にしててもしょうがないから、触れずに皆と食事をする。



 色々と話したが、最初の経緯から話して色んなことがあったんだと、重要な所だけを話す。皆は



『大変だったね。』や『どんな感覚なんだ?』『背は少し低くなったね?』『今度一緒にバスケしようね!』『まずは、女の子として慣れるようにやって行こうね。』や『僕も協力は惜しまないからね?』



 そう言われながら、みんなの言葉を聞いてやっぱ持つべきものはこのメンバーだなと思う



「皆ありがとね。今の所は大丈夫だけど、勝手が分からなくなったら頼りにしてるから、よろしく。」



 俺は、TS病が治る事を祈りながらも、この状況をめいいっぱい楽しもうと思いながら、今日の学校を楽しむのだった。




〈あとがき〉


フォローと〖★★★〗を貰えたら励みになります。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る