第22話 ソマとリンネ2
「アマンのメイドなら、これはやったことあるだろう?」カリアンを手に持って現れたリンネは少し含みのある笑みを浮かべた。
「はい。中利様とは、よくやってます」
「じゃあ。俺と勝負しないか?俺が勝ったら、君は今日で辞めてもらう。もちろんこっちからいいだしたことだから、一月分の給料は全額払わせてもらう。どうだ?このまま続けていたって君も手持無沙汰で困るだろう。さあ、ここに掛けて」最初にリンネが座っていたソファーを指す。
「……」カリアン勝負って⁈ 今日で終わり⁈
「もちろん、AIの俺とだとハンディキャップが必要だろう。俺も人間モードにあわせてやるよ。三回勝負で、二回先に勝った方が勝ちだ」ソマの返事を聞くまでもなく、せわしく話をすすめる。
「わ、私がもし勝ったら⁈」
「おまえの望みを叶える。まあ。聞くだけ聞いておこうか⁈」くくっ、生意気な。私に勝てるきでいるのか。
「私が勝ったら‥‥その時に願い事は言います」
◆◇◇◇◆◇◇◇
『カリアン勝負』
(ふふ、俺の勝ちだな。ただ単純に白か黒か自分の石を多くとればいいだけの単純ゲームだが。人間モードにしてやってもこんなものか。始めてから5分もたってないぞ)
「何なら、後半はやめてもいいんだぞ」自信満々の顔が、一層整った顔を際立たせる。この回は、リンネの圧勝だった。
そして、2回戦にはいった。
最初は、交互にスムーズに石がおかれる。
次第に少しずつ、考える時間が増えていく。
(なんだ、この展開は)徐々に相手方の白い駒が増えていく。
「置くところがないようですね。私の番です」ソマは、淡々と石を裏返していった。
(えっ、こんなはずでは‥。こいつアマンよりも、格段と強い!!)第2ラウンドは、リンネが負けた。
「さっきと、全然違うじゃないか」リンネは、焦っていた。
「あと、一回勝ったら」ソマは、カリアンに全集中をした。
(くそぉ。このままでは、負ける)負けず嫌いのリンネは、こっそり人間モードを解除した。
「えっ、これで勝てない⁈」ソマは、どんどん強くなる相手に不信感を持った。
「本気モードにしたんだよ。あくまでも、人間モードのだけどな」
(しっかし人間のくせに、AI中級モードまでいってる。どこまで、こいつ強いんだ⁈)
「最後の一手だ。これで、俺の勝ちだな」リンネは、意地悪くゆっくり相手の駒を自分の色にひっくり返す。明らかに白い駒が盤を占めて行った。
「ま、負けました」なんだか釈然としないでもないが、ソマは受け入れた。
「ああ。でもまあ、人間のくせに思ったより強かったな。奮闘したご褒美に、おまえの願いごと聞いてやってもいいぞ。言って見ろ」卑怯な手を使った手前、お返しのつもりでもある。
「願い事、言ってもいいの?」
「ああ」
「一つ目は……お姫様だっこをしてほしいの」ソマは、恥ずかしそうに言う。
「はあ?それはなんだよ。それに、いったいいくつあるんだ」図々しい人間だなとリンネは思った。
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