第13話 アンナが心配

 10分ほど待っただろうか。『夢』の前に、上空から静かにデジャン(警備ロボット)が三体ほど着陸した。それ自体が変形して陸空と自在に移行可能な物体である。


「私共、指令によりあなたがたをお連れに来ました」

『夢』に入るなり、一体のロボットが答える。


「も、もしかしてうわさに聞く警備ロボットかい?! 困るよ、別に。何か問題を起こしたわけでもないんだから」幾分取り乱しながらも責任者モジノは答える。


「と、とにかく。折角来てくれたんだから。アンナの所へ急ごう」一人、落ち着いたように錬はソマを出口へと促す。


デジャン三体は二人を包み込むように変形し、徐々に飛行していった。地面から少しずつ離れていく様子に、二人は初めての体験に驚きや嬉しさを隠せなかった。それでも頭の中を大多数占めているのは、アンナのことだった。


派遣先に向かっている途中、デジャンから手渡されたテマで中利様と連絡をとり合った。


「ソマかい。いきなりデジャンが来てびっくりしただろう? 実はここ何年も障害ロボットだけが、行方不明になるという事件があってね。そのこともあって、近年ロボット達への人権を法で与えることを施策案としたのさ。あんた達のロボットの派遣先が、このことと関係しているのかはわからないが犯人達は用意周到でね。痕跡を一切残さないらしい。だから、全は急げってことだよ」そう言って、テマは切れた。


「もしかしたら、アンナが戻らない?!」ソマは、悪い予感がした。


「姉ちゃん大丈夫だって。まだ何とも言えないっていっていたじゃないか。しかし、中利様って人。いったい何者なんだよ?!」


「私だってわからないわ。でも、錬の言う通り中利様に相談してよかった。私たちじゃ、いつたどり着くことができたか‥」

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