第3話 今の生活は‥
ソマは仕事が終わっていつもの道を、もう我が家が視界に入る所まで来ていた。3m位の幅の道は真っすぐに伸びている(とはいえ砂利などで、でこぼこしている自然そのままの道を、シャベル等で叩いてならしてあるだけのもの)道の両脇には同じような白い平屋が連なった建物があり、茶色い扉が隣の住居との境を区別しているようであるがこれもかえって皆が同じ色の扉なので区別がつきにくい。そんな家屋が何十戸も道の両脇に連なり、そして突き当りの階段を10段ほど上ると両脇にさらに家屋が続き、それは段々畑のように3階まで続いている。そして3段目の建物の裏には、広大な畑が広がっている。そしてその土地の1区切りが2畳程度で、家賃とは別料金でここの住民であれば誰でも低料金で借りることが出来る。
自給自足まではいかないとしても、ちょっとした副菜の何品かは賄えられるであろうという考えのもとに作られた。これでも、政府が建てた6年前の仮の掘っ立て小屋に比べると格段に贅沢な造りである。多額とは言い難いが今までとは違い、我々下級エリア民に政府予算を割り当ててくれたのだから。時期を同じくして、ロボットの不法投棄防止条例を今まで以上に厳しくして、むやみやたらに不法投棄ができなくなったこと。その防止策として金持ちがいらなくなった屑ロボットでも、まだまだ使えるものは下級エリア民にまわせるリサイクル回収品の店を何店舗か出してくれた。それと同時期に手持ちのロボットや電気機器や家庭で壊れたもの等も、格安に直してくれる店も何店か出来た。(とはいえ、まだまだ働ける場所や手持ちの電化製品も少ないということと収入源が乏しくて、店を上手く活用できていないのが現実だ)
そして、そこに目をつけた改革策として雇用の斡旋。
我が家でも、
力自慢のケラスは、この地区の建物建設時や道路の補正等の人員募集で働いてくれ、
アンナ、ベベリッヅィ、アラクレカラーも、作業員の世話係やそのつどの臨時雇用募集等で働いてくれている。
マネも可愛らしい8歳ぐらいの容姿とは裏腹に、教授並みのAI知能があらゆる面で活躍した。建物の設計補助や今までになかった学校設立の際の教師の指導等。時には
自らも先生になり、未来の子供達を育てている。
我が家ではこうして3体の忙しいロボットに支えられて、ソマは当時0才だった錬の未熟な母親業を専業して最近まで育てることができた。
とはいえ、家計的にはまだカツカツの状態であった。ロボット達は充電池というものと別途燃料がいるのであるが、リサイクル品で賄えるとはいえかなり家計を圧迫しているのが現実である。充電池も安いものは結局、新品のものより3分の1ももたなかったりするのだ。燃料も半端なものを足して作られているのでかなり粗悪なものであり、申し訳なく思いながらもそれで補ってもらっている。そう。私たちは精一杯の生活で支え合っているのだ。
そしてこの集合住宅では、各々の畑で収穫して、余った作物は他所の作物と物々交換をしたりと住民達の間では村のような連帯感が生まれてきていた。。
暴動が起きる前は自分たち各々で掘っ立て小屋等を作ったりして個々の領域を守ってきたが、今は大きなもめごとや住民の相談事等も政府が定めた数人の管理人に収めてもらうことができるようになった。これは、住民の大きな心の支えにもなっていた。
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