異世界転生、修羅場あり

和泉鷹央

異世界転生、修羅場あり

「私、お父さんとお母さんにどんな顔して報告したらいいかわからない! ……どうしてこんな酷いことするの、オルク」


「違うんだ、ビアンカ。これは――その」


「その、何? なんなのよ、言い訳するつもりなの? ここは私の家なの! 他の女なんか入れて欲しくないの! そのベッドだって一昨日まで二人で寝ていたやつじゃない! ……家に彼女を連れ込んだのは、これで何度目なの……初めてとか言わないよね?」


「いや、すまない。……初めてだ」


「嘘ッ! もう何度もしてるような感じなのに――」




 ビアンカは言葉を選んだ。


 激怒したいはずなのに、彼のことを愛している感情と怒りは別に感じる。


 最初という言葉が本当なら、二度としないと誓うなら――?


 複雑な思いが頭をよぎる。




 大好きな男を、自分だけの恋人を他人に奪われたくない。与えたくない、失いたくない、捨てられたくない。


 悲しみにも似た感情が、胸のなかを渦巻いていく。


 鉛のように重くて、灼熱の炎のように熱いなにか。


 抑えようとしても抑えきれない。


 好きと嫌悪が入り混じって、喉元からこみあげてくる。


 吐きそうだった。


 


 


****




「さっ、採用ですか! ありがとうございます――ッ!」


「いやった! 俺も受かってる」


「私も、私も!」


「見ろよ、僕の番号もある!」




 レグルス王国の首都ロメルディアの市冒険ギルドの中庭に喜びに満ちた声が溢れ返った。


 本日は毎年一回行われるギルド職員採用試験の結果発表が行われる日だ。


 朝早くから掲示板の前で合格者発表を心待ちにしていた受験生たちの反応はさまざまだ。


 合格に歓喜の声を上げる者もいれば、不合格を目の当たりにしてこの世の終わりのような顔をしている受験生もいる。




 100人近い受験者のうち、合格したのはわずか5名。


 とてつもなく狭い門を実力で潜り抜けた彼らの中に、ビアンカとエミリアの姿があった。


 二人は勢いよく抱き合って喜びを分かち合っていた。




「ビアンカっ! 良かったねえ! あたしたち、一緒にギルド職員になれたよ!」


「ありがとう、そうだね、エミリア。私も嬉しいよ!」 




 王立学院の中等部から5年に続く友情をはぐくんできた友人、エミリアは兎の耳を持つ獣人。銀髪に赤い瞳を持つ兎人族で、すらっとした長身は大人びていて同世代の男子たちから人気が高い。


 対してビアンカはうねるような真紅の髪と透けるようなブルーアイが特徴の、平均的な顔立ちをした人間族。背もあまり高くなく、これといって体型に特色があるわけでもない。


 でも、ビアンカは同年代の女子の誰よりも大人びていて、どこか世捨て人のような気配すら纏わせていた。


 本当なら18歳の彼女が時折見せる色っぽい艶やかな仕草は、20代後半から30代のような雰囲気と落ち着きを感じさせる。


 ロメルディアには美麗な舞台女優もいれば、壮麗な貴族令嬢たちもたくさんいる。


 しかし、市民の多くが通う王立学院では、エミリアとビアンカといえば双璧をなす学院の華として知られていた。




「長かったね……高等部を卒業してから専門学校で2年。もうあたしたち、18歳だよ。でもこれで、身売りしなくて済むよ」


「エミリア。そんな悲しい顔をしないで」


「うん。兄妹たちもこれで助かるから。あたし、頑張るよ」




 エミリアが頬を伝わる涙を拭う。


 この街で獣人の地位は低い。


 王国の法律で国内にいる貴族の8割は首都ロメリアに住んでいる。


 60万の人口のうち、2万の貴族のために兎人族を主とした多くの獣人族が奴隷として、国内外から連れて来られた歴史上がある。




 今では奴隷制度は廃止されたものの、貧乏な世帯の娘は義務教育である学院を卒業すると支度金という名目と交換で、使用人として生涯をどこかの貴族や商家で過ごすことが多い。




「私にはそんな理由がないから――」




 エミリアの涙を見て、ビアンカはすっと視線をそらした。


 ビアンカの実家は小物を扱う問屋だが、あまり裕福ではない。


 どこかの貴族の子弟。三男や五男といった行き場のない男性を婿に迎えて、家を継ぐか、より裕福な商家に側女として嫁ぐのが習わしだ。




 エミリアは自分と幼い兄弟姉妹を奉公に出さなくて済むように。


 ビアンカは両親が決めた婚約から逃げるために、それぞれ2年の研修期間を経てギルド職員の本採用試験に合格したのだった。




「あたしたち、どこに配属になるんだろう?」


「エミリアは綺麗だからきっと受付だよ」




 ギルドに働く女性職員の憧れ、それが受付嬢。俗称、ギルド嬢だ。


 魔獣や魔法災害、古代遺跡の攻略など命がけの仕事に従事する冒険者たちは、気質も荒く、言動も粗野な者たちが多い。




 荒くれ者たちをうまくいなし、時には対抗して依頼を行い、任務を達成できるようにサポートする受付嬢たちは新聞や魔導テレビなどの取材を受けることも多く、メディアに露出することが少なくない。


 王都ロメルディアでも一躍人気のある存在になれるのが、受付嬢になるメリットだ。


 毎朝のニュース番組に登壇して日々のダンジョン攻略速報を伝えるメリッサ・ユーゲン女史などは年間に数万枚の金貨を獲得することで知られている。


 流行の最先端。ファッションモデルとして認知されることも夢ではない。




「メリッサさんのようなギルド嬢になれたら、いいなーなんて。考えてる」




 庁舎の一番上の尖塔に掲げられた広告には、美しく着飾ったメリッサが黒髪を結い上げ真っ白なドレスで映っている。その下には『ギルド職員求む! 君も安定した冒険者ギルドで豊かにならないか?』と宣伝文があり、それだけは余計だなとビアンカは思ってしまう。




 そんなに裕福だといえるよう職員は全体の数パーセント。多くの職員は年収金貨200~300枚の生活を送っているのは、統計からも明らかだ。


 でも、金貨200枚の年収は王都のみならず、王国全体の収入枠としてみれば上位に値する。


 エミリアが願うように呟いた兄妹を救ってやれるという言葉は、決して大袈裟ではかった。




「叶う……と、いいね」


「うん。でも、そんな可能性ほとんどないけどね」


「あ――うん……」




 ギルドは実力社会。その裏では古くからの因習に縛られている。


 奴隷だった獣人族は、輝かしいギルド嬢になり脚光を浴びることは許されない。


 庶務課に採用されたエミリアが行きつく先は、世の中にそれほど詳しくないビアンカにも想像がつく。


 まだ未開拓、もしくは開拓がはじまって間もない地下迷宮の入り口、案内所に居住して迷宮に降りる冒険者のサポートをする仕事だ。




 王都から遠く離れるだろうし、迷宮から這い出してきたモンスターの餌食になることも少なくない。


 とてつもなく危険度の高い仕事だ。


 今日、ここで別れたらもう二度と会えないかもしれないと思うと、ビアンカの胸は急に切なくなった。




「また会えるよ。そう決まったわけじゃないし、ね?」


「うん。そう、だね」




 エミリアはビアンカの胸の内を察したのか、優しい言葉をかけてくれる。


 ビアンカは申し訳なさと寂しさ、親友の心遣いを感じて力なく微笑み返した。




「ところで、質問なんだけど」


「‥‥‥へ?」




 それまで見せていた涙はどこにいったのか、ころっと重かった表情を明るくして、エミリアは二本の兎耳の片方を器用に曲げて見せる。


 彼女が深く思案している時に見せる、癖だった。




「つい、先月まで落第決定とかいわれていたビアンカが、どうやって首席合格を果たしたのか知りたいんだけど。まあ、あれだよね。魔法、体術の実技に関しては平均的だったから心配はしてなかったんだけど」


「へ? あ、あれ? 涙はどこに? いや、それは――その」


「どうして語学や歴史、数学、一般教養の部分でこんなにすごい点数を叩きだせたのかしら? それを深く、ふかーく知りたいわ。エミリアはとても興味を持っています……ね、どうなの?」


「いやあ、どうやったかなあ――? 私、一生懸命になりすぎたかも? ここ1ヶ月のことほどんと覚えていないんだよねえー……えへへ」


「ふうん‥‥‥怪しい」




 ビアンカとっさにつくり笑いを浮かべて、その場を取り繕う。


 しかし、エミリアの疑い深い眼差しは揺らぐことがない。




「なにもしてないよ! 本当! ただ……」


「ただ? なあに?」


「頑張っただけだよ。エミリアと一緒にいたいから」




 真実は違う。目を泳がせながら、胸の奥が疼く。


 本当のことを話したい。でも話せば、もう友人でいられなくなる。


 ここはそういう世界。




 もと居たあの懐かしい故郷に戻る術はいまのところ、皆無だ。


 今は居場所を守り続けることしかできない。そのためには、何を犠牲にしてでも、努力し続けるしかない。




「そう――。なんか怪しけれど、でも、頑張っていたのは知ってる」


「ありがとう、エミリア」


「なにか迷っていたらちゃんと話してね? あたしたち、友達なんだから」


「うん、もちろんだよ!」




 また、心がずいんと痛んだ。


 本当のことを話したら、この孤独からも解放されるのだろうか? そんなことを思っていたら「これから合格者に向けた説明会を行います。合格した5名は中に入ってください!」と制服に身を包んだギルド嬢の一人が、中庭にいる人々に語り掛けた。




「説明会だって! 行こうよ、エミリア」


「ええ、それにしても、5人しか受からない試験って本当に狭き門」




 入るまではまだまだ天国で、入ってからが本当の地獄かもしれない。


 エミリアの手を握り先に立ちながら、ビアンカは親友の未来をそっと案じるのだった。








「えーと、ビアンカさんは経理部ですね。数学の成績がトップクラスだったので、計算や帳簿付けが主な仕事になります」


「やった」、とビアンカは小さく拳を固めた。 


「エミリアさんは、第82ダンジョン『幻惑のドラスト』で入国管理業務に就業していただくことになりますね。ダンジョンに住む現地民と王国との交易や移民の流入、入出国を管理する業務となります」




「はい」、とエミリアが小さく元気のない返事を返す。


 やっぱりそうなるんだ、と諦めの入った親友は現実を目の当たりにして、肩を落としていた。




「エミリア」


「大丈夫。なんとかなるよ、たぶん」




 言葉では強がっても、彼女の兎耳は両方とも垂れ下がったままだ。


 どうすればエミリアを元気づけてあげられるのか、ビアンカには机の下で彼女の手を握りしめることしかできない。




 続いて、書類が渡された。


 ギルドで働くための契約書類だ。


 さまざまな条項に同意を求められる。その中には、業務で命を落としても、なんらかの補償はないと書かれていた。




「ギルドでは職員向けに生命保険を別途、用意しています。ですが、こちらは外部組織へ委託した商品となるので、個々に毎月の支払いが必要です。加入したい方は――」


「はい!」


「あ、俺も――」




 エミリアが一番手だった。続いて、ダンジョン警邏課に配備された青年が手を挙げる。




「あなたは内勤だし、必要ないのでは?」


 ビアンカがそれに続こうとして、職員から不思議な顔をされてしまう。


「あ、その――家族がいるので。なにかあれば受取人に……したい、かと」


「そういうことであれば、後から案内しますね」




 それからギルドの組織案内を受けた。食堂、更衣室、医務室、出退勤のやり方、こまごまとしたことの説明を受ける。


 新人はみんなメモと取るのに必死だ。


 エミリアは自分と同じようにメモを取っているはずのビアンカの手帳が適当に書かれているのを見て、あれ? と小首を傾げる。




「メモを取ったほうがいいよ?」


「あ、うん。大丈夫。覚えてるから」


「覚えてるって――っ?!」


「記憶力が良くなったの」


「どういうこと?」




 ひそひそと会話していると、職員から「こら、そこ。疑問があるなら質問を!」とおしかりを受けてしまう。


 二人は肩をすくめて、移動を始めた職員の後についていく。


 記憶力が良くなったの、あの夜から。その言葉を胸に隠して、ビアンカは先に立ったエミリアの後に続いた。








*****








「乙羽先輩ー早くしないとみんな飲み会に行っちゃいますよ!」


「ごめん、小梅ちゃん。今夜はパス。もう夜遅いし、明日は会議あるから。帰宅して家で資料作らないと」


「もう……そんなことしてたらいつまで経っても、彼氏できませんよ? せっかくの合コンなのに――」


「ごめんね。みんなで楽しんできて?」


「はーい。先輩も無理しないで下さいね」




 古い記憶。いや、新しい記憶かもしれない。


 1ヶ月前まで、自分には乙羽という名前があった。


 それは間違いのない事実だ。




 冒険者ギルドの経理部で働くビアンカには前世がある。


 現代日本でアラサー女子として会社の経理部で、吉沢乙羽として働いていた記憶だ。




 あの夜。


 同じ会社の後輩、小梅が去っていき乙羽は死んだ。享年は26歳。若すぎる死だった。


 残業続きでふらふらになった状態で電動振動キックボードに乗っていたら、うっかり転倒してしまい地面に頭を打ち付けて意識を失った。




 記憶を取り戻したのは、ギルドの入社試験の一月前の夜。


 実家の二階にある自室にこもり試験問題の暗記に取り掛かっていたビアンカは、階下に飲み物を取りに行こうとして眠気から階段を踏み外し、転落して頭を強打したのだ。




「あ、いったーい……なに? どこ? あれ――こんな場所、知らない……」




 廊下の天井はぼんやりとオレンジ色に発光しているが、乙羽の知っている人工の光とはなにか違う。


 手を見た。いつもの自分の手ではない。でも、間違いなく自分自身のものだ。


 強く打ったはずの頭にそっと手をやる。


 指先が傷痕に触れると、ずきりと激しい痛みが走った。




『能力を贈ろう――君は、間違ってこちらに招かれてしまった』




 脳裏に言葉が蘇る。


 神々しい、この世のものとは思えない、美しい声。




 慈愛に満ちた声が脳裏にひびくだけで、ビアンカの心はなぜか落ち着きを取り戻していく。




『すまなかった。これは誤りだ。僕の差配間違い。君に責任はない。能力を贈ろう。大したことはないものだが、取扱いには危険が伴う』


「それって――」


『これは全てを知る瞳。その内に収めたモノのあらゆる側面を知る。大事にするように。君にできる範囲でのみ使うと良い。決して己以外に使ってはならないよ』


「万百の叡瞳……」




 頭の中で、声が終わる。会話が切り上げられ、廊下の窓ガラスに映った自身を見て、乙羽はひっ、と小さく悲鳴を上げた。


 ガラスのなかの自分と目が合った瞬間、それまでのビアンカとしての記憶が再現され、己のなかで乙羽の人格とビアンカの人格が融合したからだ。




 見知らぬ誰かと五感を共有し、そのすべてが自分のものへと変換されていく。


 やがて乙羽はビアンカとなり、ビアンカは乙羽の中に溶けて消えてしまった。




「私――。私はビアンカ・スティーブンス。スティーブンス商会の……長女」




 18歳、冒険者ギルドに入ることを夢見て努力してきた。


 それまでのビアンカは、商家の跡取り娘として両親による見合い相手との結婚から逃げるために、ギルドに入り家を出ようと必死なのだった。




「あーそういうこと、ね。でもこれはないなー。本当にない。なんでこんな綺麗な――ハリウッド女優みたい」




 ビアンカになった乙羽は、自分の頬をぺたぺたと手の平で触り、なぞり、黒髪黒目、平坦な顔だった前世とはまるっきり違う整った彫りの深い顔立ちにびっくりする。


 でも、ビアンカは自分の容姿がこの世界では平均だということを理解していた。


 環境が変われば、生き方も異なるのだな、と乙羽は悟る。




「痛いっ」




 また殴打したときの傷跡が痛んだ。


 そっと触れると、後頭部に大きなこぶができている。


 長い赤髪をしばることで隠せるかしら、とガラス窓に映る自分をじっと見つめる。


 すると不思議なことに、頭のなかに呪文が浮かんできた。




「セア・いんでぇりと……? は? なにこれ? 我はすべてを写し撮る万能の瞳。無は有を、有は無を生み出す――叡智はあらゆる病をいやし、怪我を克服する――」




 万百の叡瞳。


 その名前がわかった。


 わかると青い瞳が水晶のように輝き始める。




 光が拡散し、辺りを照らした後、また瞳に収束されていき――後頭部の痛みはうそのように消えてしまっていた。




「魔法って偉大ね……。そう、あなたはギルドに入りたいのね、ビアンカ。結婚は嫌なんだ?」




 想っていた彼と添い遂げることができなかったから。


 中等部から高等部にかけて愛し合った恋人とは、両親の許可がでずに引き離されてしまった。


 ビアンカはそのことを恨みに思い、女でも自立できるギルドに入ろうと心に決めたのだった。




「あなたの想い、私が遂げられるかしら。ギルドに入ること、自由になること、彼ともう一度……」




 二歳年上の彼。その名はオルク・イブフェンといった。








「それでオルク先輩は見つかったの?」


「え、うん――警邏課でダンジョンに潜っているって聞いた。風の噂だけど、どこのダンジョンかは分からないわ」




 エミリアが郊外のダンジョンに派遣される前夜。


 ビアンカは同期の仲間で彼女の送別会をした。


 派遣先は第82ダンジョン『幻惑のドラスト』。




 死霊術師が構築したと噂される伝説のダンジョンで、内部に住む多くの種族は主に魔族に属している者が多い場所だ。


 死霊の徘徊も多く、開拓がはじまってもう二世紀が経過しようというのに、まだ第四階層までしか到達できてない。




 住人の話では四十階層まであるということだから、まだまだ未踏の地が多い。


 エミリアは定年までそこで過ごすだろう、とみんなは言っている。




「遊びに来てよ。あたしが死霊に取り憑かれていなかったらだけど」


「そんな危険なことに遭わないように祈ってるよ。ちゃんと休みには遊びに行くから!」


「新人にそんな長期休暇くれるかどうか、謎だけどね」


「転移門を使えばすぐだよ? あっという間に行き来できるって」


「そうだね。でも……高いから。あたしからは行けないかな」


「あ‥‥‥行くよ。ちゃんと行く」




 残していく兄妹姉妹のことが心配なのだろう。


 エミリアは会いに行くと約束すると嬉しそうに破顔してみせた。


 彼女が言うように死霊に襲われないようにと、スキルを使ってそうと分からないように祝福を授ける。


 エミリアと彼女が愛する人が、愛した人が巨大な魔力を持つ相手から襲われませんように、という願いだった。




「待ってるよ。ビアンカ」


「うん、お仕事頑張ってね、エミリア」




 賑やかな別れの夜が終わった。


 二ヶ月が過ぎたころ、朗報がもたらされる。


 エミリアの所属するダンジョンの管理はいくつかの部署が合同で行っているのだが、そこの警邏課にオルク先輩がいた、というものだった。




『先輩を見つけたよ。ビアンカに会いたいって言ってた。三ヵ月ダンジョンで過ごして、三ヵ月王都に戻るんだって。今度は来月だって言ってたよ。連絡先は――』


「エミリア馬鹿。お節介」




 諦めかけていた元彼の居場所が分かって、ビアンカの心は軽くなった。


 いますぐにでも飛んで行きそうになる。


 ギルド職員はおおよそ1万人。




 いつか彼に会えるかもしれないと考えていた矢先の、朗報だった。職場で配布されている魔導端末に、彼の端末の番号を打ち込む。


 最初は通話でなく、軽く挨拶のメッセージ。




(元気してる? ビアンカだけど、覚えてるかな。エミリアにこの連絡先を聞いたの――)




 すぐに返信がきた。


 翌日か、下手すればこのまま返信すらないと思っていたのに。




(久しぶりだな、元気してるよ。俺はもうすぐ王都に戻る。迷惑でなければ君に逢いたい――)




「……許されるなら、か。そりゃあんな別れ方させたら恨みに思うよね。遠慮だってでるはず」




 ビアンカはオルクとの最後の瞬間を思い出す。


 実家の商店。その客間で父親のランドが叫んでいた。




『金のない農民の息子なんぞ、婿に必要ない! うちのビアンカはきちんとした大店に入るんだ! あんたには忘れてもらうほかないな』




 そう言って、いくばくかの金貨を差し出した。


 当時、オルクは20歳。ビアンカは16歳。


 今、彼は22歳、ビアンカは18歳。


 ギルド職員になり実家からの独立も果たせた。


 もう、両親に気兼ねする必要はどこにもない。




「あの人、お金ではこの関係は買えないって金貨に手を付けなかったっけ」




 去り際に「幸せに」と笑顔で挨拶してくれた。


 嫌味がない、爽やかな人だった。


 もう一度、再会できるとなったら心臓の鼓動が激しくなる。


 動揺している自分を知ってしまう。自覚してしまう。




「む、かえに、行きたい、です――王都の転移門まで」




 そうメッセージに打ち込めば、すぐに返信がきた。




(ありがとう。来月3日の朝10時に東門で落ち合おう)




『幻惑のドラスト』までかかる転移門の往復費用は、それほど高くない。


 銀貨20枚。金貨1枚が銀貨100枚。四時間程度働けば稼ぎ出せる額だ。


 彼と仲良くなった将来、自分が通い妻のようになっている未来を想像してしまい、ビアンカの顔は赤く染まってしまう。




 いやいや、自分、地球だったら枯れてたじゃない。26歳だったのに、オルクはあの時の私より歳下で――! そう思えば、ビアンカの人生はとても充実している。


 わずか10代前半で恋に落ち、数年も続く恋愛をして、結婚まで視野に入れた相手がいたのだから。




「‥‥‥私、本当に仕事熱心だったなあ。なんであんなに仕事ばっかりやってたんだろう。彼氏も捨てたし――捨てられた? ああ、もうどうでもいいわ、過去なんて」




 日本時代の自分にも恋人はいた。


 短大時代から付き合った康介だ。




 でも、彼とはお互いの仕事が忙しくなるにつれ、それぞれ言い訳のように事情を持ち出して疎遠になってしまった。




「まあ、オルクとの再会に期待するということで!」




 頑張ろう、とビアンカは握りこぶしを作った片手を高く掲げる。


 自分に第二の人生を与えて消えてしまったビアンカの人格のためにも、この恋を頑張ろうと乙羽は思った。




 ただ一つ不安があるとしたら――。




(この恋心はビアンカの人格と経験から生まれている可能性が高くて、乙羽としての私の感性だったら彼を恋愛対象と見れないかもしれない……)




 という人格的なものによる問題だった。








 翌月3日。


 約束した時刻に、ビアンカは転移門の1つ、東門にやってきた。


 26歳の乙羽だったら着るのに迷うであろう、若緑色のワンピース。


 レースとフリルが縫い付けられていて、ビアンカの整ったプロポーションを際立たせている。




 年甲斐もなくと思いながらせめて彼に喜んでほしいと、長い赤髪を細かく巻き頭の後ろでまとめ上げた。


 オルクはこの髪型が好きだと良く言ってくれたのだ。


 ビアンカにとてもお似合いだと。


 でもそれは過去のビアンカで、乙羽が混じったビアンカではないのだ。




 別人物だと、偽りだともし拒絶されたらどうしよう。


 不安と期待混じりに転移門の出入り口で彼を待つこと数分。


 約束の刻限ちょうどに、長身の青年が転移門の虹色の空間から抜け出てきた。




 この国の人間に特有の金髪碧眼。しかし、肌は赤銅色で、それは大陸の南部から移民してきた農耕民族の子孫であることを物語っている。


 ビアンカは彼の精悍な顔立ちが大好きだった。




 不思議なことに、ビアンカと混じった乙羽もまた、彼を好ましいと思った。


 何年も前から愛し合ってきた恋人が、再会したかのような――いや、あちらからしてみればそうなのだけど。




 ビアンカにしてみれば、見知った男性だけど初体験というよくわからないおまけつきだ。




「ビアンカ、悪いな。わざわざ来させてしまった。待ったかい?」


「ううん、そんなことないよ。元気そうで良かった。久しぶりね、オルク」


「君こそ元気そうで良かったよ。ギルド職員になったんだって? 家の方は大丈夫なのか? ああ、いや……済まない。俺が訊いてはいけない質問だったな」


「そんなことないよ。これからどうするの?」


「昼食には少し早いけれど、どこかで話さないか。いい店を知っているんだ」


「お酒抜きなら、ね? 冒険者はみんな酒飲みだから」


「きついな。分かった、いまは控えとくよ」




 彼はおどけた調子で両手広げて見せた。


 2年前には知らなかった明るい側面を垣間見て、ビアンカはほわっと心が暖まる。


 こんな仕草をする人だったんだ、と大人の男性を意識してしまう。




 同時に、自分も中身は26歳のアラサーだと改めて認識する。彼とは4歳差もあるのだ。現代日本だったら同世代の女子たちからやっかみを被る立ち位置である。


 ここが異世界でよかった、とビアンカは胸をなでおろした。




「じゃあ、行きましょうか。オルクの案内で良い店に」


「おう。案内するよ、お嬢様」


「参りましょう」




 オルクが紳士っぽい仕草で差し出した片手を受け取り、ビアンカは良家の令嬢になりきってデートに繰り出した。




 オルクの案内してくれた店は、ビアンカがこの服装で入っても大丈夫なの? と心配するような高級ホテルギャザリックの1階にあった。


 入り口を入ればそこには巨大な広間があり、王宮を思わせる。




 背の高い通路は金銀で細工されていて、剥がして持ち出せば高い値段がつきそうだ。


 猫足の机、曲線的で優雅な雰囲気、どことなく抽象的な花や貝による装飾。よく似たものを乙羽は現代日本で見ている。




 西洋、特にバロック様式と呼ばれているものにそっくりだ。


 もっとも、こちらの世界では魔石や空をたゆたう雲をイメージした風景画などが、多く描かれている。


 天空回廊を移動する天空大陸などが、人々に与える影響は偉大らしく、人は何時の時代でも重力から解放されたいのだなあ、と考えてしまう。




「どうかした?」


「ん――絵画が綺麗だなって思って」


「へえ‥‥‥」


「そっちこそ、なによ。その反応?」


「君は昔つきあっていたころは、絵画とか美術なんてそっちのけで、本を読んだり魔法の実技で腕を挙げようとしていたから」


「そ、そう‥‥‥だっけ」




 ビアンカの好き、と乙羽の好きはもちろん違う。


 それぞれが微妙に入り混じった今の自分を、「大人になった……だけ、だから」と誤魔化すにはいくぶん、無理がある気がした。




 簡単な軽食を出すレストランに入り、オルクはコーヒーをビアンカは紅茶を注文する。


 ハッカ油を混ぜたのだろう、茶葉の香りを吸い込むと頭がすっきりとする。


 これから彼とどんな会話をすれば良いのだろう? 話題選びに迷っていると、オルクがさりげなくここ二年の間にあったことを、報告してくれる。




 オークの集団に襲われて死にそうになったこと、死霊に乗り移られそうになり身体が凍えた体験、猫耳の獣人たちの村を盗賊たちから守ったときは幼い少女から結婚して欲しいと告白されたことなど、話題に尽きない。




 2年間という時間は、一人の少年を大人の男性にするには十分な時間だったのだと、ビアンカは悟る。


 なら、自分も大人として接してみよう。そう思った。


 なるべく26歳、年上女子という素振りは見せないようにして。




 昼食の時間を過ぎ、街並みを歩いて会話を続けた。


 彼のたくましく育った胸板に目が行く。


 荒くれ冒険者たちのハイレベルな男達にも引けを取らないような、鍛え方をしていてついつい意識してしまう。




 夕陽が城壁の向こうに沈むのを鑑賞し、三連の月が東の空に昇る。


 今夜は、赤、蒼、銀のうち、銀の月が満月を迎えていて、夜の繁華街は一気に幻想的な雰囲気を帯びた。




「夕食も一緒にどうだ、ビアンカ。飲めるだろ?」


「お酒はあんまり――でも、付き合い程度なら」




 乙羽として生きていた時は、お酒には強かった。


 でもビアンカの肉体はアルコールに弱い。ワインをグラス一杯飲むだけで、上機嫌になり眠くなる。


 職場の飲み会で飲み過ぎて男性陣にお持ち帰りされないように、それなりに注意を払っているのだ。




 もっとも、そんなことに気を遣わなくてもスキル『万百の叡瞳』を使えば、異性の考えている本音などお見通しなのだ。


 だからこの時、オルクが次になにを言おうとしているかも、ビアンカにはわかっていた。




 でも、それを知らないふりをした。


 冒険者でにぎわう食堂につき、カウンター席で魚料理をあてにお酒を飲む。


 オルクは場が暖まったころ、ある話題を持ち出してきた。




「‥‥‥ビアンカ、家を出たのか?」


「うん――そう。ようやくあの家から解放されたの、今の生活は覚えることが多くて大変だけど、気楽でいいわよ。エミリアから聞いたの?」


「彼女、気さくでいろいろと話してくれたんだ。だから、ビアンカのことも分かった。――俺も気になっていたしな。そうか……解放されたのか」


「自由の身の上だけど、それがどうしたの?」




 オルクはぐいっとビールのジョッキをあおった。


 そのまま一気に中身を飲み干してしまう。


 言い出すきっかけを作るつもりだったのだろう。


 ビアンカは魚料理を口に運びながら彼の言葉を待った。


 意を決したオルクが告白する。




「俺たち、やり直さないか」




 それはビアンカが待ち望んだ一言だった。










 半年後――。


 ビアンカとしてだけでなく乙羽としてもオルクと共に人生を歩みたいと考えたビアンカは、オルクとの同棲を開始する。


 実家を出て部屋を借りていたビアンカの元に、ギルドの寮に入っていたオルクが移住してきた形だ。


 一人では広すぎた部屋はたちまち、二人の物で埋まってしまう。


 でもそれは新しい人生のスタートだったから、ビアンカに不満はなかった。


 問題があるとしたら彼が年のほぼ大半をダンジョンの警邏に費やし、戻ってくるのはトータルで三ヶ月にも満たないことだ。




 自分の職務を覚えるのに必死な最初の数ヶ月はそれでも良かった。仕事の忙しさで寂しさを紛らわせることができたからだ。


 でも、今は違う。


 彼と過ごしたのはたった40日にも満たない。




 経理課から庶務課に移動願いを出し、エミリアと勤務地を交替してもらうことはできないものかと、真剣に考えたりもした。


 だけどオルクは『幻惑のドラスト』のダンジョン警邏課にずっと配属になることはないという。


 通い妻ならぬ通い夫。


 でもビアンカはそれで満足だった。




 ただ、ここから先を目指すにはどうしても邪魔が入る。


 実家に残してきた両親だ。


 父親が手紙で新たな婚約を提案してきたのだった。


 今度の相手は王都でも名高る商家だ。下手なことわりをすると、実家の商売は叩き潰されてしまう。だから、一度だけでもいいから見合いをしてくれないか――。


 そんな内容だった。




「‥‥‥戻るのか?」


「説得してくるの。結婚――したいでしょ」


「それはもちろん。俺が一緒に行って話をしてもいい」


「面倒くさいことになるから、それはだめ。ちゃんと戻って来るから、ね」


「もちろん、そこは信頼している。だけど、揉めるなら俺が出て行ってきちんと話をした方が早くないか?」


「うちの両親にさんざんしかられたのもう忘れたの? ここは私に任せて。話を付けてくる。あなたとの結婚を認めさせる。大好きだから、愛してる。待っててオルク」


「わかったよ……ビアンカ」




 君は言い出したら聞かないからな、とオルクは苦笑して送り出してくれた。


 彼がダンジョンの長期勤務から戻ってきた翌日、ビアンカは家を出て実家を目指した。






 実家の両親を説得するのに、三日を要した。


 結婚の許可も得ることができた。


 同じ王都内にある実家から今住んでいる部屋まで、そう遠くない。


 東の稜線が白み始めたころ、ビアンカは実家を出た。




 朝市により食材を購入して、愛するオルクのために朝食を作ろうと思ったからだ。


 食事を口にして美味しいと喜んでくれる彼の顔を想像しただけで、幸せに包まれる。


 オルクは結婚を許可してくれたと聞いたら、どんな顔をするだろう。




 早く報告をしたかった。


 でも――短い幸せは部屋の扉を開けた瞬間に崩壊した。


 自分の寝室、自分のベッド、自分の布団とシーツ。


 今そこにくるまって彼の腕に抱かれて眠るのは自分じゃない。




 ――親友のエミリアだった!


 ビアンカは思わず腕に抱えていた食材が入った紙袋を床に落としてしまう。


 物音にはね起きたオルクはビアンカと目が合い、真っ蒼になっていた。




「なに、これ‥‥‥」


「いや、違うんだ。これは、その――」 




 オルクは慌てて弁明を始める。


 隣で眠っていたエミリアの兎耳がせわしなく動いた。




「どうしたのオルク……まだ朝早い――ビアンカっ!? なんで? まだ帰らないんじゃ――」


「どういうことよ、エミリア! あなたたちいつからそんな関係……私、お父さんとお母さんにどんな顔して報告したらいいかわからない! ……どうしてこんな酷いことするの、オルク」


「違うんだ、ビアンカ。これは――その」


「その、何? なんなのよ、言い訳するつもりなの? ここは私の家なの! 他の女なんか入れて欲しくないの! そのベッドだって一昨日まで二人で寝ていたやつじゃない! ……家に彼女を連れ込んだのは、これで何度目なの……初めてとか言わないよね?」


「いや、すまない。……初めてだ」


「嘘ッ! もう何度もしてるような感じなのに――」




 ビアンカは言葉を選んだ。


 激怒したいはずなのに、彼のことを愛している感情と怒りは別に感じる。


 最初という言葉が本当なら、二度としないと誓うなら――?


 複雑な思いが頭をよぎる。


 大好きな男を、自分だけの恋人を他人に奪われたくない。与えたくない、失いたくない、捨てられたくない。




 悲しみにも似た感情が、胸のなかを渦巻いていく。


 鉛のように重くて、灼熱の炎のように熱いなにか。


 抑えようとしても抑えきれない。


 好きと嫌悪が入り混じって、喉元からこみあげてくる。


 吐きそうだった。






 オルクとエミリアの姿を目の当たりにしたビアンカは、その場に凍りついた。愛していた人と、自分のベッドで裸で寝ている姿。それは、どんな言葉でも表現できないほどの衝撃と裏切りを感じさせた。




「ビアンカ、これは……違うんだ。説明するから……」オルクが慌てて言い訳を始めようとした。


しかし、ビアンカの心は既に冷え切っていた。


「説明なんて聞きたくない。どうせ、私がいない間に……」言葉を詰まらせ、ビアンカは涙を流すこともなく、部屋を出て行った。




 ビアンカは何時間も街を歩き続けた。オルクへの愛情、裏切りに対する憤り、そして自分への失望。


 複雑な感情が渦巻く中で、ビアンカはふと、自分に与えられた「万百の叡瞳」という能力を思い出した。


 能力は、オルクとエミリアの関係を教えてくれなかった。




「どうして……全部、視えるはずなのに」




 真実が視えなかった。これまで一度もスキルを使うのに失敗したことはないはずなのに――そこで思い出す。


 エミリアにかけた祝福。あれが邪魔をしていたのだ。




『他人に能力を使ってはいけない』




 転生する時に聞こえた誰かの声が脳裏にこだまする。


 あれはこういう未来を見越して伝えられたアドバイスだったのかもしれない。




「でも、もう戻れない。結婚、どうするのよ! もう――」


 朝陽が昇るなか、ビアンカはひとりの冒険者に声をかけられた。「大丈夫ですか?こんな夜中に……」




 彼はビアンカがギルドで何度か見かけたことのある同僚のラスカルだった。ラスカルはビアンカに優しく声をかけ、彼女を安全な場所へと誘った。そして、彼女が落ち着くまでそばにいてくれた。


「誰かに話したいことがあれば、僕は聞くよ」とラスカルは言った。




 ビアンカは初めて誰かに心の内を明かした。ラスカルはただ静かに聞いてくれた。話を終えたとき、ビアンカは少しだけ心が軽くなったように感じた。


 翌日、ビアンカはギルドへと戻り、経理部の仕事に没頭することにした。




 オルクとの関係を清算するためにも、まずは自分自身を立て直すことが必要だと感じたからだ。ラスカルとの出会いが、彼女に新たな一歩を踏み出す勇気を与えてくれた。




 数週間が経ち、ビアンカは以前よりも強く、自立した女性として成長していった。オルクとは正式に別れ、二人の間にあった愛情の終わりを受け入れた。そして、ビアンカは自分の能力と向き合うことを決意し、それを使って他人を助けることに価値を見出すようになった。




「ま、いい男を見る目が開眼したと考えたら――得たモノは大きいし」


「なんのことだい?」


「なんでもない。さ、行きましょ」




 ビアンカはラスカルの腕を取る。


 今日はギルド職員の昇格試験だ。


 ビアンカは難関の受付嬢への資格試験に挑むことにした。




 花形になり、オルクを奪ったエミリアに見せつけてやるのだ。


 ラスカルの優しさはビアンカに人生を生き抜く勇気を与えてくれたのだった。


 

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異世界転生、修羅場あり 和泉鷹央 @merouitadori

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