ヒューマニズム

「ねえキミ、人間愛はどこから来るものだと思う?」

「なんすか藪から棒に」

「いやなに、こう星を眺めているとね……」

「人は酔うと哲学的になるんすね」

「ふふ……」

「褒めてないっすよ」

「とにかく、どう思う愛について。愛はどこから来るのか」

「ここじゃないっすか?」

「なんだ……胸か? インマイハートってか?」

「まあ……」

「悪くない、うん悪くない」

「なんなんすか一体……」

「理屈じゃないってことだな」

「そうですね。ちなみに先輩は」

「……人、じゃないかしら」

「ひと、ですか」

「うん、人間。周りに愛されただけ、自分も愛するきっかけになる」

「おォ、なるほど。先輩は愛されてますか」

「モチロン。キミだって俺が好きだろう」

「や……まあそういうことでいいですよ」

「ツンデレかね」

「いや別に」

「俺は皆を愛しているぞ。あいらぶえぶりぃわん」

「ちょっとキツイっす」

「ふふふ」

「だから褒めてないっすよ」

「キミ、空を見たまえ。月が綺麗だ」

「告白っすかそれ」

「俺の愛を受け取るがいい」

「キツイっす」

「愛は無償だぞ、この夜空のように。タダのものは貰っておけ」

「貧乏くさい……」

「貧乏くさいとも。だから愛を分け合うのだ」

「だいぶ酔いが回ってきましたね」

「うむ」

「もう帰りましょうか」

「俺のことを好きと言うまで帰さない」

「だからキツイっす」

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