第16話 酔っ払い

レドが飲み明かすことを誓った30分後…


「アレイィィ、お前のせいでぇ!今日は付き合えよぉ…」


「団長、引っ付かないでくださいって!ミヒャエル王子まだ居ますから!不倫は駄目!」


すでに、普段のレドからは想像がつかないほど出来上がっていた。


部下のアレイにベタベタしている所を、ミヒャエルは膨れっ面で眺めている。


「アレイ君、先に帰ってもいいんだよ?僕が面倒見とくからさ。」


「え?でも…いや、二人の愛のためっすね!存分にイチャイチャしててください!」


アレイは察しがいい。

いや、妄想好きというだけか。


「では、俺は風呂入ってるんで!今日はありがとうございました!」


そう言って、アレイは食堂から出ていった。


二人きりになった途端、ミヒャエルは本当の笑顔を作る。


「君の部下は、本当に察しがいい。君と違ってね。」


なでなで…


酔っ払いが相手なため、存分にやりたいことをやっていく。

レドの腰に左手をあて、右手を頬に。


「王子ぃ…?なんで王子と一緒にぃ?」


「細かいことは考えない。甘えてくれるだけでいいから…ほら、おいで?」


酔っ払うと人は本性が出ると言うが…

これでは逆である。


「うへへへ…王子だぁ…」


ぎゅうっ


「レド殿が自分から来るなんて、夢みたい…いや、君にとっては夢と同じか。」


少し悲しくなり、レドを抱き返す。


『この時間が永遠に続けばいいのに』


ミヒャエルはそう思った。


しかし、いつまでも食堂に居座るのは迷惑だなと感じたので…


「レド殿、僕の部屋に行こう?湯船に浸かったら、のぼせてしまうだろうから。」


部屋に連れていくことにした。

お持ち帰りルートまっしぐらである。


ふらふらとした足取りで立ち上がり、ミヒャエルにしがみつく。


「おっと…肩貸すから、ゆっくり行こうね。」


レドに肩を貸して、自分の部屋へと向かった…

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