第12話 観客

やっと手を引いてくれたな…

これ以上押されていたら、おかしくなりそうだったぞ?


「本当は襲ってしまいたかったけど、仕方がないね。観客がいるみたいだし。」


「襲っ…!?だから、俺をからかわないでくださいって!って、え?観客?」


ジーッ…


何で、皆が俺を…俺たちを見てるんだ?

様子を見にきたんだろう。

さっきまでのことは、何も見られてない。


だろ?そう言ってくれ。仲間だろ。


「あの二人、結婚してるんじゃね?」


「やっぱりラブラブっす!ミヒャエル王子、団長を任せられる器だなって感じしますね…!」


お前ら…黙って帰れ!!訓練はどうしたんだ?

ていうか、俺を任せられる器って何だよ!?


「ふふ…レド殿、そろそろ訓練に戻ろうか?それとも…もう少し僕と休む?」


「急いで復帰します。あとアレイ、居残り。」


ちょっとぐらいは復讐させてくれよ?

はは…ガビーンって顔してる…


アレイたちも…王子が来てからか?

元気な気がする。

生き生きしてるっていうのか…


「早く戻れ!いつまで訓練をサボる気だ?」


「やべっ!鬼団長が復活したぞー!」


ニコッ


何だ?今、自然に笑顔が…

こんな風に感じることはいつ以来だろう。


ミシェルさんと出会って、一緒に過ごした時?


何で、初恋の時と同じ感情が…


「ええい、俺は剣が伴侶だ!!」


そう言い聞かせないと、自分の中の何かに気づいてしまいそうだ。


「ミヒャエル王子、俺たちは訓練に戻ります。どうしますか?」


「では、もう少し…僕も参加させてもらうね。次は指南をお願いするよ。」


気持ちもさっぱりした。

誰にも打ち明けられなかったことを、話せたからかもしれない。


それと…また人を好きになったからか。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る