第6話 筋肉確認

「あれ?団長って、いつも俺たちの筋肉確かめてくれてますよね!」


ちょっと待て、それ以上は言…


「たまに小突いてくるよね~。それで、『いい肉体だ。このまま頑張れよ。』とか言ってくれるよーな…」


お前ら、余計なことを言うんじゃなぁぁい!!

王子がニヤニヤしてるのがわからんか!?


「…僕の筋肉を確かめるのは嫌かい?悲しいな。」


ここぞとばかりに笑顔曇らせないでくれよ!

俺が…俺が嫌がらせしてるみたいな感じになるじゃないか…


「っっ…わかりました!今から確認しますので、力抜いてください!」


「わぁい。」


満面の笑みで手を差し伸べてくる…

え?これ、取らなきゃいけない感じか?

いや、腕の筋肉を確認するのと同時にやれば、違和感ないかもしれない。


手…取るか…


「っっ!?」


何で王子、びっくりしてるんだ?

いつもの笑顔がない…むしろ、顔背けてるぞ。

耳が赤い様な気もしてきた。


「あの…ミヒャエル王子…大丈夫ですか?体調が優れないようなら、医務室に…」


「いや、全然元気…ただびっくりしただけさ…心配しないで?」


ようやく顔上げて…


ドキッ


は?ちょっと待て!今…今ドキッて…!?

俺、王子にときめいたのか?


顔真っ赤にして…上目遣いで…初恋の幼なじみに似た、金髪碧眼な男に?


ぜっったいに認めんぞ。

騎士として…いや、男としての''プライド''というものがある。


『初恋の相手に似ている』からといってときめくなど、王子に失礼じゃないか。

好きなわけじゃないのに…


「…まだ始めないのかい?」


「あ…すみません…いいいいま始めますね!まずは腕から。」


さわ…さわさわ…


とりあえず始めたはいいけど…腕、硬いな…

だが細い。これは天性の細マッチョだ。

専門でやっていないのにここまで…なかなか妬ける。


「…次は胸筋です。腕はもう、鍛える必要なしかと。」


「そうか…ありがとう…」


よし、胸筋。俺の心にとって難関だな。

人の胸筋は触ったことがない…

が、自分の肉体には自信がある。

比べながら確認するか…


ぺた…ぺた…


やはり、よくわからないな。

次は自分の胸…これでわかるはず。


うん?王子、何か言いたげな様子だな。


「その…団長殿!騎士の者に、そっぽを向くよう言ってくれないかな…?」


それって、どういう…?

いや、訓練そっちのけで俺たちを見てるわけ…


「団長たち…なーんかいい感じじゃね?」


「俺、推せるわ。くっついてほしい。」


待て。

今までのやり取り、全部見られてたってこと?

手を取ったのとか…王子が恥ずかしそうにしてたのとか…筋肉を確認してたところも?


そんなの…そんなの…まるで…!!


「もっと見せつける?レド殿…」


「カップルみたいじゃないかぁぁぁぁあ!!」

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